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「新人作家・杉浦李奈の推論3」クローズド・サークル ・・・最後まで気が抜けない。

松岡圭祐著の推理小説。鳴かず飛ばずの作家である杉浦李奈が事件を名推理する3作目です。

 今度は、クローズド・サークルが舞台。ストーリは、副題の通り孤島の隔離された場所が舞台で。急進の新人作家(櫻木紗友里)が所属する出版社が次の作家を募集するところから始まる。

 なかなか売り出してくれない版元に嫌気を出た杉浦李奈と那覇優佳が応募し、見事合格する。その後は、他六名の合格者と一緒に孤島でさらに櫻木紗友里の写真集撮影 兼 選考会に参加するも、ディナーで食事中に主催者が毒殺されてしまう。参加者、裏方全員が個々に疑心暗鬼になるところからミステリーが進む。


 もうアガサ・クリスティの(そして誰もいなくなった)や(オリエント急行の殺人)<これくらいしか知らないのですみません>〉彷彿させる密室事件と杉浦の推理が、読者を面白く読ませてくれる。
 たった二泊三日の短期間なのに、あれやこれやと事件が続き読むのを止められないのである。実に面白かったです。

 また本作では、如何に作家という仕事は、力量と運、そして出版元に頼るところが大きいかというのと、反面、作家が出版元を支えているのだと言う事が読み取れる。お互い支え合ってる業界なんだなと考えさせるのです。
そして事件は、読んでる私らも途中から事件の綻びが見え始め、なんとなく犯人が想像つく(作者がうまく書かれている証拠だと思う)ようになるのだが、最後に「おっ」と驚く返しがあり最後まで気を抜けなかった。

 本当、クローズド・サークルはミステリー小説にはよくある手だけと、色々楽しませてくれた小説でした。(屍人荘の殺人もそうだ)
3作目にして主人公の杉浦李奈は探偵として逞しくなってきた。

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