アマノトーク 73
こんにちは、甘野充です。
僕は基本的に一人称で小説を書くことが多いのだけど、一人称の欠点は主人公の視点でしか描けないことだ。
三人称や映画のように、主人公のいないシーンを描くことができない。
主人公のいないところで色々なことが起こっても、主人公は知らないし、作者はその描かれないシーンを頭の中に描いている。
映画にしてみると、撮影したけどカットされたシーンになるのだろうか? いや、それはちょっと違うな。
僕はその描かれないシーンもいずれ描こうと思っている。
いや、実を言うと時々描いている。
別の連載小説やショートショートにて、別の視点で書いているものがある。同じシーンが別の視点で描かれていたり、欠落していた部分が描かれている。スピンオフ的なものだね。
登場人物にはそれぞれのストーリーがある。誰もが魅力的なので、その姿を描きたい。
一人称で書くことで、ストーリーがミステリーになってしまう。
だって主人公が知らないことが多ければ、読者にとってもそれは謎となり、謎だらけになってしまうからだ。
主人公が未熟であるほど謎が多くなり、ドジであるほど物語は面白くなる。
主人公が間違ったことを考えることで、読者もミスリードされてしまう。
僕は最初はわざと秘密を隠して書いているところがあったけど、だんだんとそうしなくても自然とミステリーになってしまうことに気が付いた。
主人公がいない場面で色々なことが起こるだけで良いのだ。作者の頭の中にあっても、その場面に主人公がいないかぎり、それは謎となるのだ。
読み進むうちに謎が解明されてゆく小説は、どんどん先が気になって読んでゆく。そんな小説がきっといい小説なのだろうなと思う。
僕はそんな小説を書き、そんな小説を読んでいる。
そんな時間が楽しい。
今日はそんな感じです。
それではまた。
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