コテコテのパンツァー(感覚型)作家がプロットを書くとこうなる<小説の書き方>
はい、今回も頭の中は真っ白け。
思い付きで始まるコラムがはっじまっるよー!
内容的には「ホントにプロットを書かないんですか?<小説の書き方>」を具体的に解説しなおした感じですかね。
具体例を提示してるだけで、あちらと言ってることは変わらないです。
予備知識
この記事を見る人に説明は不要だと思いますが、念のため。
プロットは物語の骨組みです。
どこからはじまり、何が起こって、どう終わるか。
それを記述した「もの」をプロットと呼びます。
書きこむツール次第でプロットの形は様々です。
詳細に書き込むほど物語を作る時に迷わなくなります。
そこに異論はありません。経験してますし。
ほう? お前がプロットを作ったのか?
とか思われてそうなので、過去のプロットを再び張ります。
私の小説セルフレビューで「亡国の王女と邪教の姫」を読んでる人はもう見てますね。
こんなです
0-1. 大神官、ロストアーツの回収を依頼
→ 封印を解くのに必要なもの
0-2. 主人公、依頼を受理、達成
0-3. 大神官、封印を解除し、封印されていた強欲の神と契約
→ 将軍を取り込みクーデターを起こさせる。
0-4. 姫、逃走。
→ 主人公が姫を拾う。
1.旅の途中、兵士に追われる姫を助ける。
→隣国へ逃がすクエスト。
2.賢者に会いに行く
→動機:異界の門の閉じ方
3.賢者、魔女に会いに行く
→動機:異界の門の閉じ方
4.異界の門を閉じるために必要な魔力の確保
→竜の魔石が必要
5.竜退治
→竜の魔石確保
→サブクエスト:牛の獣人退治
6.王国への侵入
→隣国との開戦にタイミングをあわせる?
→城を包囲させる
7.神殿への侵入
→当然、大神官が居るよなー
→魔女と賢者と聖女以外が大神官の相手をする?
→魔女と賢者と聖女が以下の門を閉じる
8.姫は一行と旅を共にする。
→FIN
どこがプロットやねん!
と突っ込みたい人は多いかと思います。
こんなのアイデアノートレベルじゃない?
ついでにキャラ設定
■ヒロイン
・守銭奴→お金を集める動機付け
・魔法使い
■ショタ賢者
・魔女に成長しない呪いをかけられ、それを解呪するため魔法を研究しているうちに魔術のエキスパートになった。
・ロストアーツを探している。
■賢者の弟子
・魔法は得意ではないが白兵戦に長けるお調子者。
■魔女
・ショタ賢者に惚れたショタコン魔女。
・古より生きてきたロストアーツ使い。
■賞金稼ぎの男
・恋人を殺した賞金首を追っている。
■旅の剣術家
■魔法
・魔物を魔石に変換する魔法
・使い切った魔石に魔力を充填する魔法
■亡国の王子
・刃渡り2メートル弱の大剣を扱う大男。
■亡国の王女
・治癒の奇跡を起こせる少女。
■冒険者/ミディア・ウェスト
・奇縁で王子と行動を共にすることになった女性。
■亡国の大神官/魔王
・異界の門を開き、異界の神と契約し魔王を名乗った男。
なんとキャラ名が決まっていたのは1名のみ。正気か当時の自分。
私はこのプロットとキャラ設定をもとに「4万文字以内に話をまとめよう」という構想で書きだしました。無謀ですね!
最初の誤算
元々、このお話は前作「邪教の姫と剛剣の男」を書いた後に「おっさん書き足りないなぁ!」というフラストレーションから書き始めた作品です。
頭の中が筋骨隆々のたくましいおっさんで埋め尽くされます。
当然、自動筆記先生は最初のシーンにおっさんを投入!
確か、亡国の王子が元々おっさんの予定だったんですよ。
キャラ設定に1ミリも書いてないですけど!
キャラ設定に従い、行動を共にするミディアが登場。
おっさんの名前はその場で適当に決めました。
二人が対話しながら「旅の傭兵」に書き換わり、これから滅ぶことになる王国へGO!
もうこの時点で「亡国の王子」って設定が消えました。
この後もキャラ設定は吹き飛び続け、残ったのはこれぐらいかな。
ショタ賢者
賢者の弟子
魔女
他は全部切り捨てられました!
マジか! 当時の自分! いや今も変わらないけど!
結局プロットはどうなった?
尺の都合で大神官がパージされ、彼に関わるシーンもカット。
それ以外はプロットをなぞりました。
いや、「プロットに書かれていること”は”守った」という方が正しい!
キャラクターが勝手に動きだして話を転がし出し、プロットにないイベント盛りだくさん!
さらに前作のおっさん&お姉さん with 邪教の姫が船旅で合流!
船旅ってどういうこと?!
そこから先は割とプロット踏襲。
哀れな野盗が剣のさびにされたり、港町で竜対策のお買い物したぐらいです。
前作三人&今作三人&賢者と弟子と魔女、合計9人で後半戦を迎えます。
そのまま話は進んで無事エンディング。
前作三人が合流しちゃった辺りで
「自動筆記先生! 巻いて巻いて! 文字数溢れるから!」
って必死に頼み込んだ思い出。
なんで細かいプロットを作らなかったのか
「作らない」んじゃなくて「作れない」んですよ、私。
細かく作り過ぎて疲れ果てるとか。
物語のメインストーリーラインが行方不明になるとか。
どこまで作りこんだらいいのかわからないし、頭の中には膨大な情報が蜘蛛の巣のように溢れてる。
当時はあまり便利なツールもありませんでしたしね。
今のツールでも、私の脳内プロットを表現するのは無理だと思います。
なんなら3Dモデル作って立体的に表現した方がマシじゃないかってぐらい、描写しないあれやこれやが脳内でうごめいてます。
しかもこれ、プロットをアウトプットしていくほど形が変わっていく。
3つアウトプットして最初のプロットノードを見ると、もうそれは「古い内容」なんです。書き換えないといけない。
最初を書き換えるでしょ?
関係するプロットノード書き換えるでしょ?
ふと見たプロットノードが、もう古くなってる。
延々とプロットを書き直す作業が続いて行く。
これが多分、感覚型がプロットを書けない理由の1つじゃないかなぁと。
なのでアウトプットするのは最初のアイデアみたいな簡素なものしかないんです。
プロット作りが下手なだけでは?
それは一理ありますけどね。
けど結局「書けば書くほど成長していくプロット」なんてものを管理できるツールはないですよ。
収拾がつかないし、疲れ切っちゃう。
仮に書き切れても「あれ? これもう本文いらなくない?」ってなる。
っていうか、なったことがあります。
ほんとーにそうなの?
実はパンツァーでもプロットを作れる状況はあります。
例えば頭が疲れ切ってるとき。
想像力があんまり働かない時なら、プロットも作れたりします。
たとえばこんな具合に
これは「恋人に心臓を刺されまして」のプロットなんですけど、ほぼこの通りに話は進みます。
- 交流のある伯爵家同士だった主人公と相手役。幼かった二人は親密になり、いつしか将来を誓いあうようになる。
- だが十三歳のある日、事態は一変する――主人公が、国を代表する聖女として聖神から抜擢されたのだ。
- 国家に一人が任じられる聖女は、王族に次ぐ権威を持つ。婚姻もまた、その自由を奪われてしまう。
- それ以来三年間、聖女として生きる主人公。だが胸には幼馴染に対する恋慕がくすぶり続けていた。
- 伯爵は自分の派閥の利益を確保するため、ある政策を推し進めようとする。その後押しとして聖女である主人公の影響力を利用しようと近づいてくる。
- 侯爵も同様に主人公に近づき、利用しようとしてくる。
- 二人の政治家の利害関係が相反するため、主人公は頭を悩ませる。どちらも民衆絵の利益を説き、聖女を説得にかかってくる。
- 伯爵は市場税を減免することで、商売が活発になり民衆に利益が出ると説く。だが王国最大手商人ギルドと癒着しており、その裏で減った税金を人頭税増額という形で民衆から直接徴収し、帳尻を合わせつつ商人ギルドが増やした利益の半分を懐に入れる算段だった。伯爵は王位簒奪を企て、そのための資金を作りたいのだ。
- 侯爵は土地税を減免することを訴えた。代わりに通行税を増額することで、自領土の人気ある特産品を領土外に持ち出す商人たちから税金を搾り取ることを考えた。侯爵は良心的だが、商人ギルドに負担を移し替える政策なので伯爵の方針とは対立する。
- 二人の貴族の言い分は対立し、王国議会でも各派閥が争っていた。そこで聖女である主人公に、「自分の派閥に与して欲しい」と申し出てくる。聖女はどちらに協力するべきかを悩むことになる。
- 主人公は聖女としての務め、貴族たちからの政治干渉など、公務で忙しい傍ら、幼馴染への恋心を思い出し、彼に相談を持ち掛けることを思いつく。
- ある夜会に幼馴染が参加することを耳にした主人公が夜会に参加すると、彼は別の令嬢をエスコートし談笑していた。近々婚約する予定だと耳にし、落胆する。
- 幼馴染も、聖女という権威ある存在として扱われる主人公を目にして、自分とはもう立場の違う主人公を実感し、彼女への恋心を諦めようと自分に言い含める。
- ぎこちない会話を交わす主人公と幼馴染。その晩は、結局主人公が悩みを打ち明けることもできずに別れることになる。
- 幼馴染は婚約予定相手ともぎこちない関係が続き、その晩は帰宅する。主人公への恋心を諦めきれないまま思い悩む幼馴染が、偶然父親の野心を知ってしまい、途方に暮れる。だが主人公の顔が頭によぎり、彼女へ相談することを決意する。
- 夜会の後、落ち込みながら暮らす主人公の下に、差出人不明の手紙が届く。それは幼い頃に幼馴染と遊びで作った暗号文。主人公は指定された場所に慌てて向かう。
- 日が落ちた町はずれの教会で幼馴染は待っていた。人気のない場所で主人公は幼馴染に恐る恐る近づいて、目的を問い質す。
- 幼馴染は「お前にこんなことを頼むのは、筋違いかもしれない」と言いながら、父親が王位簒奪を企て、そのための資金集めに政策を進めている事実を教える。
- 主人公は伯爵の真意を知らされ、彼に協力するべきではないと決意する。だが伯爵を糾弾することは幼馴染が父親と一緒に没落することも意味する。思い悩む主人公。
- 幼馴染は「それでも構わないさ」と笑い、主人公がなすべきことをするように勧める。
- 幼馴染の笑顔に恋心が刺激された主人公は、彼に「それじゃあ、婚約の話もなくなっちゃうよ?」と問いかける。彼は「別に望んだ婚約でもない」と応える。不思議な温かい空気が漂う中、主人公は「私たち、元の関係に戻れないかな」と告げる。幼馴染は「……もう無理だろ。聖女様」と応え、その場を立ち去る。幼馴染は、没落する自分に主人公を巻き込むことを避けたかったのだ。
- 主人公は幼馴染の真意に気付いてしまった。なおさら自分が取る道を選べなくなる主人公。思い切った主人公は、伯爵に直談判で野心を諦めてくれるよう説得に向かう。
- 幼馴染と共に伯爵を説得する主人公。伯爵のやり方では民衆は幸福になれないと説き、そんな伯爵の野心を認めないと突き付ける。伯爵は「このことを陛下に内密にしてくれるなら諦める」と約束してくれる。主人公は、それで民衆が迷惑を被らなくなるならと、伯爵の要望に応じる。
- 主人公は幼馴染と二人きりになり、胸の内を素直に打ち明け合う。お互いが「結ばれたい」と願うが、幼馴染は「だが聖女とは婚姻できない」と諦める。そこで聖女が奮い立ち、「そんなルール、私が変えてみせる!」と立ち上がる。
- 各国の聖女たちにコンタクトを取り、聖女が自由な婚姻を許されない聖教会の規律を変えることを提唱する主人公。これまで不満に思っていた各国聖女たちの後押しもあり、数年の時間をかけて聖教会幹部たちを説得する。
- 最後は聖神からも許可をもらい、晴れて公式に「聖女は望む相手を婚姻する自由がある」という規律変更を掴み取る。
- 二十歳になった主人公は、ようやく幼馴染と婚姻することができる。結婚式で永遠の愛を誓いあう二人で物語は終わる。
前述のものよりましですが、プロッターから見たら「これがプロット?」とか言われそうなお粗末なものです。
この時は習作短編を20作品ぐらい1か月の間に投稿してたので、それで疲れ切ってネタ切れ起こしてたんですよねぇ。
長編書き終わった後だったのも影響したのかなぁ?
自動筆記先生が起きてくれなくて。
それで「じゃあプロットでも書いてみるか」って試しにプロットを書いてみたら、こんな風になりました。
本編と違うのは、タイトルにあるシーンから始まるところですかね。
プロット眺めてても、自動筆記先生が「つまらん!」って一刀両断するんですよ。
まぁそりゃそうですよね。流れはドがつくスタンダードだし。
奇抜なアイデアが出てくる状態でもないし。
そこで「じゃあ冒頭にショッキングなシーンから始めるんで、それでどうっすか?」って話をしたら「ふーん、それなら書いてやる」って言ってくれたので、なんとか書きだせました。
元々、余りに詰まらないから読者フックが欲しいなぁって頭をひねってたんですけどね。
衝撃的なシーンから始めるのって定番でしょ?
なんとか形にはしましたけど。
総合評価が200ポイントってのがすべてを物語りますねぇ。
結局のところ
プロットに従ってると、キャラが生きてるって実感が湧かないです。
大根役者が芝居してるみたいに感じちゃう。
言葉や行動の裏に、そいつらの魂を感じない。
大枠のテーマとか、指標みたいな漠然とした概念までならいいんですけどね。言い換えると「物語のベクトル」といいますか。
そういう「もの」になら、キャラも従ってくれます。
でも最初に示した「亡国~」レベルのプロットでも、キャラたちは大根役者に変わってしまう。
私の脳内ペルソナども、わがまますぎない?!
という訳で、実例を示しての
「私みたいな感覚特化型パンツァーがプロットを書くとこうなる」
というお話でした。
プロットなんて書けなくてもいいじゃない。
思うままに書き散らかして、真っ白な地図に未来絵図を描いていこうぜ!
そんなセリフを爽やかスマイルで叫ぶ自動筆記先生の顔面を張り倒したい。いつもお世話になってるけどもな?!
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