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ドンキで殴られた

「ドンキで殴られたんだけど」
 と彼女は僕に言った。
「え? 鈍器で殴られた? 大丈夫? 警察に行った?」
 僕は彼女を心配した。

「いや、そんな大袈裟なことじゃ無いんだけど」
「え? だって、鈍器で殴られたんだよね?」
「うん、ドンキで買い物していたら殴られた」
「何だ、そのドンキか」
「何だって何よ? ドンキって言ったらドンキでしょ。他にある? そりゃあ海外じゃあドンキホーテのことをドンドンドンキって言うけど、ドンキに他の呼び方あった? ああ、マクドナルドのことをマックって言うかマクドって言うかって言う話? 吉牛か吉野家、みたいな?」
 彼女はよく喋る。

「それで、誰に殴られたの?」
 僕は彼女の無駄な話をスルーした。
「はるちゃん」
「え? はるちゃんって、ぼる塾の?」

「な訳ないでしょ」
「ぼる塾のはるちゃん好きなんだよね。だって可愛いじゃん。昔アイドルグループにいたしさ、ドラマも「ドラゴン桜」とか「六本木クラス」とか良かったよね。かわしいし、歌がうまいし、ダンスもいいし、演技も抜群だよね」

「え?」
「だけどはるちゃん、ひどいよね。グーで殴るなんて」

「平手だよ」

おわり。


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