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似たフォント「Frutiger」「Myriad」の違いを探求

またフォント観察&調べごとをする機会があったので共有します。
これらのフォントの違いを深く掘り下げた日本語サイトがすぐにヒットしなかったので、参考になれば幸いです。ネットの情報の他、愛読しているこのタイプフェイス図鑑(洋書)からも情報を得ています。翻訳版も出版されているのでぜひ。

それぞれの背景と共通特徴

「Frutiger」
長距離&小さな文字でも可読性を維持するよう設計され、フランスのシャルルドゴール空港のために作られたフォントがFrutigerで、制作者の名前がそのまま名付けられています。この際、彼がそれまでに作成したフォント(ConcordeとRoissy)を原型にしていますが、彼が作ったUniversの面影(清らかさと合理性)の他、Gill Sansの自然さと均整も残しています。

In designing the typeface's predecessors Concorde and Roissy, Frutiger's goal had been to create a sans-serif typeface with the rationality and cleanliness of Univers but the organic and proportional aspects of Gill Sans. Wikipedia

「Myriad」
上記Frutigerに倣って制作されたAdobe社のフォントのため、アドビ版Frurtigerと言われていたりもします。あらゆる用途に対応する汎用さを求めて制作されたため、多様な太さにも対応できる作りになっています。

こうして生まれたフォントだけあって、どちらも文字の開き具合(余白空間)が大きく、様々な角度や距離からの視認性と可読性がとても高いです。Universと比べると、曲線部の太さがより均一になって癖が抜けて滑らかになっている。ヒューマニストサンセリフなので、ローマン体っぽくしなやかな曲面があります。

大きな差異①ストローク(払い)の終わり方

Frutiger(左)が唐突に直角な切り口でストローク(漢字で言う払いの部分)が終わる場所では、Myriad(右)ではストロークの流れに沿って斜めに切られています。

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大きな差異②ローマン体の名残

Myriad(右)のほうがローマン体っぽさを多く残しており、Mの広がり、Rの足の揺らぎ、Kの接合部、Qのしっぽなどに顕著にアナログ要素が見られます。

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大きな差異③ドットの形

一番わかりやすいのは小文字のi、ドットやコロン等の形がFrutigerは正方形、Myriadは円形です。

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全体的にはMyriadのほうが高さがあり、詰まっています。

印象と使われる場所の違い

こうして機微かつ決定的な違いがある故印象も変わり、使われている場所も異なります。
Frutigerは数多くの空港や交通機関(東京メトロ等)に使われ、より大衆的で普遍的なイメージを、
MyriadはAppleやAdobeに採用され、より親しみがありつつ洗練したイメージを作っているように思えます。

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以上です!何かすこしでも役に立てば嬉しいです。
コメントもお待ちしてます。

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