プロリーグ挑戦、戦力外通告、引退。今後日本人がCFL・NFLでプレーする為には①
前回の投稿から1年以上経ってしまっていますが、少しだけ落ち着いたのでこれまでのことを書いてから、タイトルの話題について書こうと思います。（今回は長いので何回かの記事に分けて書いて行きます）
学生リーグ最終年
コロナウイルスの影響で例年より短いシーズン、プレーオフ無し優勝校無しという条件で2021年11月に開幕したメキシコ学生リーグは、６戦５勝１敗でそのうちの１敗は優勝常連校に負けただけで、リーグ全体ランクでは4位と本来のようにシーズンが開催されていれば、プレーオフ圏内という結果でした。
僕個人としては、バックアップQBとして１プレーも出場機会がないまま最後のシーズンを終えました。（シニアの選手では唯一僕だけ）
出れない悔しさもありましたが逆境の中何度も挫折を味わいながら、最後まで戦い抜いたこと。伝統のあるチームの一員としていること。
そして何よりたくさんの人々のサポートを受け、かけがえのない3年間を過ごせたこと。最後にロッカールームでユニホームを脱いだ時に「後悔」という文字は一つもありませんでした。
最終学年のシーズンを終える頃、メキシコで支えてくれた人たちに将来的に何かできないかと考えるようになり、メキシコで仕事をしてメキシコに残る決断をしました。幸運にもアメリカとの国境の街ティファナにある企業から内定を頂き、メキシコ残留が決定しました。
そのことを大学コーチに伝えると彼から「ティファナのプロチームでやらないのか？」と質問されました。
メキシコのプロリーグは基本的に週末が試合なので、土日休みの僕は両立が可能でした。
しかし大学リーグで何もできなかった僕は「どのチームも欲しがらないよ」と返答しました。すると「好きなのなら挑戦しなさい」とだけ言われコーチはその場を後にしました。
一晩考え、気がつくと次の日に大学の監督の部屋にプロリーグのことについて相談していました。
控えQBながらそれなりに真面目に取り組んでいた僕は、大学メキシコ代表の監督（2018年W杯優勝）」から好印象だったようで、プロのリクルートチームに「フィジカルもフットボールのテクニックは優秀で、そして何より誰よりもフットボールに対して勤勉。日本人ながらスペイン語も流暢に話す選手」としてお墨付きをいただきプロのトライアウトを実施することになりました。
プロ選手として
2022年2月にティファナに到着し、トライアウトを受けました。メキシコで名のある大学の１つであるメキシコ国立自治大学（UNAM）出身のQBとして何度かネットで記事にされたこともあるので、ティファナでもアメフトが好きな人には認知されていたそうです。
そんな事もありチームに溶け込むのも早く、トライアウトもQBとしてのスローイングなどを練習の中で見せた後、合格を言い渡されました。
しかしプロリーグには外国人枠というものがあり、ティファナのカリフォルニアと近いという土地柄もあってアメリカのサンディエゴから来た選手で埋まっていました。チャンスを待つ覚悟だったので、インアクティブ選手となり、怪我人などが出た時アクティブ登録をされるのを待つ事になりました。（インアクティブ選手は無給）
しかしそのまま1試合も出場する事はなくシーズン（プロのシーズンは３月～5月）が終了してしまいました。
プロ2年目
このままアメフトを引退するつもりでオフシーズンを過ごしていましたが、「２０２３シーズンにもう一度やらないか？」
チームの練習が始まる12月にプロチームのリクルート担当から連絡が届き、「必要とされているなら」という思いからジムでトレーニングする日々に戻りました。
前年にプレーオフを逃したチームは選手の獲得に本気で、前年よりもアメリカ人の獲得に力を入れていました。
その本気度は元NFL選手の獲得に動くほどでした。
１月の戦術的な練習が始まろうとした時に2人の選手を獲得したとのニュースがありました。その選手の1人は元ダラス・カウボウイズのレシーバーのTerrence Williams。もう1人が、テキサスクリスチャン大学で活躍しプロでは元シアトル・シーホークスでQB Russell Willsonの控えとしてプレーしていたTrevon Boykinでした。
チームとして試合に出場登録するQBは2人のうち1人はメキシコ人という方針であった為、外国人である僕は自動的に元NFL選手と最後の1枠をかけてポジション争いをする事になりました。
正直日本を出れば、ライバルは全員自分より背も大きい外国人になるので、外国人とのポジション争いは慣れていましたし、それが元NFL選手だろうと全く負けるつもりもありませんでした。同じグラウンドでやっている以上絶対に勝ってやろうというモチベーションでした。
その後の経緯は今回の投稿の意図と関係のある事だと思っているので、後の記事で詳しく書きます。
その僕の気持ちはすぐにへし折られ、Boykinが開幕戦のQBに指名されてしまいました。僕はは実力以前にコーチの方針によってポジション争いに負けてしまったのです。結果的にインアクティブ選手としてチャンスを待つ日々が続く事になりました。
チームの開幕戦勝利 しかし、、、
開幕戦をBoykinの起用で勝利したチームは、今後もBoykinでいく方針を完全に固めました。
そして練習日の昼、チームの情報を管理しているシステムからなんの通知もなくブロックされ、会社で仕事をしていた僕にオフェンスコーチから一通のメールが入りました。
「やあミツヒト。監督としっかりと話をした結果、もうあなたをチームに残しておくことは出来ません。あなたの練習に対する態度とあなたのQBとしての実力は素晴らしいです。あなたのチームに対する献身に感謝します。そしてあなたの今後の活躍を心からお祈りしています」
人生で初めて戦力外を言い渡されたので、最初はあまり状況が掴めずにいました。ディフェンスの仮想敵オフェンスのQBとして、たくさんタッチダウンパスを投げていましたし、投げる球の質やフットワークは今までで1番状態が良く、レシーバーやチームメイトとも言語の壁もなくうまくコミュニケーションができていたので、信じられないというのが当時の正直の気持ちでした。
しかし一つはっきりしている事は、僕はもう”必要のない選手”になってしまったのでした。
必要とされているならとチームに戻りましたが、必要とされなくなった。
アメフト選手としての潮時だと感じ、完全に選手としての引退を決意しました。
②へ続く
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