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清める


先日娘夫婦の新居の棟上げがあった。地鎮祭の時も棟上げの時も、業者さんからの指示で日本酒を買って持って行った。普段日本酒なんて飲まない娘にしてみたら、日本酒を買いに行く事自体億劫だったようで、こんな愚痴を漏らした。


「神様は日本酒を欲しがるから」


面白いことを言う。
日本では神事に日本酒が欠かせない。穢れを清める意味で使われる。そういえばコロナ騒ぎが始まった頃、アルコール除菌ジェルやスプレーが売り切れて、私たちは不安に陥った。神様でなくともやはりアルコール類が”清め”には必要だという事なんだな。


古くは、スサノオノミコトがヤマタノオロチにお酒を飲ませて酔っ払ったところを退治したという話がある。この時のお酒が日本酒らしい。ヤマタノオロチを、人間に害を及ぼす物=穢れと考えたら、コロナ禍におけるアルコール除菌に通じるものがあるのかも知れない。


日本酒を飲むという行為自体が、神様に通じていくとされている事も多い。御神酒(おみき)という言葉もある。昔ながらの結婚式では、”三三九度”なる儀式があるし、お正月に飲む”お屠蘇”、”杯を交わす”ことで絆を深めるという意味にも使われる。おめでたい時の”乾杯”だけでなく、人が亡くなった時は”献杯”して故人を想う。

日本人だから日本酒なのかな。例えばドイツならやっぱりビールで清めるのかな。フランスならワインとか?


神様にお供えした日本酒は、お供えから下げた後に飲む事が出来る。今回の棟上げに使われた日本酒の残りは、今うちの旦那さんの晩酌になっている。ありがたいお酒なので、大事に飲んで欲しい。



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