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余白時間


大学進学とともに田舎を離れ、
大阪には12年、
夫の転勤に連れ添い、埼玉浦和に1年住んだ。
その後淡路島の田舎に移住して現在に至る。

大阪・埼玉を都会とするならば、
わたしの人生の中で都会での生活は、
ざっと13年ということになる。

田舎と都会の
メリット・デメリットは各々あるし、
一概に良い悪いの判断はできない。
それはここ数年で十分考えたし、
分かっているつもり。

でもどうしても、
都会の生活から手離してしまったものに心が揺らぐのは、
ないものねだりなんだろうか。


先日、
久しぶりに大阪へ出た。
車を運転していくことが多いのだけど、
今回はバスと電車を乗り継いで向かった。
わたしの住んでいる
淡路島のすみっこからだと、
片道1時間半。
なぜ、今回バスと電車を乗り継いだか。

それは、
余白時間を楽しみたかったから。


淡路島での生活は車が不可欠で、
私も移住してきてから1台、所有してる。
車移動は、とても便利。快適。
自分の部屋ごと持ってってるみたい^^

なんだけど。
当たり前だけど、どうしても運転に集中しなくてはならない。
よそ見できない。
他のことをボーっと考えてると、危険だもんな。

その点、他の人に運転を任せられる
バスや電車での移動は、気楽。
大阪で会社員をしていた時は、毎朝本を片手に乗車してた。
ぼーっとつり革広告を見てるだけで、情報が得られる。
電車に乗り合わせた人を見るだけで、
流行りも感じ取れる。
駅を出れば、
季節ごとに変わるお店のディスプレイが目に入る。
意識せずとも、
勝手に与えられた余白時間で、満腹になるこの感じが、
何気ないけど、とても好きだったんだろうな。
住んでいる時は、
当たり前すぎてなんとも思わなかったけれど。

今、田舎での生活をして、
ほとんどのことには満足しているけど、
この、勝手に与えられる余白時間を手離したことだけが、
心残り。

今回、大阪へ行く前日、
ウキウキしながら文庫本を1冊買った。
本に目を通しつつ、
周りの風景も楽しんだ。
それはもう、大人の一人遠足。
バスの待合や電車のホームで、
一人で、ふふふ…とにんまり微笑んでしまうくらい、
楽しかった。

もちろん、田舎に住む今も、
余白時間を作ろうと思えば作れるのだけど、
「作ろう」と思わなければ、作れない。
これ、わたしが不器用なだけかな?
わたしと同じような経験のある人に、ぜひ聞いてみたい。

もうきっと住むことはないし、
縁も遠くなってしまうのだろうけど、
年に数回は
都会の風をビュンビュン浴びたい。

そして、
今は亡き、舞い降りてくる余白時間を、
ありがた~~く噛みしめたい。















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