出産体験記2-ジンクス-
検診の翌日は土曜日。
我が家の夫は土日休みなので、何としても土日の間に陣痛が来てもらいたい。近所に祖父母はいないし頼れる人もいない。私と1歳の娘二人だけの時に陣痛が来てしまったら困る。
そこで私は知る限りのジンクスを試してみることにした。
とはいえ知っているのは二個だけだ。
焼肉を食べる。
そしてオロナミンCを飲む、である。
まずは行きつけの焼肉屋さんに行き、ランチで焼肉を食べた。
ドライブがてら片道30分程度の道の駅まで行って季節のいちごパフェを食べ、
自販機でオロナミンCを買って飲んだ。
あまり胎動を感じないような気もするし
出産間近は胎動が減るという話なのでそう思い込みたいだけかもしれない。
とにかく、つねにお腹に意識を持っていた。
胎動がないなと思うと、ポンポンお腹を叩いて話しかけてみる。
おーい、寝てる?
もうそろそろ出てきそうな感じですか?
トイレに行く。
おしるし……かどうか自信がないが、茶色っぽいオリモノが出ていた。
確か前回は少量の出血だった。
こんな風にベタッとはしていなかったし、オリモノの量が少し多い。しかも一回ではなく、何回か出た。
自信はないが、たぶんおしるしだ。
ということは、たぶんそろそろ生まれる…かもしれない……!
妙に左足の付け根だけ痛いのも気になる。
私は妊娠中全く浮腫まず、攣ることもなかった。(前回は産後も浮腫はなかった)
たぶんこれは浮腫んでいて痛みが出ている。もうすぐ生まれるのかもしれない…!!
とにかく身体に起こる異変を全て出産の兆候に結びつけたい症候群である。
前回の出産時は破水から始まったので、陣痛から始まった場合陣痛に気付けるか?が不安で仕方がなかった。
今回は2回目、しかも一年半前に産んだばかりである。
子宮口も開いているし、助産師さんからも「始まったらすぐ産まれるかもしれない」と言われ、家から病院の距離まで聞かれているのだ。
陣痛に気づかないうちにコロンと産まれてしまったら大ごとである。
ニュースに出てネットで叩かれるのは嫌だ。(被害妄想)
ふと見ると、窓の外には雪がチラついていた。
というかほぼ吹雪いていた。
雪…
そうだ…名前どうしよう……
そうなのだ。
まだ名前が決まっていないのだ。
というか、夫が考えた名前が少し変わっていて気に入らなかったのだ。
上の子の時には8ヶ月頃にはもう決まっていたし割とすんなり出てきたのに、下の子の名前は全く決まらない。決まったと思っても、やっぱりなんか違う…とコロコロ変わり、決定打がなかった。
陣痛に来て欲しい(できれば土日に)
しかし名前まだ決まっとらん(やべぇ)
ダブルでソワソワしていた。
窓の外で横向に吹く雪を見ながら、雪の日に生まれたら雪を思わせる名前もいいかな…などと考えてみた。
夫の趣味はスキーで、この子も産まれる前からスキーをやることが決定している。
……しかしいい名前は浮かばなかった。
家に帰り、大坂なおみの試合を見た。
勝てば優勝である。
テニスに思い入れは特にないし、ギリギリルールがわかる程度だが、いい試合だった。
お風呂から上がってのんびりしていると、ふとお腹が張っているのが気になった。
痛いほどではない。
前回の出産時に入れた陣痛アプリを消してしまっていたので、再度探して間隔を計ってみる。
10分〜20分おき。
微妙だ。
痛さも微妙である。
前駆陣痛かもしれない。
本陣痛ではない気がする。だが自信はない。
10時半。寝室は二階だが、もしこれが本陣痛で動けなくなってしまった場合私を抱えていくのは困難だということで、一階のリビングで寝ることにした。
我が家は薪ストーブがあるのだが、薪ストーブの前で寝るのはとても暑い。
眠れない。
なんとなく痛いような痛くないようなの間隔は特に狭まることもなく、むしろ遠のいているような気がする。
11時半、それにしても暑い。
布団に入って10分後には夫は寝ている。
やはり前駆陣痛なのだろうか。間隔は10分程度だが、痛みは強くなることもなく微妙なままである。
1時半、一人でモゾモゾ起き出し、麦茶を飲んだ。薪ストーブの火が弱まって、寒くなってきた。寝付けない。
しかしお腹の痛みはほぼ感じない。うっすらと胎動を感じる。やはり前駆陣痛だったようだ。
私が起きたことに気づいた猫も起き出してきてにゃーにゃー鳴いている。うるさい寝ろ。
私は再び布団に戻り、眠りについた。
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