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行ったことがない店

友人の友人がこの店の2階に下宿していた。昼間は喫茶店、夜は遅くまでスナック。学生が下宿する環境ではない。でも、勉強の嫌いながくせいにとってはそんなことはどうでもいい。まず、安ければどこでもいい。ついでに、バイトに近ければなお良い。学校にはほとんど行かないから、少々遠くても良い。卒業するために、レポートを提出する必要があるのだが、友人の友人に頼めばなんとかなる。彼は、マッチ箱の収集家と聞いている。店の人に頼んで、100個入りのマッチ箱を分けてもらった。これなら、レポートのいくつ

    • ブライダル京都宝ヶ池

      友人の結婚式が、このブライダル京都であった。この新婚さんは、よりによって私の実家の近くのマンションから新生活をスタートした。その1年後、転勤で私は実家のある街をでた。その後、新婦は体調を崩し、そして、別れたことをあとで聞かされた。人生いろいろ、そんなことを今頃思い返す。この結婚式場はネットで調べたのだが、今はなさそうだ。参列した友人の娘はセーラー服で出席した。今は二児の母になっている。時が過ぎるのは遅いようで、恐ろしく速い。取り残されないようについて行かねばと痛感している。

      • 心変わり~心霊現象~

           私がまだ心霊現象について、全く信じなかった頃の話である。  今も昔も京都は、言わずと知れた神社仏閣の街である。学生の街でもある。私は、学生たちからはイニシャルをとってKさんと呼ばれていた。 「Kさん。お化け、信じます?」という問いに 「お化けなんて、いるわけがない。本当に存在して科学的に証明されていたら信じるけど」とまで言った。 「今日、これから清滝トンネルに行きますが、一緒に行きますか?」 「本当に、でるんだろうな」と即答してしまった。  何でも、京都の心霊スポット

        • 運勢は変えられるか

          まだ、二十代の頃、自分が何に向いているか全然見通しが付かなかったときに、伯母の知り合いに教えてもらった占いに行った時、心を落ち着かせようと入った店、google mapのストリートビューで見ると今でもやっているみたいです。 みたらし団子がキーワード。喫茶店にみたらし団子がメニューにあったのは後にも先にもここだけです、今のところ。具体的に何になりたかったかといえば、映画監督。一本でもいいから自分の好きなテーマの映画を作りたかった。具体的には何もなかったけど。ある雑誌に、黒澤映

        行ったことがない店

          ちょっと

          最初のマッチコレクションは、地元の「ちょっと」という喫茶店である。35年くらい前のことだ。 従兄弟に連れられて、珈琲を飲みに行ったのだが、喫茶店は百円でゲームをするところだと思っていたので、単に珈琲を飲みにいったのはここが初めてだったような記憶がある。インベーダーゲームやブロック崩しが全盛期の頃、ゲーム機が置いてない喫茶店は成り立つのだろうかと疑問だった。賭博の麻雀を置いている店も少なくなかった。チェーン店があちこちに出来、私の好きな喫茶店はどんどん少なくなってきた。当時の小

          ちょっと

          マッチものがたり

          先月の文芸ワークショップの時に、これからの活動をどうしていくかという話になったとき、最初に指名された私は、「何かテーマがほしい」と言ってしまった。 過去にも同じ事を言ったことがある。 関東で、講座の同期と先生とで合評会を始めた。 忘れもしない。最初のテーマは、「滴る」。 そこで、私は、禅堂で耳にした音を題材に「忘れ得ぬ音」というエッセイを提出した。10回をこえたときくらいだろうか、先生は「テーマは自由」を言われた。これには、全員頭を抱えてしまった。ある程度、制約がないと一行す

          マッチものがたり