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ときどき写真論マガジン

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かつて写真雑誌に掲載された私の写真についての文章や、ときどき思いつくまま書いた写真展や写真集についての感想など、写真を撮っている立場で「写真」を考えてみたいと思っています。実はそ… もっと読む
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記事一覧

海辺のカメラノート 3 発見するということ

「見よう」という意思、「見えてきたもの」  この暑い時期に、近所だからといって臨海公園に…

海辺のカメラノート 2 波打ち際で

とりあえず「目につくもの」  限定された波打ち際で写真を撮るということを課題として、実際…

海辺のカメラノート 1 私はなにを撮ればいいのだろうか?

近所の公園でずっと写真を撮ってきた  本格的な夏が来る前の蒸し暑い平日が好きです。昨日…

写真展「町の灯りを恋ふる頃」に寄せて

「ジェットコースターに乗る人々」 ずいぶん昔のことだが、須田一政さんがご自分の個展で「70…

「須田一政への旅・旅ふたたび」

追悼 須田一政 (日本写真家協会会報への寄稿)  2020年11月に刊行された須田一政写真集「 E…

連載「須田一政への旅」最終回

須田さんが多弁になる時、そこには決まって「写真」以外の「もう一つの世界観」が提示されてい…

連載「須田一政への旅」第11回

旅から旅へと軽いフットワークでシャッターを押し続けていた須田さんが、独自に確立した「芸」である 「風姿花伝」という指南書  律儀に正座する須田さんの顔には、あろうことか駄菓子屋の「変装メガネ」。ちょっと照れつつ俯き加減で手を組み、まるでご自分の写真集「風姿花伝」(1978年)に出てくる被写体になってしまったかのようだ。確か80年代半ば、ゼミ合宿の大阪の居酒屋でめずらしく私が撮った記念写真。 70年代、須田さんは日本各地を旺盛に撮り歩いている。「風姿花伝」は『カメ

連載「須田一政への旅」第10回

須田さんが この現在の神田にいたら、なにをどう撮っていただろう 「角の煙草屋」を探して …

連載「須田一政への旅」第9回

「雀島」 須田さんはこの島がどうしても気になり、夜中に車を走らせそこに行くこともあったと…

連載「須田一政への旅」第8回

その「色」は変化自在で、ふっと振り返るともうそこにはない、そんな刹那の幻 胸騒ぎのカラー…

連載「須田一政への旅」第7回

須田さんはもう、憑かれたようにシャッターを押す「陰陽師」のようなそんざいへと脱皮していた…

連載「須田一政への旅」第6回

まるで「金太郎飴」のように、どこを切っても切っても須田一政が出てくる 網膜直結指先目カメ…

連載「須田一政への旅」第5回

「煙突のある風景」には、単なる郷愁だけでなく、確固たるシュールなイメージが感じられる 直…

連載「須田一政への旅」第4回

それはどこか、江戸川乱歩の「人でなしの恋」という物語を彷彿とさせた 窓の中の麗しいひと  早朝の東京銀座。大通りから少し入ったところにある店の前で、なにやら黒い服のおじさんがショーウインドゥにくっつきながら続けざまに鋭い閃光を放っている。一体何を撮っているのかと思いきやおじさんの背後に回ると、向こうにはなんとも麗しきランジェリー姿の一人の「女性」が露わにそこにいる。おじさんの構える中判カメラのレンズは、しっかり女性のガーターベルトあたりに向けられている。何枚かシャッターを