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お疲れ缶コーヒー

「お疲れ様」
 と言って、彼女は僕に缶コーヒーを差し出した。
 仕事で失敗して落ち込んでいた僕を励ますためだ。
 僕は「ありがとう」と言って、缶コーヒーのプルタグを開けて、缶コーヒーを飲んだ。
 ほんのささやかな優しさが嬉しかった。

「そう言えば、最近noteどう?」
 と僕は彼女に尋ねた。
 彼女はnoteを始めて、毎日更新をしていた。
「うん。なんだかなあ、って感じ。もうやめちゃおうかなって思ってる」
「僕は毎日読んでいるし、スキもしているよ」
「うん、ありがとう。でもね、」
「元気だしてよ」

 僕はスマホで彼女のnoteを表示する。
 そこには彼女の悩みが書かれていた。
 僕はそのコメントに「元気だしてね」と書き込み、スキを押した。
 彼女は自分のスマホでnoteを見る。
 彼女は僕のスキを確認して、力なく微笑んだ。
 スキだけじゃあ彼女を元気になんてできないんだな、と僕は感じた。

 僕はブラウザでnoteを開く。
 アプリじゃだめなんだ。
 僕はブラウザでnoteを開く。

 彼女の記事にサポートをした。
 そして僕は彼女に向かって「お疲れ様」、と言った。
 彼女は「ありがとう!」と言って喜んだ。

 noterにとって嬉しいのは、noteでのお疲れ缶コーヒーなのだな、と僕は思った。


おわり。

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