ある饒舌な理不尽
もし、例えばだけど、私があなたに別れたいって言ったとするでしょ?私達、つまり女っていう生き物は半分止めて欲しいけど、もう半分は本当に別れたいと願ってるのよ。
少しも情がない訳では無いし、嫌われたくはない。だから、私は押し付けずに願望を示すだけなの。でも、決してニュートラルに半分ってことは無いから、その時の51:49みたいな傾きを感じてそっちに背中を押してもらいたいの。
それを僕は、つまり君なりに言えば男という生き物はその機微を敏感に察知して且つなるべく自分にとってもベターな選択を取らなくちゃいけないという訳か。
そうなるわね、彼女は溜めもなくそう返した。
やれやれ、厄介なものだなと思うと同時にその真っ直ぐに複雑な心情を素直に感心した。
それって結構女性からしてもリスキーな言葉だと思うのは僕がその態度を厭っているからなのかな。もし、それで確かにそうだね別れようなんてトントン拍子に君にとっての理想と違う方向に進んだらどうするんだい?
スナップでそう言われた段階でもう私は冷めてしまうかな。私にとっての理想と希望があるなら発言の理想がどっちであっても、また一方の方は希望解ではあるからそこまで困惑しないわ。
かなり、投機的な発言のようで割とどちらに転んでも切っ掛け側有利な会話だなと僕は思った。
じゃあ、こういうのはどうかな。ある日僕達はとても素敵な一日を過ごすんだ。朝お互いが同じタイミングで目が覚めて、同じかほぼ同じタイミングで朝食に何を食べたいかを提案するんだ。布団の中で充分議論した後、その会話に出なかったものの二人とも腑に落ちる理想の朝食を郵便受けに入ってたチラシで知って、そこに行くんだ。そして、そんな具合で何から何まで完璧に一日が進んでいく。その晩に、僕から君へ別れようなんて言われたらどうする?
とても心配になるわね。もしかしたら低温火傷みたいに幸福過ぎて不幸やそれに伴う何かを感じてないかと疑うわ。
僕もきっと、100%の女の子である君にそんなことを言われたらいつだってそう感じるよ。
それを聞いても私は多分きっと愛を確認したくなったら、あなたに別れようと言うわ。毎日のおはようや別れ際のまたね、好きだよと囁かれながらどれだけ抱かれようとも私はきっと不安になるのよ。それをいなすのがあなたの務めよ。そしてそうしてくれるあなたが私にとって100%の男の子なのよ。
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