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感覚型作家向けの講座とは(2)<小説の書き方>

 「感覚型作家向けの講座とは(1)」に続くパート2。

 今回は「どうやったら一貫性のある物語を作れるのか」というのをパンツァー(感覚型)作家の視点で見ていこうと思います。


感覚型の理論とは

 私たちパンツァーは考えずに物語を紡ぎます。

 垂れ流される妄想をただ文章化していきます。

 でも、それで物語になるわけがない。

 どこかで整合性を取らなければなりません。

 さてここで1つの疑問。

 「物語とは何ぞや

物語とは

 子供向けにシンプルに行きましょう。

 始まりがあって、途中があって、終わりがあります。

 「馬鹿にしてるのか」? だってこれ、パンツァー向けの講座だもの。

 小難しい単語をこねくり回すのはプロッターに任せましょう。

 高尚な文学だろうと何だろうと、物語ってのは形が決まってるものです。

物語の始まりとは

 読者を期待でワクワクさせてくれるのが導入部。

 つまり「物語の始まり」です。

 ラピュタなら、「親方! 空から女の子が!」ってあたりでしょうか。

 「これから何が起こるんだろう?!」って期待に胸を弾ませる、そんな体験を提供するのが「物語の始まり」です。

物語の途中って?

 登場人物たちが交流して、仲良くなったり喧嘩をしたりします。

 強い敵が現れてぼこぼこにされるかもしれません。

 悲しい運命に打ちひしがれて、泣いてしまうかもしれません。

 実は物語の中核をなす、一番大切な所だと思います。

 ここで豊かな体験を読者に経験させると、読者満足度がぐーんと上がります。まぁ、ここまで読んでもらうまでが大変なんですが

じゃあ、物語の終わりは?

 普通は「すべて終わってめでたしめでたし」ですね。

 ご隠居様が出てきて印籠が飛び出たり。

 上様が暴れまわって「成敗!」とか叫んだり。

 ラピュタなら「バルス!」してみんなでお家に帰ります。

 読者に気持ちの良い読後感を与えるのが「物語の終わり」ですね。

ぶっちゃけると

 物語のパターンは王道邪道、その他もろもろ色々あります。

 でも最初は王道を身につけましょう

 時代劇が一番わかりやすいです。

 あとは日本の昔話。

 落語も案外馬鹿にできません。

 とにかく王道を書けるようになってから邪道に手を出しましょう。

どうやって身に着けるか

 なんでもいいと思いますよ?

 小説に限らず、物語なんてメディアを問わずいくらでもあります

 映画に漫画、ゲームだってある。

 演劇でもなんでも。物語は人類の文化ですから。
 なんなら交響曲にだって物語はありますし。
 昔ならミュージシャンのアルバムにも物語性がありました。
 物語って、どんなものにも付けられるんですよ。

 でも面白い物語って、大抵「心地良い体験」がセットです。

 そんな物語のパターンをひたすら吸収していきましょう。

 ただ視聴するだけじゃ、たぶん駄目です。

 「あー楽しかった」だけだと、大して血肉になりません

 「どうしてこうなったのかな?」とか。

 「なんでこれが気持ちいのかな?」とか。

 その理由を考えて、想像してみましょう

 「自分ならこうする! ……あれ? つまらない」とか、一度は経験しておくといいと思います。

 面白いものには理由がある、ということを感覚で覚えましょう。

 ほら、私たち感覚型人間なので。

 変に理論的に考えようとせず「こういうときにこうしたら気持ちいい」とか「楽しい」ってパターンを吸収していけば良いと思います。

 そのうちパターンを学習しますので。
 ……って書くと、まるでAIみたいだな?

身に着いたら

 前回のコラムで、自分の中にある空想を文章にする方法を述べました。

 ということは、あとは空想を「物語の形」に乗せてあげればいいんです。

 最初の内は、一生懸命考えないといけないと思います。

 「どうしたら楽しいかな?」とか。

 「どうしたら驚くだろう?」とか。

 頭を使いながら空想をくっつけていきます。

 そのうち、無意識に「物語の流れ」に空想を乗せられるようになります。

 まぁ、私たちの空想はよく暴走するんですが

 そこはご愛敬で、物語の流れになるよう空想を継ぎ足していきましょう。

 「元の流れに戻す」んじゃないですよ?

 暴走したらその方向に物語が流れるように手を添える感じです。

なんで暴走するのか

 私たち感覚型は、要するにキャラクター駆動なんですよね。

 「物語ありき」じゃなくて、「キャラクターありき」で空想してる。

 キャラクターが予定した通りの動きをしなくなったから物語があらぬ方向へ流れていく。

 まぁそれは、キャラクターが「生きている」ということなので、それはそのまま尊重してあげた方がいいです。

 じゃないと彼ら、頭の中に住み着いてずーーーーーーーーーっと恨み言を言い続けます。実体験なので間違いないです

 彼らの進みたい方向に地面を用意してあげて、物語が終着点に向かうのを見守ってあげると良いです。

でもそれ、野放図にならない?

 手放しでキャラクターの暴走を許してるとなりますね。

 でもそれ、キャラクターが破綻してたりしませんか?

 たとえば完全無欠で神様より強いとか。

 一言で異性の心を射止める奴とか。

 そんなので物語を綴るのも面白いですけど、ああいうのは高等技術です。

登場人物の役割

 物語の登場人物って、役割があるんですよ。

 たくさん覚えてきた物語の登場人物は、物語の中で自分の役割を果たしていく人たちです。

 気持ちいい物語には、配役が務めを果たし切ってるパターンが多いと思います。

 地に足がついた「空想の世界で生きている人間」を登場人物に定める以上、彼らにも苦手とか限界とか、普通にあります。

 地に足が付いてない? そこは高等テクニックを駆使してなんとかしてください。最悪デウスエクスマキナで話を終わらせるとかありますし。

 その上で暴走するなら、物語が破綻するなんてことはめったにないです。

 破綻するとしたら、そもそも物語の枠組み自体が悪かった、ということになるんじゃないかなと。

キャラクターが生きているということ

 これは感覚型の人なら理解しやすいと思うんですけど。

 登場人物たちって、自分の意志があります。

 過去があって、将来がある。

 目的はあるかもしれないし、ないかもしれない。

 頑張ってるかもしれないし、腐ってるかもしれない。

 現実に生きる人間のように多種多様な人生を送ってます。

 空想の中で彼らの人生を想像していきましょう。

 彼らに役割を任せて、物語の方向だけ指示したら、あとは黙って空想して見守りましょう。声援を送っても良いですけどね?

 そうすればあとは勝手に自分だけの物語が出来上がります。

本当にこれが論理的なのだろうか

 う~~~~ん、我ながらわからないです。

 言葉にはしました。

 概念を説明もしました。

 登場人物のコントロール方法も伝えました。

 あとはもう、ひたすら作品を作りましょう。

 未完結じゃだめですよ?

 2万文字とか4万文字とかでも最初はいいじゃない。

 5000文字でもいいじゃない。

 彼らの動かし方がわかれば、次は長編にチャレンジです。

短編の作り方

 アイデア一つ。あとはそこから思いつくまま話を転がしましょう。

 私たちは感覚型なので、火種があれば簡単に燃え広がります。

 あとは燃えるに任せて、短い尺に収まる範囲で物語の形を目指しましょう。きっと楽しい物語が待ってます。

 え? 楽しくない? そうなったら没です
 窓から投げ捨てて供養しましょう。

長編の作り方

 これはさすがに無計画だと厳しいものがあります。

 最低限、世界や空気感、主人公の夢や希望くらいは考えないと。

 主人公を頭の中で肉付けしていって、
「あ、こいつの話は長くなりそうだぞ?」
 ってなったらそいつを主人公にしてスタートです。

 脇役はあまりがっつり決めず、必要最低限に抑えておくのがベター。

 だって話が転がると勝手に新しいキャラが出てくるし。

 その時にその人の人生とか考えてあげればいいです。

 「この先500m」とか書かれてるだけの看板を見ながら、ひたすら文字を打ち込んでいきます。

 うちら感覚特化型のプロットなんて、そのくらいアバウトでいいんです。

まとめ

 今回で「物語のパターンを身につける」ということを語りました。

 それができればもうほとんど終わりです。

 パターンにのせたら楽しそうなキャラを妄想してるだけで筆が進みます。

 ここは感覚型作家の本領発揮なので、楽しみながら書いて行きましょう。

 何作か、あるいは何十作か書いて行けば、そのうち無意識で書いて行けるようになります。

最後に

 どうだったかなー?

 「感覚型作家向けの講座」とかいう無茶振り、さすがに無茶が過ぎる!

 私が言葉で説明できないことを、どうして説明させようとするかな?!

 まぁこの記事が誰かの役に立つことを願います。マジで。

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