PS.ありがとう 第5話 (読了2分)
「ほんまにありがとう、その気持ち大事にするから、また何かあったら教えてな」
夫が不倫をしているかもしれないということを聞かせれているのに、なぜか心の中は清々しい思いでいっぱいだった。東京に行ける理由ができた、そっちの方が大きかった。
「美羽、それなーに?」
肩から外したポーチのファスナーを開けると、宝物でも取り出すように白い紙を取り出した。子供っていいなあと思える瞬間だ。
「これねえ、美里ちゃんママからもらったの、見て」
手よりも数倍大きな白い封筒を、表彰状のように持ち、落とさないように手渡しで渡してくれた。
「わあ、何が入っているのかなあ」
ハサミで丁寧に端を切る。柄にもなくワクワクする瞬間だ。
封を切って中から出てきたのは、商店街の抽選券だった。それを見て思い出した。
「外れはないみたいだから」
渡してくれた時の美里ちゃんママの笑顔を思い出した。美里ちゃんママが手紙のお礼にとくれたものだ。
「ママ、これなあに」
「これはね抽選券というくじなの、くじ引きわかるのね?」
じっと抽選権を眺めると顔を上げた。
「わかるよ、何が当たるの?」
「さあなにかなあ、当たってのお楽しみだね」
「いつわかるの?」
嬉しそうに聞いてくる。
「えっとね、ああこれね北町商店街にいけばわかるね、明日行ってみようか」
「わあい、美里ちゃんに言わないと」
とてもうれしそうだ。
「そうね、お礼を言っといて」
「うんわかったー」
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