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選択的夫婦別姓の問題点、司法は聖域ではない、三浦・宇賀・草野・宮崎裁判官の意見書【現行法に違憲判決をくだした4名の裁判官】を読む(2021年10月30日)

*今回の動画の内容

■現行法を違憲(選択的夫婦別姓を導入すべき)とした4名の裁判官
(*それぞれ敬称略)
・三浦守
・宮崎裕子(すでに定年退官)
・宇賀克也
・草野耕一

■三浦守裁判官の意見
・現行法は憲法24条に違反している
・時代とともに婚姻と家族をめぐる状況は変化している
・現代は晩婚化、非婚化、離婚、再婚、日本国民と外国人の結婚も増加している
・同姓による家族の一体感は各家族に委ねるべき
・多くの女性が姓を改めることによる不利益
・女子差別撤廃条約は、法改正を勧告

●三浦守裁判官への反論
・「個人の尊厳」のみを意図的にピックアップして、「両性の本質的平等」を無視している。
・時代の変化とはなにか、このような曖昧な言葉は法改正の根拠にならない。
・個別の結婚の事情は、あくまでも個別の問題であり、法改正の根拠にはならない。
・そもそも一体感という感覚は、個別の家族がそれぞれに感じるものであり、司法が言及すべきことではない。
・改姓による不利益を改善するために通称利用拡大に向けて動いている
・日本は女子差別撤廃条約を遵守している。勧告は、恣意的なものであり、むしろ選択的夫婦別姓によって条約違反になる危険性がある。


■宮崎裕子、宇賀克也裁判官の共同反対意見
・生来の氏名のアイデンティティーを失うことを受け入れらない人の人格的利益が侵害される
・選択肢がないことは、自由かつ平等な意志決定とは言えない
・女子差別撤廃条約は、国会の立法裁量を超える根拠となり、憲法24条2項に違反する

●宮崎裕子、宇賀克也裁判官への反論
・どこまでを人格的利益の侵害とするのか、では、誰かが何かについてアイデンティティーを失うといえば、それはすなわち人格的利益の侵害と認定されてしまうのか。
・結婚は強制ではなく、また、少数派の意見もありだと言うなら、少数でも女性の姓で統一されている夫婦の例はある。
(*4%は女性側の姓)
・日本は女子差別撤廃条約を遵守している。(*三浦裁判官への反論と同じ)

■草野耕一裁判官の反対意見
・国民の福利が向上するか、減少するか比較すると減少する福利は、同姓が社会標準となっているものである。
・多くの別姓夫婦が輩出されれば影響は減少する。
・夫婦同姓を「麗しき慣習」とする人々がいるが、制度を導入したからといって伝統が廃れるとは限らない。

●草野耕一裁判官への反論
・希望的観測で法改正を語らないで!

■憲法24条をどのように見るか
第二十四条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
*e-GOV法令検索・wiki「憲法二十四条」より

■4名の裁判官による意見書の問題点①
「個人の尊厳」を意図的にピックアップして…
「両性の本質的平等」を無視している。

■4名の裁判官による意見書の問題点②
「女子差別撤廃条約」は…
「子の利益」を至上としている。
子に対する夫婦の権利と「責任」が対等であることを原則としている。


*情報もと、素材もと

夫婦同姓は「合憲」 最高裁の決定要旨、反対意見も紹介

権力分立

日本国憲法第24条

*前回のノートはこちら

*また、裁判官の詳細な情報については以下を参照

2021年最高裁判所裁判官国民審査

最高裁の裁判官をチェックしよう 対象11人のこれまでの判断は? 衆院選と同時に国民審査 

最高裁判事は「選択的夫婦別姓」をどう判断した? 衆院選と同時にある「国民審査」のポイント


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