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レナード|ショートショート

いつもの道ではだめだった。
慣れ親しんだ道は安全だし、友達に出会えることもある。

でも今日はだめだった。
塀は高くて飛べないし、くさむらは足にまとわりつく。

普段なら気にならないことまで、頭の中でぐわんぐわん響く。
体が健康であることと、気持ちが整っていることは、イコールだと強く感じるのはこんなときだ。

それでもこの場所にとどまることはしたくないし、できない。
後足から流れ落ちる赤い液体が止まらないのは良い兆候ではない。

金色に光る目をした妹も、この赤い液体をたくさん失っていなくなった。

今は飛ばなくてもよい場所、力のかからない道を選んで進むことにしたらよいのだ。
力を抜く事は悪い事じゃない。
できる時にできるだけをじゅうぶんにやる。

いつもと違う道は怖いけれど、野ねずみの巣をみつけることができた。

少しずつでも進むこと。
時間がかかってもいいから止まらないこと。

安心できる場所はもうすぐ。


あとがき

狐のきもちになって書いたので、きつねってタイトルにしたかったけどそのままじゃ、ばれちゃっておもしろくないと思いフランス語でつけました。

フランス語だと狐もなんだか高級な感じ。

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