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【「欧州の未来に向けた重要な欧州の記憶」、崩壊する共産主義と連合国の正当性】戦後レジームの崩壊と新世界秩序②

*前回ノート

*内容
前回、1990年の湾岸戦争のときの、アメリアと日本の首脳会談から、アメリカの方から戦後レジームを転換させようとしてきた、という話をしました。
今回は、少し視点を変えて、ヨーロッパの話をしようと思います。
年末から、ウクライナの方で、NATOとロシアの緊張状態が続いています。
この状態は、2010年前後から2014年のロシアによるクリミア併合の延長線上にあります。

そうした状況がつづいていた中で、2019年9月19日、欧州連合(EU)に欧州議会という組織が、ある決議を可決しました。
その決議は、「欧州の未来に向けた重要な欧州の記憶」と呼ばれるものです。
原文は、概要らんのリンクから見ていただきたいんですが、この決議の中にこのような、一文があります。

決議文E項(Google翻訳)
"E.ナチス政権の犯罪はニュルンベルク裁判によって評価され罰せられたが、スターリン主義や他の独裁政権の犯罪についての意識を高め、道徳的評価を実施し、法的な調査を行うことが依然として緊急に必要である。"

内容は、ナチスの犯罪はすでに裁判で決着がついているが、スターリンなどの他の独裁者の犯罪については裁判なども行われておらず、あまり知られていないので、もっと調べて宣伝しましょう、という話です。
ここで大切なことは、ナチス・ドイツの犯罪と、スターリン・ソ連、独裁政権と言っていますが、これは明らかに共産主義圏の独裁体制、例えばルーマニアのチャウシェスク政権などを示しています。
これらスターリンを含めた独裁者による犯罪が、ナチスと同列の犯罪として、扱われてたということになります。

この決議を見ると、第二次世界大戦で正義の側であったソ連、共産主義を歴史上の悪として断罪しよう、という話になるのですが、ではなぜ今、2019年なのか、という話なんですよね。
この2019年のEUの決議案は、政治的な背景で言えば、2014年以来のロシアとヨーロッパとの対立の中で、決議された歴史観です。もしかしたら、中国共産党も入ってるかもしれませんけどね。
ですが、だったら、もっとはやく決議してもよかったのではないか、という話になります。
共産主義との対決を望むのであれば、むしろ東西冷戦の時期には、こういう歴史観を確立させておくべきだったはずです。
さらに、戦略的に考えるのであれば、もっとロシアとか旧ソ連が弱体化している時期に、断罪する決議やルールを決めておけば良かったはずです。
そうすれば、戦後のドイツを押さえつけたように、ロシアや旧ソ連を押さえつけることができたかもしれない。
では、なぜわざわざ今なのか?
ということで、次回につづきます。


*情報元、素材元
外交文書 ブッシュ氏 湾岸危機で自衛隊派遣に強い期待 12/22(水) 18:10配信12/22(水) 18:10配信

ウクライナ情勢 米独がロシアに警告 軍事的攻勢なら経済制裁も 2022年1月6日 10時54分

欧州で「戦勝国史観」の修正議論 「ソ連=正義」のニュルンベルク裁判は間違い 2019/11/15 20:21

欧州の将来のための欧州の記憶の重要性に関する2019年9月19日の欧州議会決議(2019/2819(RSP)):European Parliament resolution of 19 September 2019 on the importance of European remembrance for the future of Europe (2019/2819(RSP))
(Googleなどでページごと日本語化すると見やすいです)


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