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原油のお値段

こんにちは!三ッ輪産業常務の松下です。
今回は世界のエネルギーの中で常に注目の的となる原油について価格のことを中心にお話しします。

さて、最初に問題です。

「昨日の原油の価格はいくらでしょうか?」


これについてきちんと答えられる人は非常に少ないでしょう。理由は簡単、原油は一つではないからです。ということで、正解は「ニューヨークのWTIでは〇〇$/バレル、北海ブレントは△△、ドバイ原油は□□、さらにはOPECバスケットだと....」となります。
原油は世界の色々なところで採掘されており、その中でも先ほどのニューヨークWTI原油、イギリスの北海ブレント原油、中東ドバイ原油が有名であり、世界の三大指標と呼ばれています。日本ではNHKニュースやテレ東系WBSなどでは必ずマーケット速報のコーナーで株価などとともにWTI原油の価格が出て来ますね。

では次の問題です。

「各原油の値段や中身は同じなのか?」


これは分かると思いますが、正解は「NO」です。日本の温泉をイメージしてもらえれば良いのですが、酸性泉だとか硫黄泉だとか(正確には温泉は9種類に分類されるのですが、この話はまた別の機会にしましょう 笑)色々あるのと同様に、原油も色々な種類があり、価格も様々です。

例えばWTI原油は精製したときに商品として高値で販売が出来るガソリン/灯油/軽油などの軽質油成分が多く取れる原油であるので、他の2種類と比較して割高で取引がされます。一方ドバイ原油はアスファルト(←安いんだなー、これ)の原料となる重質油成分や硫黄成分を多く含んでおり、特に昨今の世界中の低硫黄化の流れの中では比較的敬遠されるなど、安値の傾向があります。

ちなみに買い手となる石油元売会社では重質油を軽質油に変化させる重質油分解装置を作ったり、硫黄分を除去する脱硫装置を付けたりして、安価なドバイ原油を購入できるようにしています。
なお、上記はあくまでも傾向値であり、実際の取引は株などと同じく需要と供給のバランスで値段が決まります。例えばヨーロッパで寒気が居座っているなどとなると、ヨーロッパでの需要が高まるので北海ブレントの値段が高騰します。

最後に

「原油価格とOPEC諸国について知っていますか?」

3/4にOPECプラスの会合があり、原油減産の維持について合意に至りましたとの記事がありました。OPECプラスの会合とはOPEC(石油輸出国機構)の中東の原油産出国14か国と、それ以外のロシアやメキシコなどの原油産出国6か国が集まった会合で、一言で言うと、言葉は汚いですが世界的な原油価格のカルテル(談合)会議のようなものです。
現在、世界の産出国はコロナによる需要減に対応するためにみんなで原油生産量を抑えており、今回の会合ではこの抑制レベルを維持するというものです。
現在の原油相場は今年1月に45$程度だったものが3月初めには60$を超えるなど、ゆっくりと回復傾向にありますが、この流れを維持させたいとのことでしょう。
このようにOPEC諸国は原油の供給量を調整することで相場をコントロールしております。昨今、非OPEC諸国の力が強くなってきたなどと言われておりますが、まだまだOPECプラスの影響力は大いにあるのが現状です。

おまけのお話。

まだ皆さんの記憶に残っているかもしれませんが、昨年4/20にWTI原油がマイナス40$という価格を付けました。原油を買ったらお金も貰えてしまうという不思議な状態です。
これは先物取引と言って、商品を受け取るのを何か月も先にして価格だけ先に決める取引の締め切り日で発生したものです。
昨年の4/20はコロナで世界経済が急激に冷え込んで原油需要も一気に落ちてきている中、翌月に原油を購入する先物売買の締め切り日でした。

締め切り日を過ぎると原油を実際に購入しなければならないのですが、先物マーケットのプレイヤーには原油タンクを持っていない投資家などがおり、彼らは締め切り日までに原油タンクを持っている石油元売会社などに自分が持っている原油購入権利を売り裁く必要があるのですが、コロナによる需要ダウンで各石油会社のタンクは満タン。つまり買い手がいないマーケットにおいて、絶対に売り抜けなければならない投資家が多数存在することにより、彼らが価格をガンガンさげた結果、上記のマイナス価格が起きてしまったのです。

この投資家たちが最後にどうしたのか、まで言及すると、商品先物市場の仕組みの話からはじまり本投稿の5倍以上は必要になりますので、それはまたの機会に 笑

今まで話をしてきた原油は、精製されてLPガスやガソリン、灯油、軽油、重油などになります。そして重油は更に発電所の燃料になって電気を作っています。
我々三ッ輪グループはこれらLPガス、電気、ガソリン、灯油、軽油の販売をしている会社なんですよ。
皆さん、お見知りおきを♪

●次回の記事

三ッ輪産業株式会社 常務取締役 松下尚二郎
外資系メジャー石油元売および関連LPガス元売での責任者ポジションを歴任した後、2019年三ッ輪産業株式会社に入社。現在はグループの中核事業であるLPガス事業を行う三ッ輪産業の常務取締役として営業部門を管掌し、「戦う集団」を合言葉に本社組織7部門および卸売/小売合計23事業所のスタッフを纏め上げる。
土日昼夜問わず相手の懐に飛び込む昔ながらのアナログスタイルと、ITを駆使したスピード重視のデジタルスタイルの両方を兼ね備えるハイブリッド型ビジネスマン。趣味はゴルフ・スキー・ソフトテニス・釣り・ダイビング・ドライブ・クルージング・海外旅行と多彩であり、夢は宇宙旅行❤と語るイタイおっさんである。


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