退職した今、「台風近づかないで」と心から思えることに気づく
今、台風14号が近づいて来ている。
もうすぐ九州に上陸するのではないか?この三連休に日本列島縦断するのではないか?との予報だ。
予報を見ると、日本列島に沿うようにギュイーンと曲がって来ることになっている。
「近づかないで」と思う。
少しでも逸れたらいいのに、と。
が、ふと思った。
たぶん、教員として働いていた一年前までだったら、「台風、朝のうちだけでも来て、休校にならないかなぁ~」と思っていた(管理職が休校判断をする朝のうちだけ来るなら休校になるだろうし、朝のうちだけ来るなら被害もそんなにないだろうし、と)。
退職した今、「近づかないで」とだけ願うことができる自分にビックリした。
退職してよかったことの一つとして、直撃してきそうな台風に対して、「日本列島に直撃しないで、それるか弱くなって消えてほしい」と、本能のまま素直に願うことができること、があると思った。
現職だった頃は、こっそりと思っていた。
休校になったら…電車は少し遅延はするかもしれないけれど、出勤して普段は授業に追われてできないデスクワークを集中してやってしまえる、と。
授業が嫌いだったわけではない。むしろ、授業は教員の仕事の中で一番好きだった。子どもと接するのも好きだった。でも、「休校になれば授業以外の仕事ができる」と思ってしまうのも事実だった。
うっすらと覚えているのは…教員になりたてで、まだそれほど仕事がなかった時のことだ。教員生活で初めて台風で休校になった日、先輩から電話で連絡を受けて、休校を残念に思う声を出した時がある。「予定して準備していた授業ができない」というのが残念だった。
「休校なの、残念なんだ?」
と、先輩に意外がられ、私の方こそ、そう驚かれることを意外に思ったことがある。
「私はダメかも?『授業ない分、仕事できる♪』って思っちゃった~」
と先輩に言われ、「先輩はそんな風に思うんだ」と新鮮に思った。すぐに、私もそう思うような仕事量になっていってしまったのだけれど(^^;)
教員に限らない。tweetでは、「台風で休校にならないか」とか「会社休業にならないか」という呟きであふれている。
でも、ふと思う。
これって人間の本能としてはおかしい感覚なのではないか?
人間の本能からしたら、もちろん台風に直撃はしてほしくないはずだ。
それなのに、
「台風が来たら休校になって学校に行かなくてすむから直撃しないかな」「台風が来たら会社が休業になって行かなくてすむから直撃しないかな」
と願ってしまうというのは、もはや「ここで車にひかれたら、ケガをして出勤せずに休めるから、交通事故にあわないかな」という感覚に近い、本能に逆らう願いなのではないか。
他の国だと、台風が近づいた時のtweetはどうなのだろう?日本がことさら、台風が近づくことと引き換えに休校や休業を願うのなら、「日本人は働きすぎ」ということになるのかもしれない。
と、思ってちょっと調べたら…台湾では「台風休み」というものが前日から決められていて、台風で会社も学校も休みになって、映画館やカラオケが満員になるという(台湾留学センター情報)。当日朝ではなく、前日から休日になりやすく、たとえ軽い台風で終わっても休日を楽しめるような社会になったら、本能に逆らって台風がギリギリまで近づくことを願わなくてもすむのかもしれない。