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「ひぃ!」と怖がりながら親知らずを抜いた話


先日親知らずを抜きました。
なにせ人生で初めてのことで、めちゃくちゃ怖かったし、貴重な経験でした。

その痛みは突然に

土曜日の朝、起きたらなんだか歯が痛い。
(うそー……虫歯? 昨日までなんともなかったのに?)
不穏な目覚めに、上半身を起こしたまま固まってしまった。しかも「歯が痛いからすぐ診てもらおう!」と気軽に動ける身分ではない。子供たちもいるし、その日は用事があった。

保育園の保護者会だ。
しかも役員決めとかあるらしいとのことで、前日から「あわわ役員決めとか人生で初めてなんだけど……でも小学校とかはずっと決まらずにシーンと地獄の時間を過ごすとか聞いてるからそうなったらさすがにやだからいざとなったら覚悟を決めて手を上げようこわいけど」などとチキンなのか勇気があるのかわからない心境でいたのだ。これ以上懸念事項を増やさないでもらいたい。

でも。
虫歯になる時は大体水がしみたり、ズキズキしたりと予兆のようなものがある。今回はそれはなく、歯というよりは口を開けると痛い。口の筋肉痛ってなったことないけど、筋肉痛に近いものがある。
(筋肉痛? そんなすごく口を使った覚えはないけど、筋肉痛なら、だんだんマシになってくるのでは?)
そして問題を棚上げにした。

──そう、この時の私はまだ、「親知らず」なんて言葉、頭には全然浮かばなかったのだ。
(無駄に「ミステリーの重々しい不穏な幕開け口調」を使ってみた。
 連続ドラマなら最後に主人公ナレーションで流れるやつですね)

 事実、土日でマシになり、日曜日は「もうこのままよくなりそうだよね」と楽観視していた。左下の奥が怪しいが、そこは神経まで抜いて銀歯が入っている。フロスをかけると少しマシになったので「ばい菌が入ったのかな、やっぱ掃除しなきゃだよね、近いうちに健診行くかなー」と考えた私は木曜日にネット予約を入れて、頭の中の「様子見」フォルダに問題を投げた。

 保護者会での役員決めが意外とあっさり(私以外の人に)決まったこともあり、問題が解決した私はうかれてわりと楽しい週末を過ごしたのである。やっほーい。

また痛い


が、月曜日。
(え、まだ歯が痛いんだけど……)
仕事中も歯が痛い。断続的に痛い。だんだん怖くなってきた。
やっぱり土台の歯がヤバくなっているのでは。私の知らないところで、虫歯菌やら歯周病菌やらと攻防を繰り広げているのかもしれない。ファンタジーなら、美しい白い城にオークやトロルなどの軍勢が「わー!」と押し寄せて城壁にハシゴをかけて、アリが群がるように城を黒く染めていき……。

 ついつい妄想が広がってしまう。とりあえず歯医者さんに電話しよう。
不安なまま木曜日まで過ごすのは嫌だ。早くケリをつけたい。
電話して急きょ診てもらいたい旨を告げると、夜に診てもらえることになった。ありがとう歯医者さん!

診察室の椅子にて

 ところがいざ診察の段階になって、痛みはだいぶ治まっていた。
こういう時、いつも先生方に申し訳なくなる。
まるで子供の病状が落ち着いてから診察受けに来ちゃったときみたいだ。症状がないのが一番いいのに、なぜだか「さっきまでこんなひどかったんです!」アピールをしたくなる。症状のピークを診察時に持ってこられればこんな微妙な気持ちにならないけど、人生そううまくはいかない。

 歯科衛生士さんにも「土曜日が一番ひどくて……」と言い訳がましく説明する。この時はまだ(きっと奥歯だろうな)と思っていた。
(万が一の時には奥歯、土台からやり直しだったりするのかな……。やだな、削って型とって詰め物して……銀歯できるまで1週間とかかかるよね……)とシュミレーションする私。

 レントゲン撮影後、私は「たぶん奥歯にばい菌が入っちゃったんじゃないかなーと思って」と素人判断を披露した。
 ね、先生もそう思いますでしょ?
 削って型とって詰め物して銀歯できるまで1週間くらいコースでしょ?

「これは親知らずですね」


 ところが先生は。
「んー、でも虫歯になっている感じではないんですよね。こっちの親知らずだと思います。抜いたほうがいいかもしれませんね」と言った。

 OYASHIRAZU……おやしらず?
 全く予期していない歯が突然登場してきた。
 私の親知らずは完全に真横に生えている。「これは抜かなくても大丈夫そうですね」と遠い昔に言われて、私の人生に「親知らずを抜く」という選択肢は永遠にないと思っていたのだ。痛いとか腫れるとか聞いていたけれど それをしなくて済むことに優越感さえ抱いていた。それなのに。

 え……私、親知らず抜くの?

 なんだか痛そうな気がする。
「親知らず」と聞いて一番に思い浮かぶのは、頬が腫れて涙目になっているイラストだ。昔からそんなイメージなのだ。
 痛いのやだなぁ。

「あの、木曜日に予約入れてるんですけど……水曜日まで様子見て痛くないようなら、抜かずにキャンセルも可能なんですかね?」
 私はどこかで「親知らず 抜かずにすむなら そうしたい」などと考えていた。

「うーん、痛くなって何度か治療される方もいらっしゃいますし、思い切って抜く人もいますね。痛いですけど、抜いてしまえばそれまでなんで……」

 先生の口調は「1回で済むならそっちの方がいいですよ」と暗に勧めているようである。私も今後何度も通うよりは……と思う。
 しかし痛いのは苦手だ。もう怪我しちゃった後、マイナスの状態なら迷わず治療するけれど、今現在は痛みは治まっている。痛みのグラフでいうとゼロである。
 ここから自分で「痛い治療をする」とマイナスの状態を選択するのはきつい。できれば、できれば抜かずに済ませたいけども……。

「親知らずを抜くのには通常より時間を長くとります。前日キャンセルは僕らも困るんで、もしキャンセルされるなら明日中にご連絡ください」
「……わかりました」
 心の中で「ぎゃー!」と言いつつ私は半分くらい覚悟を決めた。
──これは、もう、抜かなきゃいけないやつだ。

求む、同士

 会計待ちの間、「親知らず」で検索をかけた。
 Twitter(XなのにまだTwitterって言っちゃう人)同士よ、「意外と痛くなかった」って言ってくれ、と思っていた。
 でもネット上には、
「痛かった」
「すごく時間かかった」
「まだ腫れてる」
 などなど痛そうな体験談のオンパレードである。意外と親知らず抜いた人が多い。最新のタイムラインを見るとまさに今日抜いた人や最近抜いて抜歯後の様子をつぶやいている人がずらずら出て来た。今まで全然関わりのないことと思っていたけど、こんなに皆親知らず抜いているのか。

 希望のあるコメントもあった。
「しばらく上手く食べられなかった」「痩せた」
 私もあわよくば痩せてしまうかもしれない。でも食べるの大好きな私だから食べられるものを探していかなきゃなぁ。
「痩せたいのか食べたいのかどっちなんだい」と自分でも思う。痩せたいし食べたいのである(わがまま!)。

 夫にふるえるうさぎのスタンプを送って「親知らず抜かなきゃかも」と添えて送信、家路に着いた。確か夫も親知らず抜いたと言っていた。これまで聞き流していたのに今はリアルな体験談に飢えている。
 帰ってから「虫歯じゃなかったよ~」と経過を一通り話してから私は言った。
「あのさ、親知らず抜いたとき、痛かった?」
 それまでふんふん、と聞いて(聞き流して?)いた夫は相づちをとめ、私を見て沈黙。三秒後にニヤリと笑って「すごい響くよ」と言った。
「こう……ガガガガ!! って」
 ご丁寧に上半身を激しく震えさせるリアクションつきである。
「ぎゃー」
 怖い。あと夫の顔が笑っている。「俺親知らず全部抜いたから」と余裕の笑みである。私が怖がっているのを楽しんでいる。くそう。詳しく聞きたかったけどこれ以上はやめにした。夫への反感が上回ってしまう。

 それからしばらくネットで検索をかけた。やはりリアルタイムの仲間の声が一番である。目の前で馬鹿にされたりしないし。

 そういえば先生は「少しあごの骨を削ります」とか言ってたな、と思い出し、検索をかけると「こういう手順で抜きます」と図解つきで解説しているサイトがあった。見る。歯茎を切ってべろん、とむいているイラストがあった。ひぃ。見るんじゃなかった。なんで開いたんだ私の馬鹿。

 希望をもらった声もあった。曰く、「意外と痛くなかった」「小顔になった」という。情緒が忙しい。痛いのは嫌だけど小顔になるのは嬉しい。もし痛くなければ反対側の右下も抜いて小顔になって皆から「やせたね!」とか言われないだろうかぐふふ。

いよいよ抜歯へ

 そうこうしているうちに、抜歯の日になってしまった。
覚悟はしていた。だが「あと数時間で痛いやつ」という状況は帝王切開以来である。あれ部分麻酔がしっかり効いてたし。麻酔効かなかったらどうしよう、でも昔は歯の治療に麻酔とかなくて、強引に抜いてたんだよな。怖いなぁ。そう考えると私は現代に生まれただけいいかぁ、なんて妄想しながら歯医者に向かった。なお「麻酔なしで歯を抜く」場面は古代エジプトの壁画風イラストで妄想してました。無駄にスケールがでかい。

 椅子に座ると、もうあとは先生に任せるしかない。まな板の上の鯉である。塗る麻酔、注射麻酔の後に、「始めますね~」と女性の先生に軽く声をかけられて、施術は始まった。

 まず、歯茎を切っているのか、全然見えないけど「プスプス、しゅわわ~」と微かに音が聞こえた。焼き切ってる感じなんだろうか。
 そして、カリカリひっかかれているような音がした。「おお、今のところそんなに痛くないぞ……?」とまだ余裕の私。

 歯医者の怖いところは、手や足の治療と違って「口の中で何が起こっているかわからない」ところだと思う。器具の形状もわからないし、正体不明のもので口内を治療される。できることは大きく口を開け、隙を見て唾を飲み込むことくらいである。

 下手に舌を動かしたが最後、高速で回転している治療器具(※勝手なイメージです)に舌が当たって大惨事になるかもしれない。怖い。

 先生と歯科衛生士さんからは一体どんな光景が見えているんだろう。ていうか、人の口の中を切ったり縫ったり、改めて考えるとすごいお仕事である。私が知らないだけで人形や模型相手に練習を重ねてきて、このお仕事についていらっしゃることと思う。帝王切開の時も思ったけど医療関係者マジすごい。語彙力が足りないけれど心から尊敬しております。

 その後、嫌な感触があった時にも、ちょっと反応しただけで
「あっ、しみました?」
「麻酔足しましょうか」
 すぐに対応してくれました。優しい……。
 結局、念のため3回目になる麻酔をした。(この調子なら大丈夫かな)と思った。
 でも、本当の地獄はここからだったのである……(意味深モノローグ2回目)。

先生、交代

 麻酔が効くのを待つ間、こそこそスマホを見ると1時間経っていることに気がついた。施術は1時間半、と聞いている。
「この感じをあと30分なら、楽勝なんじゃ?」
 だんだん明るい気持ちになってきた。

 何も考えず暇つぶしに、指のささくれをつまんだ。短くいい感じのところで切ろう、と思っていた、のに。
「あっ」
 うっかり長めに、最後までピーッととってしまった。血が出ないぎりぎりのところで、先は赤くなっている。見るからに痛い。手を洗ったらしみるやつである。なんで治療中に痛い要素を増やすんだ私の馬鹿。

 患者がささくれ処理を失敗したとは知らない先生が戻ってきて、治療が再開される。血がめちゃくちゃ出るスプラッタ―な想像していたけど、血の味がしない。
(さっきのうがいも血は少ししか出なかったし、治療も想定範囲内だし余裕余裕……)と思っていたら。

「ちょっと代わりますね~」

 年配の男性の先生に代わられた。ドキリとする。
 この時点で親知らずがどうなっている状態なのか全くわからない。舌で触るのも怖い。どんなホラーな状況になっているか知るのも怖いし、舌で触ることで下手にばい菌がつくのも怖い。
 ただ、「先生を交代しないといけないなにか」が起こっているのだ。

本番

「じゃ、削りますね~。ちょっと響きますよ」
 ギュイーン!
 すごい音がし始めた。器具を変えたのか、当たる面積も大きくなった。そして響く。振動が歯全体に伝わる。さっきまでのが前座と言わんばかりだ。便宜上「ギュイーン!」と書いてはいるけど正確に擬音化できない。宇宙船のエンジン音みたいだ。
 私はまだ本当の抜歯を知らなかったのか、などと思っているうちに。

「割っていきますね」
 割る!? 今割るって言った? 歯って割れるもんなの!?
 カンカン、ペキッ。
 事態を理解できないうちに私の歯が何回かに分けて割られていく。
 怖い。万が一先生の手元がすべって他の歯肉にすごい力で当たるのも怖いし、割ったかけらをうっかり飲み込んでしまわないか怖い。でも口を開けておくしかない。

 先生はその後、私の歯を引っこ抜きにかかった。
 ぐっ、と力がかかる。ものすごい圧がかかる。
「先生、力強いですね!?」なんて、リアクションをとりたくてもとれない。
 たぶんペンチみたいなもので歯をはさんでひっぱっている。マンガだったら「グググッ……!」って書き文字が出てるはずだ。
 先生、あごの骨ごと引き抜こうとしてませんか!?

 その後、先生は「んー」とうなったり「(たぶん親知らずが)しっかりしてるな」とつぶやいたりしながら削って、割って、抜いてを繰り返した。
 私は口を開けておくしかない。
 長い施術の間、様々な考えが頭をかすめた。

歯を引っこ抜かれながらの妄想

 これ、こんだけ頑張ってもらってるけど確か最初に料金聞いたら「2,000円くらいです」って言われたぞ……先生それ以上の働きをされていませんか?
 先生どうか今日は「はー今日の親知らずは強敵だった」とか言いながらステテコ姿(古い)で晩酌してください、おいしいお刺身をつまみにしてください……。

 これだけ苦労しているのはやっぱあごの骨にくっついているからじゃないだろうか。もういっそのこと……下あごごと取れたらいいのに。着脱式で、下あごごと歯を先生に預けて、本体は優雅にティータイムできたらいいのに。あっでも口が半分ないと飲めないか。

 歯ぐきを切って歯を引っこ抜くってだけでもすごいな……昔麻酔なしだと拷問にもなってたんだっけ……そういえば進撃の巨人でもそういうシーンあったな、司教がリヴァイとハンジの歯を引っこ抜いたりしてた。また嫌なシーンを思い出したもんだな私は……。
 最近観たゴジラでも、口の中が爆発するシーンがあった。ゴジラになんてことするんだ人類は。ゴジラも麻酔なしだし、とんでもなく痛かっただろうな……ひどい……。
 
 しょうもない妄想をしている間も先生は悪戦苦闘されている。院内のオルゴールBGMはスマップの懐かしい曲になっていた。
 あれから ぼくたちは~ なにかをしんじてこれたかなぁ……、のあの曲である。恋愛ソングなのに、あれからの「あれ」の部分に、「親知らずを抜くと告知されてから今日までのこと」が走馬灯のように思い出された。もう今後この曲を聞いたら今日のことを思い出してしまうだろう。なんてこった。

 頭であれやこれやと妄想し、ただ口を開けている間に先生の頑張りのおかげで歯は抜けたようだった。

抜いた親知らず

「じゃあ縫っていきますね~」
 女医さんにバトンタッチして、私の歯ぐきは縫われている……らしい。感覚はないけど「ここもう一針ですね」などと歯科衛生士さんと相談している。
「2日後に消毒、1週間後に抜糸しますね」と言われた。
「ばっし」を脳内で漢字変換する。抜歯と抜糸とややこしい。
「痛みは1~2週間続きます。痛み止め出しておきますね」
 ひぃ。そんなに痛いんだ。

 ふと横を見ると、器具に混じって私の親知らずが置いてあった。ほんの数時間前まで私の中にあった、私の一部。
 たぶんこのまま廃棄だろう、と思ってすぐ、私は口を開いていた。
「あの……これ、もらっていいですか?」
「あっいいですよー」
 自分の骨なんて、こういう機会を逃したらもう手に入らない。
 歯科衛生士さんが「子供用なんですけど」とケースに消毒した親知らずを小さいかけらまで全部入れてくれた。きっと普段は子供の乳歯を入れるんだろう。
 スマホを見ると、治療開始から2時間が経っていた。

顔の腫れ


 家に帰ってめでたし、めでたし……とはいかなかった。
 痛い。
 歯科衛生士さんの教えに従い冷えピタを貼る。子供用サイズがあごの下から耳の下までピッタリだった。上からマスクをすればはがれにくくなるだろう。
 翌日はそれほどでもなかったが、2日後、腫れた。朝鏡を見て「こぶとりばあさん……!」と思ったくらいである。左右非対称の己の顔を家族に見せたり写メをとって期間限定の表情を楽しんだ。でないと痛くてやってられない。職場でも「大丈夫?」と聞かれ、「痛いよね~」といろんな人の親知らず体験談を聞いた。やっぱり皆痛いよね。
 あと立体マスクが腫れた顔を隠してくれて助かった。コロナは嫌だけどこういう時マスクは助かる。

消毒

 施術から2日後の夕方、消毒に行きました。
(あとは抜糸か……だんだん楽になってくるんだろうな。抜く時が一番大変だったしな~)と思っていたんですが。

 消毒を終えた先生がさらりと、
「抜いて1~2週間は痛みがあると思います。今日明日が痛みのピークだと思うので……」と言われました。
 え? もう痛みは下り坂じゃないの?
 明日もピークなの!?
 頭の中はパニック状態。
「痛み止め出してましたけど、追加で出しますか?」「お願いします」と食い気味で返事をしました。だって痛いもの。

 その後も痛みは続きました。口を大きく開けると痛い。あくびでも痛い。上と下の歯の間が2センチ開くのが限界で、揚げ物とか、大きな食べ物をガブッとかむのはもってのほか。
 1週間後の抜歯自体は痛くありませんでしたが、歯ぐきに食べ物をうっかりはさんでかんじゃったら痛い。

 しかも、口内炎ができました。麻酔している間にかんでしまったのか、右上の唇の裏にできてしまい、親知らずは左下なので私の「食べ物食べていいよ」ゾーンがかなり狭くなってしまいました。踏んだり蹴ったり。
 左下はズキズキ痛むし、右上は歯や食べ物が当たったら痛いし物によっちゃしみる。食事のたびに涙目。5日間くらいは全然かめなくて、上あごや舌で押しつぶしたり、ウィダーinゼリーを食事替わりにしたり。

 口を大きく開けられないことから、「バナナを縦半分にスライスしてスティック状にして、半分ずつ食べる」という技まで編み出しました。

 自分が食べられないと食事を作る気も失せるし、外食の選択肢も減る。
 食べることが大好きなのに、しばらく暗い気持ちで過ごしました。

 痛みの方は、抜歯して1週間は痛み止めが欠かせませんでしたが、落ち着いてきました。縫い合わせた歯ぐきがでこぼこしていてちょっと妙な感じ。
 骨なども全部落ち着いてくるのには1年くらいかかるそうです。でも抜歯を受け入れるんだから人体すごいね。

 こんな感じで、私の親知らずは抜けました。
 いや~痛かった。
 残り3本の親知らずは抜かずに済む人生を送りたいです。

「痩せて見えるかもだから全部抜いちゃおうかな」なんて、もう二度と言いません……。


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