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【読書感想文】ライフピボット

こんにちは。ヨシミツダです。

今日は「ライフピボット 縦横無尽に未来を描く人生100年時代の転身術 黒田悠介著」という本についての感想を共有したいと思います。

いわゆる、単純に転職市場に自分を売り込むことや、インフルエンサーになることを勧めたり、起業を煽る意見ではなく、非常に分かりやすく人生(キャリア)をライフピボットにより発展させていくキャリア転換の方法について紹介されています。さっそく今日からやってみようという内容が盛り沢山の本でした。

黒田悠介さんについて

本書は作者黒田さんの2000人以上のキャリア相談に乗った経験を詰め込んだ自分らしいキャリアパスを描くための指南書です。

noteで序文が公開されているので、共有しておきます。

黒田さん自身が、本書でも説明されている「三つの蓄積」「三つの行動原理」「六つのアクション」をもとにライフピボットされてきた方です。好奇心に基づき、いろいろな仕事を経験してきた黒田さんの生き方は「マルチポテンシャルライト」と言えそうです。

ただ、このマルチポテンシャルライトの本や概念を知った時に感じたことは、どちらかというといろいろなことに興味がわいて仕方がないという生き方で、限られた人の一つの選択肢という印象だったことに対して、黒田さんのライフピボットはもっと現実的で多くの人が実行できる地に足ついた印象を受けています。理由は、本書でも説明されていますが、人生100年時代とよばれる時代で、半世紀近く働かなければならない時代になってきていることに加えて、テクノロジーや社会の変化が激しく、今ある仕事が10年後にも同じであることは考えにくく、むしろキャリアを転換していくことが普通の世の中に変わってきているからです。人生におけるキャリア転換の外的要求、内的要求は共に高まっていて、昔は当たり前だった大きな会社に入社して一つの職種、職業に勤め上げることの方が難しくなっています。上へ上へというキャリアの道筋以外の360度の選択肢が広がりつつあるのです。では、どうやってキャリアを転換していくのかという問いに対して本書は大変参考になります。

私が興味を持っているリカレント教育も、リカレントという言葉には「循環」、つまり仕事と学びを行ったり来たりという意味があります。人生を通じて学べる教育環境が必要な世の中になってきていることを痛感しています。


本書を読んで感じましたが、黒田さんのライフピボットはリカレント教育も包括している考え方だと思います。

三つの蓄積

ライフピボットに必要な蓄積は以下のように分解することができます。

① 価値を提供できるスキルセット
② 広く多様な人的ネットワーク
③ 経験によるリアルな自己理解
①価値を提供できるスキルセット
・テクニカルスキル
業務遂行能力のことで、課題に対してどういった解決ができるかを指しています。スキルと聞いて最初に思い浮かべるスキルです。
・ヒューマンスキル
対人スキルです。仕事で接する他者とよい関係性を作ったり、スムーズにコミュニケーションしたりする能力です。
・コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは、物事を抽象化したり多面的に見たり、論理的に考えたり発想を飛躍させたりする、概念化能力のことを指します。
② 広く多様な人的ネットワーク
新しい情報や機会をもたらしてくれるのがライフピボットにおける人的ネットワークの役割になります。職場やコミュニティなど1人1人の関係性の集合体が人的ネットワークになります。一般的に身近な強いつながりよりもウィークタイと呼ばれる弱いつながりを持つ人のほうが多くの情報や機会をもたらしてくれるといわれています。
③ 経験によるリアルな自己理解
ライフピボットの道しるべになる自分の嗜好性や価値観です。感情と思考を観察し、嗜好性と価値観を理解することで、自己理解を深めます。

隣接可能性の洗い出し

既存の要素の組み合わせによってはじめて見出される可能性のことを、隣接可能性というそうです。本書では、ハニカムマップという隣接可能性を可視化したツールが紹介されています。
先ほど紹介した「三つの蓄積」が隣接可能性を切り拓き、このハニカムマップを1マス先に移動できるようになります。

複業でこの隣接可能性を「Will」「Can」「Need」で分析しつつ、実験しながら、本書で紹介されている「八つの報酬」を本業以外でも獲得してみることを推奨しています。
そして、この実験を通じて蓄積した「三つの蓄積」によりライフピボットをしていくのです。

ここで、「八つの報酬」は以下のように説明されています。

三つの蓄積である「スキルセット」「人的ネットワーク」「自己理解」だけでなく「ポジティブ感情」「達成」「没頭」「意味」の四つと、一般的な「金銭」を加えて「八つの報酬」として整理しています。

隣接可能性は日常的に吟味するとよいそうです。確かに日常的に吟味することで、自分の方向性を意識しながらアセット(資産、能力)が獲得できそうだと感じます。黒田さんも職務履歴書を月に一度は更新しているそうです。私もさっそくハニカムマップを書いてみました。

具体的な6つのアクション

三つの蓄積のための具体的なアクションも紹介されています。
「新しい人に出会う」アクション
「新しい場に出向く」アクション
「新しい機会を生む」アクション
の3パターンのアクションに対して「即効性がある」、「じわじわ効いてくる」アクションに分類して紹介しています。

結果として次の6つのアクションとなります。

①マッチングサービスを利用する
②発信し続ける
③イベントに登壇する/主催する
④コミュニティに参加する/主宰する
⑤ギグワークをする
⑥ギブワークをする

この6つのアクションを繰り返すことで、「三つの蓄積」を増やすことができます。

6つのアクションの共通の行動原理である
①やってみよう
②改善しよう
③ギブしよう
の三原理は「三つの蓄積」の強化、「ライフピボット」をすることでさらに強化、促進されてライフピボットはループしていく状態になるのです。

このループはどんな職種でも普遍的に当てはまると思います。また、誰でもその人なりに実行できるという点で有益だと思います。

安定にすがる大企業にするのか、一か八かの企業なのかという固定的な価値観や態度ではなく、もっと弾性的でしなやかにキャリアを転換する可能性があるというところにライフピボットの魅力を感じます。

大きな企業は大きな力をもっていますが、活動の方向性には柔軟性に欠けると思います。これは、営利活動が目的である以上、仕方のないことです。
本書に勇気づけられて、複数の個人やコミュニティで社会課題の未開拓領域に働きかけていく人が増えると良いなと感じました。
また、社会に対して働きかけていくことで息苦しさや閉塞感から解放され、いきいきと活動していく人が増えていくことを祈っています。

40を超えて働き方を改めた私も勇気づけてもらいました。黒田さんには感謝です。ありがとうございました。

それではまた。


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