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近くに届ける音には雑音がない|ショートショート



まだ暗い春分前の日曜日、あさ4時におふとんの中でふぅうと息を吐く。

決めた時は軽い気持ちだったし、3日続けられたらいいなと思ってたくらいでノルマというほどではなかった。

その軽さにルールはない。
ルールがないのがルールかも。

ということはルールがあるということか?

いつもこうやって頭の中でも話が脱線しがちなのだけど、1人喋りをする場面では役に立つ。

常に頭の中で「深掘り」をしている気がする。目の前で起きたことや自分の気持ち、こうして隣で眠っている人の嗜好やなぜそれが好きなのかとか。

ぐるぐる頭は忙しい。

だからちょっとづつ出すのだ。
軽く美しいチュールのスカーフみたいに、春の風に馴染んてゆく。

時にそれはドス黒いもやもやの塊だったりする。私の中で熟成させすぎると入れ物も侵食されてしまうから、やはりそれもちょっとづつ出す。

出すのはどこでもいいのだ。
ルールはない。
まだ「なんだか黒いな」とおもっているくらいのうちにちょっとづつ。

思った時にちょこっとおふとんの中ででも。
それなら寝床が、すこし重くなるくらいで午後には太陽の光が飛ばしてくれている。

こうして私は1人おふとんの中で、アプリのボタンを押し、声で世界と繋がる。

今日の私は春のちょっと前、始まりの前のところにいる。まだ細い糸のようなものだから何にでもなれる。


あとがき

友達がスタエフをおふとんの中から配信している時があって、その自由さに驚いたところから思いついたお話です。

この話はほんとに勝手な妄想だから彼女はこんな人って言っているわけではないけれど、でも黒いところがない人はいないだろうと感じたので共感するーってなる人がいるといいなと思って書きました。

いつもお仕事で書く時は、本当のことを書かなければいけないから(webライターは商品を魅力的かつ嘘のないように伝えるのがお仕事だとおもう)言い回しとか盛りすぎないように気をつけなければならないけど、創作って理想の人や、こうなったら面白いってゆーのを勝手に書けるからすらすらでてくるのかもな。

あと構成とかの制約もルールも自分で勝手にしていいしな。

ところでスタンドFMのFMってなんでしょうと調べたところ、周波数変調(Frequency Modulation)の略で、遠くには伝わりにくい代わりに雑音が少ないという特徴があるとのことだったので、それをタイトルにしました。
なんとなく内容ともリンクしてていいんじゃない?って思いました。

タイトルで匂わせつつ本題に触れそうで触れないのってかっこいいなと思ってつけました。

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