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タワー・オブ・テラーの歴史 その4 〜アトラクションの歴史を探ろう〜

↓その1、その2、その3はこちら

どうも、まさかその4まで続くとは思いませんでした。みつきです。

さて、これで全てのパークのタワー・オブ・テラーが揃った。その4つのうち3つは乗り物が前に進む演出を削除したタワー・オブ・テラーとなってしまったんだけど、演出を単純化したからこその「簡単に演出を変更するリニューアルを行うことができる」という利点があった。

東京ディズニーシーのタワー・オブ・テラーの期間限定バージョンはみんなも知っていると思う。ここ10年程開催され続けており、年によって3種類のバージョンが行われた。最初のものは2014年から2014年まで開催された「タワー・オブ・テラー:Level 13」で、通常の演出に慣れていると不意をつかれるような変更が行われ落下回数も増加した。2つ目のものは2015年から2018年まで行われた「タワー・オブ・テラー:Level 13 “シャドウ・オブ・シリキ”」で、偶像のシリキ・ウトゥンドゥが多く登場するようになり、シリキ・ウトゥンドゥが直接エレベーターのワイヤーを切るような演出も見られた。

画像出典:https://www.tokyodisneyresort.jp/fantasy/tot2019/

そして2019年から現在まで行われている「タワー・オブ・テラー “アンリミテッド”」では過去2回行われた期間限定バージョンと通常版のうちのどれかが行われるという贅沢な内容。このように複数のバージョンを同時に運営できるのも、バージョンごとの違いがあくまで映像や照明による効果の変更なので物理的にアトラクションを変更する必要が無いから。

画像出典:3 New Storylines and Drop Sequences Coming to Twilight Zone Tower of Terror at Walt Disney Studios Paris - WDW News Today
https://wdwnt.com/2019/09/a-new-dimension-of-chills-coming-to-tower-of-terror-at-walt-disney-studios-park/

フランスのトワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーは2019年にリニューアルされ「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー:ア・ニュー・ディメンション・オブ・チル」となった。トワイライトゾーンを元にしたストーリーはそのまま、新たな演出が追加された3つのストーリーのうちどれかが体験できるようになった。

"Disney California Adventure (51241246141)" by Jeremy Thompson from Los Angeles, California is licensed under CC BY 2.0.

極め付けは2017年のディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト!」のオープンで。名前の通りマーベル・コミックスを原作とした映画化作品「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」をテーマとしたアトラクションなんだけど、上の画像を見てもらうと分かるようにタワー・オブ・テラーのアトラクションそっくり、いや建物をそのまま流用して作られたアトラクションとなっている。元のホテルの形状が平面的で装飾を変更しやすいのをいいことに、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの悪役の要塞にしちゃったのだ。手が付けられたのは外観や内部の装飾、そして演出の変更くらいで、エレベーターのシステム自体は恐怖のタワーの頃から何も変わっていない。

"Specimens, Guardians of the Galaxy Mission Breakout, California Adventure, Disneyland, Anaheim, Orange County, California, USA" by gruntzooki is licensed under CC BY-SA 2.0.

知らない人に向けて説明すると、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは宇宙を舞台に荒くれ者達がノリノリの音楽の中で戦うアクションコメディである。これはどう考えても怪しいホテルで超常現象を経験するような内容じゃあない。そこでアトラクションのストーリーは「要塞の中に閉じ込められたガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのヒーロー達の救出にゲストが協力するけど、救出の最中で要塞の電気系統が暴走してエレベーターが暴走する」となり、映画よろしくノリノリの音楽に乗せてエレベーターが上下するようになった。

さらにこの演出を盛り上げているのが、エレベーターの停止位置の各所に用意されたディズプレイから見えるコミカルに要塞を脱出するガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのヒーロー達の様子である。勿論そんな空間はアトラクション内には存在しないのだが、エレベーターの動きと同期させた映像によって要塞内の空間を表現している。

↓何言ってんのかわっかんねぇという方は実際の乗車動画をどうぞ

この魅力的なリニューアルを発案したのはディズニーのクリエイターの「ジョー・ロード」氏。そう、東京ディズニーシーのタワー・オブ・テラーに登場するハリソン・ハイタワー三世のモデルになったあの人である。彼は「あんまり期間は無いけれど、決められた年までに新しいアトラクションを作って欲しい」というなかなかの無理難題を要望され、そり立つトワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーを見た時に「このホテルは外観を作り変えれば要塞に変更することができる」と思い付いたのだそう。

"Pandora - The World of AVATAR" by Sam Howzit is licensed under CC BY 2.0.

因みに当時、彼はディズニー・アニマルキングダムの大規模エリア「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」の制作を行なっている真っ最中だったそうな。いやはやお疲れ様です。ここら辺の話はディズニープラスで配信されてる公式のドキュメンタリー番組「ディズニーパークの裏側 ~進化し続けるアトラクション~」の4話で詳しく語られているので気になる方はどうぞ。

このアトラクションにも期間限定バージョンがあり、ハロウィン期間の夜間には「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:モンスターズ・アフターダーク」という特別バージョンとなる。何故ハロウィンの夜だけかというと、夜になってからガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーの一人がまだ要塞の中に取り残されていることに気付いて、まだモンスターがうろつく要塞の中に助けに行く、というストーリーだから。

〜note限定おまけ〜

"The Magnificent Tree of Life" by IceNineJon is licensed under CC BY-NC-ND 2.0.

タワー・オブ・テラーのハリソン・ハイタワー三世のモデルとなったクリエーターの「ジョー・ロード」氏。記事内で触れたようにタワー・オブ・テラー関係で色々と大きく関わっている彼だが、彼の手がけたものとして有名なのはフロリダにある動物や自然をテーマにしたパーク「ディズニー・アニマルキングダム」及びその中にオープンしたエベレストがテーマのジェットコースターの「エクスペディション・エベレスト」、同じくアバターをテーマにしたエリアの「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」、さらにはハワイ初のディズニーリゾートである「アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ」などなど。数々の大規模プロジェクトに関わった凄い方なのである。

因みにジョー・ロード氏は2021年にディズニーを引退し、現在は宇宙旅行ビジネス会社のヴァージン・ギャラクティック社に所属しているそう。凄い人はどこまでも凄いねぇ。

↓下の❤️を押すと東京ディズニーリゾートで撮った写真と一言コメントが見られます。

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