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2024/7/11 漫画が先か現実が先か

15年くらい前に一度髪を短くしてしまったら、2度と伸ばすことができない体質になってしまった。

特に襟足が伸びるのが嫌いで、首が隠れると、なんかもう、うわー!!! となってしまう。うわー!邪魔だ!絶望だ!

髪の毛というのは不思議なもので、徐々に、毎日同じスピードで伸びてるはずなのに、ある瞬間を境に急に「もっさり」する。私の襟足は、「うわー!」の瞬間に急に首を隠すほど伸びたわけではない。その前日だって同じ場所でざわざわしてたはずなのに、何かの回路が噛み合ったみたいに「うわー!」となるのだ。この境目はいつも、実に劇的だ。

そんな「うわー!」が起こったのは先週で、その場でいつもの美容院に電話して予約をとった。そして今日、街へゆく。

駅へ向かう途中で、ゴミ袋を持って、つっかけサンダルで猛然とゴミ収集車を追いかける女性を目撃した。あまりに漫画的な光景にしばし立ち止まって見送る。ゴミ収集車はちゃんと停まって彼女のゴミを受け取っていた。

漫画っぽいけど、現実に起こったって当たり前な出来事。それでも「漫画だ!」と咄嗟に思ってしまう。そのシーンを最初に漫画に落とし込んだ人が誰だか存じませんが尊敬します。

それから電車に乗っても、都会の広くて電線のない空の下を歩いても、なんとなく漫画的表現のことを考えてしまった。階段を転げ落ちたら中身が入れ替わるとか? 本屋で本を取ろうとしたら見知らぬイケメンと手が触れ合うとか?

試しに美容師に「漫画っぽい場面って遭遇したことある?」と聞いてみたら、思いの外真剣に考え込んでから、「バナナの皮踏んで転んでる人、見たことあるわ」と言った。

えーなにそれうらやましい。見たい見たい!と騒いでいるうちに、髪はキッパリと短くなった。

本やなにかしらのコンテンツに変わって私の脳が潤います。