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ご自愛マネジメントのススメ

最近ご自愛マネジメントという活動を推進しています。

ご自愛マネジメントとは、私が作った造語です。
文字どおり自分を愛しむという行為ですが、なぜおすすめで、どんなことをやるのか紹介します。

謙虚なリーダーシップ

エドガーシャインは、その著者「謙虚なリーダーシップ 1人のリーダーに依存しない組織をつくる」の中でリーダーシップのことを次のように述べています。

「リーダーシップ」とは、新たな、よりよいことをしたいと思い、それをほかの人たちに一緒にしてもらうことである。

謙虚なリーダーシップ 

リーダーシップの定義は多岐に渡るので、様々な意見がありますが、さらに関係性の重要性についても強調しています。

リーダーシップはグループの中で生じる
きわめて率直に話をし、心から信頼し合うグループの文化のなかで成果をあげている

謙虚なリーダーシップ 

つまり、個人的関係を重視する(パーソニゼーションと呼ばれる)リーダーシップが求められているというのです。

関係の四つのレベル
•レベルマイナス1
全く人間味のない支配と強制の関係

•レベル1
単なる業務上役割や規則に基づいて監督、管理したり、サービスを提供したりする関係
大半、ほどほどの距離感を持った支援関係

•レベル2
友人同士や有能なチームにみられるような個人的で、互いに助け合い、信頼し合う関係

•レベル3
感情的に親密で互いに相手に尽くす関係

謙虚なリーダーシップ 

補足しておくとパーソニゼーションとは、仕事仲間、チームメイト、上司、部下、同僚との仕事上の関係を、双方がつくっていくプロセスです。

つまり相手を一個人とみて、その関係性を高める努力が必要になるのです。

仕事上の関係のレベルは結局、するべき仕事の質とリンクしている

謙虚なリーダーシップ 

なんだか昔の日本人が大事にしていたことの価値を巡り巡って認めている感じが不思議ですよね。

自分との関係性

しかしながら、一つ気になることがあります。他者に対しての関係については、述べられているものの自分と自分の関係についてはあまり述べられていないところです。まるで前提条件で何も問題はないかのように。

2030年にわが国で最多の疾患になると呼ばれているメンタル系の疾患や、バーンアウトなどの現象は、パーソナイズする活動から私たちを遠ざけようとします。多くの場合、この問題は人との関係の中で生まれることが多いからです。

直接的には関係していなくても、他人と自分の比較などもこういった問題の原因になることが多いのです。

仕事をうまくいかせるためには個人的関係を重視する必要があるのに、自身を傷つけてしまうのも、また個人的関係により影響を受けてしまうものなのです。

まずご自愛を

こういった背景がありますので、他者との関係に目を向ける前にまず自分自身の頭と心の関係を見直すことが必要です。

ここでいう頭とは、理性や論理など人の思考を形づくるものと思ってください。計画性なども司ります。一方で心とは、一見違いがわかりにくいですがもっと直感的で感情に近い気持ちのようなものという理解でよいです。

少なくともこの頭と心の理解が浅いまま、他者とのパーソニゼーションを進めていくと、やがてそれは自分にとって負担にしか感じない状態に陥る可能性があります。

例えば、我慢強い人に多いのですがあるルールに囚われて心はおかしいとアラームを鳴らしてるのに自身の責務の都合で心に蓋をしているような人、こういった人は無意識に他人にもその考えに染まることを教養したり、異なる意見を受け止めにくくなります。本来なら他人の考えを理解することと、同意することは別々に考えることができるはずなのに共感することは同意することに等しいという先入観が入りがちです。

他人の欲望にも動かされていることを自覚することが大事です。生存者バイアスなど複数のバイアスの元に自分の考えが健全じゃない状態になっていないかもチェックする必要があるでしょう。

しかし、こういったことを頭(思考)から発して心(感情)を押さえ込む形で実施しても、それ自身が自分を傷つけてしまうのです。

またマインドフルネスなどの瞑想手法をこの頭と心の歪みで発生する疲労を回復する道具にしてしまっている印象もあります。本来的には歪みそのものを発生させないように働きかけていきたいところです。

では、どうすれば頭と心が一致していくのかという時に至った考えが自分を愛する(大切にする)ということだったのです。

ご自愛のやり方

ご自愛のやり方は千差万別です。なぜならば個人によって心地よいと感じることは違うからです。

自分が知っているからこそ、自分にしかできないのです。

ポイントは心(感情)の動きです。
何か起きたときに心地よい、悪いという感情に自覚的になりそれを拾いあげます。
それができたら、心地よさを拡大したり、心地悪いことを無くしたり、抑制するアイデアを考えて日常の活動を置き換えていきます。

あとは、今ここにある自分の気持ちを大事にしてあげます。将来のために今を犠牲にするという気持ちを極力無くすようにしてニュートラルに自分の気持ちを客体化して眺めましょう。

1日の終わりに、「今日も生命の限り生ききったな、お疲れ様。」と自分に伝えられるように正直になりましょう。

一例として、私は以下のようなことをしました。

  • 急な予定が発生しないように自分から計画的に予定(事前レビュー、事後レビューなど)をセッティングする、問題の種に対して集中的に議論したり考えたりする時間をプリセットする

  • 朝一は、心を落ち着かせたいのでミーティングを入れない

  • 休憩時間に休むのではなく疲れたら休む

  • ガソリン補給のようにご飯を食べない

  • エナジードリンクは飲まない

  • 回復するためのタスク、集中する時間、曜日などを意図的に持つ

  • 会社に行く前に勉強する

  • 平日でも週に一度は家族みんなで夕食を食べる

  • 誰かと積極的に話す時間を意図的にセットしておく

  • 旬の食べ物を食べる

  • できるだけ夕日を眺める

どれもたわいもないことですし、人によっては必要ないことかもしれません。ただ、私にとっては日常が心地よくなっているのと、ポイントとしては今日と明日の自分を労る、愛しんでいるかという視点で行動を考えることです。

自愛から他者愛へ

自分のことを大切にしていると、だんだん頭と心の一致度が高まり、だんだんと心に余裕がでてきます。

そうすると不思議なことに他者への関心、場合によっては愛情に近い気持ちを持って他者に接することができるようになり、傷つくリスクもあるエドガー•シャインのパーソナイズにも積極的にチャレンジできるようになったのです。

というように、課題の複雑さが加速度的な現代社会で謙虚なリーダーシップを発揮したければ、まずはご自愛からというご自愛マネジメントの紹介でした。

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