Vol.030 AIとリハビリテーション
リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.0030
2020/3/27配信 (2020/8/28まで限定公開)
このノートは、毎週金曜日にLINEのOpenChatのサービスを使って配信する予防医療ノートです。
予防医療に関するトピックス、ニュース、論文、動画などをお届けします。
これからの日本の未来は、「自分の健康は自分で守る」時代に突入しました。
自分の健康を守るための、知識や技術、アイデアなどを提供していきます。
目次
①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④今週の名言
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①今週のテーマ
予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。
テーマ「AIとリハビリテーション」
(2017年の自分のブログより抜粋)
これからAIが発達していき、リハビリテーション業界にもその流れはどんどん入って来ると予想されます。
さらに、量子コンピューターが本格的に実用化されれば、その流れは加速度的に進むはずです。
ただ、医療業界全般は公務員的な気質で、変化に対応するのに時間がかかり、生産性があまり高くなく、いつまでも旧態依然の流れを維持しようとする傾向にあると考えます。
ですので、AIが現場で普及するまでには結構な時間がかかると見ています。おそらく、20~30年くらいでしょう。
それでも、このオートメーション化の流れは誰にも止めらず、リハビリテーション業界もオートメーション化するはずです。
まずは、エビデンスのレコメンデーションです。
今までの論文をデータベース化して、AIに入力し、ディープラーニングをさせてパターン認識をしていくようになるでしょう。
特に、AIは画像や動画による判断が得意なので、座位や立位姿勢、歩行、その他のADL 動作などを解析して、どこが問題点なのかを特定し、転倒リスクなどを算出し、予後予測も自動で立てて、それに伴うエビデンスのある治療プログラムの立案をし、リハビリテーション科のセラピストはそれを参考にして治療していく、このような流れになると考えます。
これは、ドクターの診療でも同じような流れになるはずで、もうそのようになっています。
AIによる診断が進めば、次のフェーズでは、ロボティクスの活躍です。
立位補助マシーンや歩行補助マシーン(HALなど)、トランスファーマシーン、車椅子自動走行、食事介助マシーン、などのロボティクスがネットワークと繋がることでIoT化し、AIとロボティクスをリンクさせることで、オートメーションでリハビリテーションを受けることができるシステムが開発されるでしょう。
リハビリテーション科のセラピストの仕事は、AI の診断に従って細かいセッティングをすることや機械の調整をすることなど、自動車整備士のように細かい調整をすることが仕事になると考えます。
「1cmの世界」はAIとロボティクスにどんどん置き換わりますが、「0.1mmの世界」は、まだまだ人しかできないと思うからです。
患者さんに合わせた細かいセッティングは、0.1mmの世界で、人間が得意なはずで、そこに人間の仕事の価値があります。
AIとロボティクスが繋がれば、次世代シーケンサーやミルテル検査などによる遺伝子解析や遺伝子診断、ナノテクノロジー(体内に超小型ロボットを入れるものとか)などが、それらとリンクして成長していき、もっと発達していくはずです。
リハビリテーションがオートメーション化されていく時代に、リハビリテーションの人達は、今なにを患者さんに提供できるか考えなければならない時代に突入しました。
私は、今後活躍するリハビリテーションの姿は「エビデンスを作ってAIに入力する人」「治療のロボティクスを作る人、調整できる人」「人間の手でしかできないことをしている人(0.1mmレベルで変えられる人)」そして、一番大事な「変化し続けられる人」ではないかと考えています。
AI はまだ赤ちゃんのレベルで、もっともっとポテンシャルを持っています。
また、リハビリテーションも歴史は浅く、かなりポテンシャルを持った仕事です。
この二つのコラボが、どのような仕事を作るのか考えるとワクワクします。これからが楽しみです。
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②予防医療ニュース
今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。
~ 転載↓ ~
Apple、第4世代「iPad Pro」発表 3次元測定可能に
米アップルは18日、タブレット端末「iPad Pro」の第4世代となる最新モデルを発表した。
最大5メートル先の対象物を認識できる3次元の距離測定機能を初めて搭載し、背面のカメラと組み合わせることでAR(拡張現実)を使ったアプリやサービスをより高度にできるという。
米国など30カ国・地域で同日からオンラインで注文を受け始めた。
アップルのモバイル端末に初めて搭載した「LiDAR(ライダー)スキャナ」と呼ぶ3次元の距離測定機能を使えば、カメラで撮影中の人の身長などを正確に測定できるようになる。
例えば、理学療法士と患者ら向けに、肩の関節の可動範囲など身体機能の改善を追跡するARアプリの開発が進んでいるという
~ 転載終わり ~
出典 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO56976520Z10C20A3000000?s=1
・感想
セラピストがiPadを持って診療するスタイルが増えそうです。
今まで使っていたゴニオメーター(関節の角度を計測する道具)は終わりを告げ、カメラが自動で計測する時が来ました。
関節可動域の次は、動作分析でしょう。
カメラとAIの精度が上がり、リハビリテーションのスタイルも変わりつつあります。
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③予防医療論文
今週の気になった論文をピックアップします。
~ 転載↓ ~
死亡前1年間にかかった医療費と介護費の総額は? 85 歳以上で死亡した人が最も安かった
発表内容の概要
東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎研究部長らの研究グループは、福島県相馬市の65歳以上の医療レセプト・介護レセプトデータを使って、死亡前の医療介護費の総額を分析した結果、死亡前1年間にかかった総額は85歳以上で亡くなった人が最も安かったことを解明し、英文専門誌「Geriatrics & Gerontology International」に掲載されました。
~ 中略 ~
研究の意義と限界
今回の研究で、わが国でも、死亡前1年間の医療介護費は、年齢が高いかどうかではなく、死期に近づくにつれて増加していたことが明らかとなりました。
しかし、今回の研究は、死亡した人が死亡前に消費した医療資源を死亡時点から過去に遡って把握した分析であり、医療従事者であっても患者の死期を1年前の時点で正確に予測することは不可能です。
したがってこの研究成果から、高齢者の終末期医療・介護サービスの利用を制限すれば、死亡前の医療介護費の増加が抑制できると解釈することはできません。
死亡年齢の高齢化と医療費の増嵩を検討するためには、年齢だけでなく、要介護状態の程度や死亡への接近時期をも考慮して詳細に検討する必要がありますが、その知見はとても限られていました。
~ 転載終わり ~
出典 東京都健康長寿医療センター研究所
https://www.tmghig.jp/research/release/2020/0318.html
・感想
健康寿命100歳時代では、医療・介護費用の急激な増加が懸念されていましたが、この研究ではそれを否定するものでした。
死亡する前の一年間がポイントで、その期間でコストがかかるようです。
医療・介護費用を下げるには、「早く逝く」のを促すのではなく、「ぽっくり逝く」ようにするのが一番良いんだと思います。
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④今週の名言
時分の花を
誠の花と知る心が
真実の花になお
遠ざかる心なり
世阿弥 風姿花伝より
現代語訳
「若い時の美しさは
ほんの一瞬だけのもの。
それを自分の魅力
だと思っていると
本当の自分の魅力に
辿りつけない。」
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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)
リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha
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