RC4th参戦記

RC4thとは

  RC4thとはDoor of Adventureが主催する自転車ラリー”Rally Cranking”の第4回大会を指します。ラリーでは「コマ図」という次の地点までの距離、目印や交差点の形状、進行方向を記載した情報頼りにルートを探しながらゴールを目指します。それを自転車でしかも未舗装路でやるイベントになります。

 コマ図自体はブルベをやられている方であれば馴染み深いものかと思います。私もブルベで知った口です。最初にこのイベントを知った時、不遜にも

キューシートで走るのに比べたらコマ図を用意してくれるなんて親切だな

等と思っていました。今思えばよくもそのようなお気楽な、楽観論を携えてこの過酷なレースに挑もうなどという不遜な考えを持てたものだと呆れてしまいます。

 自分の文章力でどこまで表現できるかわかりませんが、中々日常経験できる事でもありませんし、後学の為にどのようなものであったかその一端をお伝えする事ができればと思います


事前準備

事前に公表された情報はスタート/ゴール地点(竹岡清藍荘)コースの全長142km、各CPまでの距離、コースプロフィール(目測で累積標高2300m以上)、朝5時に2人1組で時間差スタートし制限時間は12時間、未舗装路の割合(1/3)等です。GPSでナビゲーション出来合いようルートは明かされません。

CP(コントロールポイント)は1~4で、2と3の間にTNP(ターニングポイント)があります。TNPは駅の近くにあり、リタイヤする際にここから輪行できるようになっています。CPには自前の補給品を預ける事ができ1と4、2と3が共通の荷物で各1個2kgまでとされていました。

ここまでの情報で検討すべき項目を以下に絞って考えていました
1.コマ図ホルダーをどうするか
2.補給品をどうするか
3.輪行袋を携行するか
4.スタート地点までの移動をどうするか

1.コマ図ホルダー

ベストはコマ図をロール状に巻き取るタイプのホルダーを用意する事ですが、工作の手間を省きたかったのでクリアファイルをリングでまとめ、リピートタイでハンドルに括り付ける事にしました。

実際に使用したのがこちら。リピートタイをハンドルとステムに固定して使用しています。リングが外れて脱落するトラブルがありましたが予備のリングを携行していたので事なきを得ました。
頁を固定するクリップを忘れてしまって運用には難儀しましたが、悪天候の中でもコマ図を判読可能な状態に保ってくれました

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2.補給品

去年CXでグラベルに連れて行ってもらった経験からするとロードより格段に消耗が激しく、いつもの感覚では絶対に足りなくなると感じた為、CP1&4、CP2&3どちらもしっかりと準備する事にしました。運営からの補給品の提供もあるという事だったのでそれぞれバランスパワーを1200kcal分+アミノバイタル+VARRM1本としました。

結果からいうとTNPでリタイヤした事もあり全部消費する事はありませんでした。そもそも最も消耗するのがCP1までだったのでスタート時にどれだけ持って走るかの方が重要でした。

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また補給品の準備の過程で、走りながら補給できるように愛用の防水バックにひと工夫する事にしました。

愛用の防水バックがこちら。2019年の暮れに購入して以来日常使用していますが、防水性能、強度、収納力ともに優秀でもう高いだけですぐ壊れるバックを買う気がしません。

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ただ1点欠点があってロールトップを固定するのが面ファスナーの為、固定力が不足する為、100均でかったバックルを装着して口が開かないようにしました。

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そしてこれまた100均で買ったペットボトルポーチをベルトに縫い付け
補給品を収納できるようにしました。菓子パンなら1本。スニッカーズなら2本入ります。BALANCEパワーだと3袋は入ります

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3.輪行袋

運営は輪行袋の用意を推奨しています。TNPが駅の近くという事でリタイヤした場合に輪行で帰れるからですね。ただ千葉県民としては県内のどこから帰るとしても自走でOKという感覚の為用意しない事にしました。
最悪の場合でも君津の実家までたどり着ければ何とでもなるというのもありました。あとDISCで輪行した事無いのでトラブルを避けたいというのもあります

4.スタート地点までの移動

スタート地点は竹岡清藍荘という事で自宅から70kmあります
朝4:00受付という事で自走で移動するとなれば午前0時に出発する必要があります。ファンライド的なイベントだったらそれもありですが、今回は完走も困難なハードなイベントなのでそれはあまりにも無謀という事で前泊する事にしました。

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君津の実家から近いので実家に泊まる選択肢もありましたが、朝3:00出発ともなると気を使わせるし迷惑かなという事で宿をとる事に。竹岡清藍荘自体にも泊まれるのですが、連絡した時はすでに満室でした。この付近で1人で泊まれてお手頃価格だったのが富津市大貫にあるさざ波館に決定

楽天トラベルで事前決済だったので早朝出発も問題ないだろうという事で予約。1泊6000円程度で価格もお手頃でした。

前日移動

午前中荷物の準備を済ませて 午後からのんびり出発
使用するバイクはMERIDAのシクロクロス9000
2日間で200kmを超える事もあり空気圧は前2bar後ろ3barと高めに設定。ランチに1500kcal分のパンでカーボローディング。これで宿まで無補給の予定

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明日荒れるとは思えない程穏やかな天候で
疲労する事もなく宿に到着。君津から大貫までは初めてのルートでしたが、交通量も少なく舗装も良かったので、今後も使えそうでした。

宿はこれぞ旅館という感じの雰囲気で何とも落ち着きます。海に面していて部屋から東京湾の夜景が楽しめるというのは良いものです。
このご時世宿泊客が少ない事もあってバイクを建物内に止めさせて貰えました。早朝出発の件を伝えると、鍵をフロントに置いていけばOKという事で問題無しでした。

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夕食はコンビニで調達した幕の内弁当と焼きそばパン。大浴場で汗を流したらする事も無いので即就寝して明日に備えます。


スタート前

当日朝は3:00に起床。前日コンビニで仕入れたおにぎりと焼きそばパンで朝食をすませます。スタート地点まで10キロ程3:30頃宿を出発。4:00の受付に間に合うように竹岡清藍荘を目指します。とここでちょっとした誤算。近道のつもりで選んだルートが行き止まりだったりして宿周辺を無駄にうろうろしてしまい10分程ロス💦 当初の目論見から遅れて4:15頃に竹岡清藍荘に到着。

私が着いた時には多くの参加者が準備を済ませあとはスタートを待つばかりという状況でした。私も急いで受付・車検をすませコマ図の準備に取り掛かります。

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受付でコマ図を受け取ってみると結構な枚数でした。ブルベであればこういった準備は家で済ませてこれる訳ですが、ラリーではルートは事前に公開されない為、受付からスタートまでの間が慌ただしく、これもまた新鮮な経験でした。正直コマ図の準備が終わらないうちにブリーフィングの時間になり、その後すぐ2人一組でスタート開始という流れで結構あせりました。

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スタート~PC1

コマ図を装備して外に出ると間もなくスタートの順番がやってきました。
DNSの方もいた為だいたい10組目くらいでしたので4:20頃になります。
予報とことなり雨まだ本振りにはなっていません。不幸中の幸いで風は温かく気温は15℃程度あり、濡れながらでも半袖ジャージ+アームウォーマー+レッグウォーマーで凌げそうでした。

最初の6km程舗装路を進むと早速ダート区間が始まります。それと共に勾配も本格的になりダブルパンチで体力を削られます。しかもそれはまだ序章に過ぎません。10kmを超えたあたりからルートはさらにハードになっていきます。それはもはや「道」であるかどうかする怪しく。多数の倒木を超えたりくぐったりしながら目印のビニールテープを頼りに進みます。当然降車してバイクを担いだりしながら進む為サイコンで距離を測れなくなり、今コマ図の何番目を通過しているのも怪しくなっていきます。

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目印が見つからないとこのようなただの林にしか思えないようなところもルートとして疑ってかからないといけません。(この先は行き止まりで結局引き返しています)

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全行程の10%程度しか消化していない所で早くも30分程のロスが発生します。

こちらは12.8km地点の「馬の背」と呼ばれる地点。両側が切り立った崖の回廊のような場所で木の根がビッシリと張り巡らされていてこの上なく足場の悪い地点でした。

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この後さらにバイクを担いで岩場を登っていきます。私はCXで比較的軽い為まだ余裕がありましたが重量のあるMTBの方は本当に辛かったと思います。ルートのキツさとは裏腹に皆楽し気で、談笑しながら踏破していました。当初ダート区間の平均速度を10km/hと見積もっていましたが、当然そんな事は不可能で、普通に歩くよりも遅い区間が続きます。3km~5km位の間隔でダート(倒木あり)と舗装路が交互に現れ30km過ぎのコンビニ通過時にすでに手持ちの補給食を食べきっていました。PC1までさらに15kmという状況のためたまらずおにぎり2個とスニッカーズを3本ほど調達しました。

CP1到着

10:34 46km地点のCP1に到着。当初の目論見では9:20頃に到達を目指していたので1時間以上の遅れです。ここで待望の補給品を受け取ります。
この時点ではまだ最後まで走るつもりでいた為、半分だけ回収して残りをCP4到達時用としました。
実の所、最大の山場がCP1までで、ここから先は少し楽になる(担がなくていいという意味で)という話でした。後でリザルトを見るとCP1で既に9名の方がリタイヤされています。ここに辿り着ければ後は何とかなるという希望もあり、休憩もそこそこにCP2を目指して出発します

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CP1~CP2

CP2まではおよそ16km程。舗装路であればあっという間の距離ですが、当然そんなに甘くはありません。確かに担いで進むような崖のトラバースや尾根をよじ登るような箇所はありませんが、普通に倒木があり度々下車して進む事を余儀なくされます。そして徐々に体力の消耗が露わになり気が付けば
筋肉痛で全力を出せなくなっていました。ペースは上がらず、「こんな所で体力が尽きたら遭難する」という危機感が芽生え始めます。
何しろ中途半端な所で離脱はできません。進も地獄戻るも地獄という状況ですので、舗装路まで出ない事にはリタイヤする訳にもいきません。60km付近でルートミスから急勾配を余分に行ったり来たりして体力をロスしてしまい、次のCPでリタイヤしようという決断にいたりました。

CP2~TNP

12:00過ぎに何とかCP2に到着すると雨はすっかり本降りになっていました。先頭の方はすでに2時間以上前に通過されているという事でこの先進んでもタイムアウトは避けられません。CP2のチェックをすませリタイヤの意志を伝えるとスタッフの方から「ここまできたらあとは下りだからTNPまで行って記念撮影しましょう」と励まされました。距離的には15km程という事もあり、下りなら体力的に持つだろうと思い直し、CP2を出発しました。

確かに下り基調ではありましたが簡単ではありません。道というより渓流と言った方がいいような所を転倒しないように気を使いながら進みます。この辺は自分の技量不足を思い知らされた所で、乗車したままクリアできないと完走は難しいと感じました。時折現れる上りはこぶし大の岩がゴロゴロとしており、大きなパワーを要求されます。次第に乗車したまま進めなくなりおりててくてく歩くようになっていきました。

68km過ぎTNPまでのダート区間が終了し舗装路に入ります。気が付けば鴨川の街に出ていました。

TNP到着

14:42ようやくTNPに到着。目の前は太平洋ですが生憎の天候で景色を楽しむべくもありません。折り返し地点まで到達した証として 

”HALF Accomplisher ”のカードを手に記念撮影しました。

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出走33名中ここまでこれたのが18名。私はその最後の到達者でした。ここでリタイヤを報告し帰路につきます。帰りは80km程の自走となりますが、幸いにも追い風となった為、疲労した体でも何とか無事帰還できました。

公式発表のリザルトがこちら
何と時間内完走は1名のみ2位以降の方すべてタイムアウトというこれだけでもいかにタフなコースだったかが分かるという結果になっております。
完走された方にはとにかくリスペクトしかありません。

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非常に過酷なイベントでした。正直遭難者が出てもおかしくない位のコースだったかと思います。もう二度と走りたくないと思ってしかるべきところですが、終わってみればどうすれば完走できるようになるかそればかり考えていました。次があるとすれば来年の事になるかと思いますが、またエントリーしてしまいそうです。次参加するとすれば少なくとも今より5kg位は体重を落として臨みたいと思います。そして次の機会にはできれば雨が降らないでくれる事を祈ります

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