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現役アスリートがBASEでネットショップを開設して学んだ5つのコト

プロアイスホッケー選手として12シーズン目を迎えた昨年、個人的にBASEでオンラインショップを開設しました。

ありがたいことに、僕がデザインした服や帽子を買ってくださる方がいて、今日までに累計200品以上を販売することができました。

このような記事を書かせてもらえるのも、購入して下さったみなさんのおかげです。
本当にありがとうございます。
#好きです

(ショップ規模は小さいですが)ECサイト運営を通じて、アスリートとしての生活だけでは得ることができない学びや、嬉しかった体験がたくさんあったので、今回は自分の記録用も兼ねて言語化してみようと思います。

長くて大袈裟な内容かもしれませんが、これが誰かの役に立てば幸いです。

開設の経緯(ざっくり)

・ドロー系ソフトを使い趣味でデザインをはじめる
 ↓
・ロゴを作り、自分が着るTシャツやキャップを作成
 ↓
・コロナのステイホーム中「なにか新しいことやってみたい」
 ↓
・BASEでECに挑戦してみよう

※僕は特に服が大好きというわけではない

開設の目的とルール

開設にあたり、目的と自分なりのルールを設定しました。

目的
①ファンコミュニケーション強化
 ・自分がデザインしたグッズを通じてコミュニケーションを活性化する
 ・ファン同士の交流(ファンコミュニティ)をつくる
②自分の可能性を市場で試し、データを収集
 ・競技以外の自分の興味、「何をしている時が楽しいか」の探求
☆③D2Cビジネスモデルの実務を体感し、スキルアップを目指す
 ・アスリートの実務経験の少なさをショップ運営を通じて補う
ルール
①利益だけを追求しない
 ・本業はあくまでアイスホッケーである
 ・求めるのは「利益」ではなく「共感→愛着」
 ・「お金の勉強」として捉える
②試合会場では売らない(そもそも売ってOKなのかは不明!)
 ・お客さんの可処分所得(お財布の中身)をチームと奪い合わない
 ・チームの勝利、売り上げに貢献するのが僕の本業である

学びのフォーカスポイント

この記事は、主に上述した目的の③「D2Cビジネスモデルの実務を体感し、スキルアップを目指す」にフォーカスしています。

僕はアスリートにとってのいわゆるセカンドキャリア問題で、引退後の苦労を引き起こす要員は大きく2つあると思っていて、1つは言語化スキルの低さ、2つ目が実務経験の少なさです。(職種にもよる)

言語化スキルとは詰まるところ、「人生において、競技(仕事)という手段で何を実現したいか?」を言葉にすることだと考えていますが、今回の主旨とは異なるのでこの記事では割愛します。
#探求中

この2つ目の要因について、ECサイト運営を通じて得た、実務の少なさを補うことができる(かもしれない)学びと気付きを、時系列でメモ形式にまとめてみました。

「だったらインターンでもアルバイトでもすればいいのでは?」というド正論が聞こえて来そうですが、その通りだと思います。
(インターンやりたい!)

それからあらかじめおことわりしておきますが、現役バリバリ働いている方にとってはごく当たり前で、どうでもよく感じる内容かもしれません…。
そんな先輩方には、間違っているところがあれば指摘していただけると嬉しいです!

どうか「ホッケー少年の初めてのおつかい」程度に、暖かい目で読んでいただければ幸いです。
#34才の少年
#チャンネルはそのままで

①デザインの基礎知識

まずはショップ開設前、ロゴデザインを通しての細かい学びから。

ショップを立ち上げる前から趣味の範囲でデザインをはじめ、最初はイラストレーターなど使わず、iPadで無料のドロー系アプリを使っていました。

デザインに関しては全くの門外漢で、恥ずかしながら最初はレイヤー、パスといった言葉の意味もわからず、何もかもがチンプンカンプンでした。
しかし、YouTubeでなんでも勉強できてしまうこの時代は素晴らしく、外国人ユーチューバーのチュートリアル動画(英語)を何度も繰り返し見て使い方を覚えることができました。
素人ながらまずまずのモノは作れるようになったと思います。笑

学びになったこと
①画像データにはベクター形式、ラスター形式がある
②用途により拡張子を使い分ける

■ラスター形式とは、ピクセルが格子状に並び構成されたデータで、スマホのカメラで撮った写真などがこれ
・拡大すると画像が荒くなってしまうので、ロゴなどのデータには向いていない
・拡張子はjpgや背景透過ができるpngなどがある

■ベクター形式とは、点と点を結んだ線や色を数値化したデータで、地図やロゴなど、拡大しても荒くならないようなデータに使用される
・拡張子はPDFやAdobeイラストレータ用のAIなどがある

活用方法
例えばポスターやバナー広告のデザインを発注したりする際に基礎知識があれば、デザイナーさんとのコミュニケーションを円滑に進めることができるようになるかなと思いました。

②ビジネスメールの基礎知識

ロゴが決まれば、次は服を発注する業者さんを決め、メールでのやりとりが始まります。

アスリートは現役生活において、いわゆるビジネスメールに触れる機会は少なく、引退後に基本的な言葉遣いや挨拶などで苦労する方が多いと知人から聞いたことがあります。

個人的に今は、SlackやLINEで事足りるコミュニケーションがほとんどだと思っているので、これについてそこまで深く考える必要はないのかなぁと思っていますが。

学びになったこと
①基本メールスキル
②文章入力の効率化


・よく使う「お世話になっております。」「よろしくお願い致します。」などの言葉は、あらかじめ定型文としてユーザー辞書登録しておき、「おせ」や「よろ」と最初の文字を入力すれば全文が変換候補に出てくるようにすると効率化できる
・「じゅうしょ」で自宅住所、「めー」で自分のメールアドレス、「えいち」で「HC栃木日光アイスバックス」など、よく使いそうな言葉をたくさん登録するのも○
・発注の際のメールは何パターンかあるので、それぞれテンプレート化してメモアプリに登録し、メールにコピペ。色やサイズ、数量などだけ入力しすぐに発注できるようにしておくと○

活用方法
普段の何気ない仕事を工夫し効率化することは、どんな仕事においても時間を有効に使うための大切なスキルだと思うので、活用方法は無限にあるのかなと思います。

③SNS広告宣伝の基礎知識

実際に売るモノが出来上がれば、それらをお客さんに広く知ってもらう必要があります。

主にSNS(Twitter、Instagram、Instagramストーリー、Facebook)を使って広告宣伝を行いました。Instagramは、個人用と差別化するために新たにショップ専用アカウントを開設しました。

https://www.instagram.com/tld_2019/(Instagramショップアカウント)

僕はまだまだマーケティングなんて語れるほどの知識はないですが、マーケティングにはセグメンテーション、ターゲティングなどのプロセスがあり、広告宣伝はプロセスの中のマーケティングミックス4P(Product、Price、Place、Promotion)の中一つ(Promotion)に当たります。(だと思っている!)
#マーケティング勉強中

そもそも自分が好きだと思えるモノに「共感→愛着」してもらうことが目的なので、僕の場合のターゲットは「ファンや知人友人」になり、売れる仕組みを作りたいわけではないので、Product、Priceはあまり気にせず、Placeは基本的にBASEのみという考えでした。

とにかく「どうしたら認知され、共感されるか?」について常に自分なりに考えていました。

学びになったこと
①SNSフォロワーは神
②写真の撮り方と加工は超大切
③インスタのショッピング機能の使い方
④インスタ広告機能の使い方(実際には使っていない)

・SNS(Twitter、Instagram、Facebook、TikTokなど)フォロワーがある程度獲得できていれば、所属するコミュニティー内への告知はそれほど難しくない。シェアしてくれる人は神。何か新しいコトを始めたい時、フォロワーさんは助けになってくれる

・売るモノ(商品)の写真を撮る際は、できるだけ明るい場所や照明を使って撮る。写真は光の調節が何よりも大事。写真の撮り方や構図で印象は格段に変わる
・インスタの写真フィルターは超有能

・Facebook傘下のインスタでショップ機能を使うには、まずFacebookページで複雑な設定を済ませる必要があるが、ググればやり方がわかる。Google大先生は最強

・インスタの広告機能(実際には使っていないが)はターゲティングの範囲(リーチ数)に応じて価格が決まる

☆その他
「自分がなにかモノを買った時、購入に至るまでの自分の行動を細部まで振り返る癖」をつけておくと、自分が売る側になった時のヒントになることがある
ショップのサイズ情報はできるだけ詳しく書いた方がいい
人が服を購入する際、最後に悩むのがサイズ。商品に関しての質問で一番多いのもサイズについて。サイズはできるだけ実寸で、比較写真などがあればなお良い

正直、僕のBASEを利用してくださる方はアイスホッケー関係の方がほとんどなので、ゼロからショップをスタートする際の参考になるかはわかりません。

余談ですが過去、実験的に個人のインスタを利用して1,200円かけて広告してみたことがあるのですが、インプレッション数とリーチ数は普段のほぼ倍、いいね数は3倍になりました。笑

ちなみにnoteにもBASEとの連携機能があり、少し前まで連携させていたのですが、僕の場合のnoteの使い方と趣旨が異なると思い今はやっていません。

活用方法
まだまだ活用できるほどのレベルには達していないですが、僕にはアイスホッケーの認知を拡大したいという思いがあるので、スポーツ界でもSNS運用は必須スキルだと思いますし、マーケティングのリテラシーを高めておくことは絶対条件であると思っています。

④会計知識とエクセル活用術

実際にモノが売れたら、会計処理をします。

細かな決済作業などはBASE内で全て完結しますが、会計の仕分け作業は自分でやる必要があります。
※実際はBASEと会計ソフトの連携も可能

エクセルなど表計算ソフトを活用し、売上高から売上原価、発送費、手数料などの費用を引き、利益を取引毎に入力します。

学びになったこと
①「利益」には5段階ある
②エクセル活用できれば超便利


・利益には、売上総利益(粗利益)、営業利益、経常利益、税引前利益、当期純利益の5段階があり、これを理解しないで価格設定すると、気がついたら赤字になっていることも

・エクセルの計算式や関数を活用すれば、売上管理、在庫管理がめちゃめちゃ楽になる。例えば、あらかじめ仕入れ数を入力しておけば、売れた商品の種類、数量と連動して売上額も在庫数もすぐにわかるようにするなど。これまたやり方はGoogle大先生に聞けば全て教えてくれる

エクセルについては学生時代の授業で基礎的なことは学びましたが、実際に使う機会があまりなかったので、問題集を買って解いたりしていました。ですが、問題集を解くより実際に自分で体験して得た学びの方がはるかに多いし、覚えられます。

3年前に知人の勧めで取得した簿記の知識がこんな形で活かせたのも、個人的に嬉しく思いました!

活用方法
会計は英語、ITと並ぶ「ビジネス界の三種の神器」であり、どんなビジネスをする上でも不可欠な数字を活用するスキルと言われています。会計リテラシーがあれば、できる会話の幅も大きく広がると思います。エクセルも然り、必須スキルだと思っています。

⑤データアナリティクスの基礎知識

※基礎知識にも満たない可能性あり!
実際に売れた商品がどのSNSを経由して閲覧されたのか、どの色やサイズが一番売れるのかを分析します。

BASEはユーザー(ショップ側)に対し、データアナリティクスを提供していて、閲覧数、流入経路、リピート率などがグラフですぐにわかります。

色やサイズについては、エクセルのデータを活用して参照し、次回発注時の参考にします。
(しつこく言いますが、データ活用と言えるような規模ではないです!)

学びになったこと
①Twitter経由の流入が多い(自分の場合)
②発注サイズの見極めは重要
③季節関連の服の閲覧数が多い


・自分の場合は、フォロワー数が一番多いTwitterからの流入が多かった。拡散されやすいことも理由かも。2番目はインスタ
・サイズはM,Lが売れ筋。S,XLは少なめでもOK
・季節関連(例えば夏→Tシャツ、冬→パーカー)が売れやすい

☆その他
・(データは関係ないが)同封する直筆メッセージを喜んでくれる方がたくさんいた

僕はYouTubeチャンネルの運営もしていますが、そこでも詳しいデータアナリティクスが提供されていて、データを読める&活用するスキルは、もはや今の時代は必須なのではないかと思っています。

僕の場合はデータ分析と言えるほどのデータ規模ではないんですが、実際に自分自身のデータに触れることが学びの第一歩になると思いました。

活用方法
例えばスポーツの試合の来場者データを取得していれば、そのデータを適切に読み取り活用することができます。
(データを扱うプロにお願いすることが一般的だとは思いますが、基礎的な知識は必要かなぁと勝手に思っています。)

以上がBASE開設で得た学び5つです。

まとめ

正直に言うと、僕の心の中には「ビジネスへの憧れと、キャリアの不安」という感情があります。

常日頃、現役生活中に基本的なビジネススキルや感覚を身につけおきたいと考えていましたが、身につけるにはまず実際に何かを始めてみることが一番の近道であることがBASE開設を通してわかりました。

限界費用ゼロ社会と言われる今、あらゆる挑戦のハードルが下がり、たくさんの試行錯誤がだれにでも可能な時代です。

僕は自分のキャリア戦略を考える上で、クランボルツの「ハップンスタンスセオリー(計画された偶発性理論)」という考え方を参考にしていて、つまり「いい偶然を引き起こすために、まずはなんでもやってみる」ことが何よりも大切だと思っています。
(向いていないと思ったらすぐやめることも大事!)

今回得た5つの学び(最初は10だったけど長すぎて5つに絞った笑)がみなさんの役に立つことかどうかはわかりませんが、僕という人間の考えに触れていただけただけでも本当に嬉しく思いますし、読んでくださったことに感謝いたします!

最後に

BASE開設を通じて一番嬉しかった出来事を紹介します。

開設後、初めて購入いただいた品を郵便局に発送に行った際、受付を担当してくれた方が偶然にもアイスバックスのファンの方でした。僕はホームタウンから少し離れたところに住んでいるので、自分の事を知っていただいていることにまず驚きましたが、なんとその場でご友人とともにTシャツなどを買っていただけました!
#新手の押し売り

後日、ご友人の方はそのまたご友人をお誘いになり、アイスバックスの試合を初観戦しにきて下さいました!
観戦された際、僕はスタンドに手を振ってご挨拶したんですが、ヘルメットを被っていて誰かわかってもらえないと言うことがあったのはここだけの話ですが。笑
BASEを開設して本当によかったなぁと思えた瞬間でした。

これからも選手としてはもちろんですが、いろんなことに挑戦しようと思います。

とても長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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