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豪華客船鍼灸師として成功を収めた人に共通すること

まえがき

何をもって成功を収めたと言えるのか?
それはそれぞれの価値観によって変わり得るものだと思ってる。
なので、これはあくまでも私個人の意見。
異論も認めるし、私の価値観を押し付けるつもりもない。

そんな前提のある話として読んで欲しいのだけれども、
クルーズ客船スパ業界で鍼灸師として10年という時を過ごして来た私という一つのモノサシを通して見る豪華客船鍼灸師の成功について話をして行こう。


クルーズ客船スパというビジネスの場においての成功は、
やはり出した結果、つまり、
売上という数字とそれをどれだけ続けることが出来たか
によって計られると私は思う。

鍼灸師としてどれだけ素晴らしい治療したかや周りのスパメンバーにどれだけ愛されたかだけでは、計れない。
1人の人間として、1人の鍼灸師としては、
素晴らしい治療をしてゲストから愛され、同僚たちから愛され、魅力的な人間性を示した人も豪華客船で成功を収めたとしたい気持ちもある。

船に乗って良かったと思えて、様々な国を旅して、無事に契約を全うし自国に戻って来たら成功を収めたと言って良いじゃないかと言いたい気持ちもある。
しかしながら、ビジネスの場であるクルーズ客船スパで働く以上、
成功か否かは、ビジネス上の数字を持って語られるべきだろう。


私個人が考える、豪華客船での成功基準はこちら。

・契約(1契約約7カ月)を複数回全うした
・1日の平均売上1000USドル以上もしくは、月間3万USドル以上の売上を複数回記録した
・本社の鍼灸部門の責任者から認められ、2回目以降の契約で高い売上が見込める条件の良い船の選択肢をもらい、その船で会社の求める売上目標を契約期間中のほとんどの月で超えることが出来た
・船を降りる際のスパマネージャーからの個人評価で、5点満点中4点以上の点数を残した
・毎月発行される会社内の鍼灸部門ニュースレター内で発表される売上ランキングでトップ25位以内に入った(2024年1月現在、ランク外は名前がニュースレターに載ることはない)

これらの条件をすべて満たすことが出来た日本人鍼灸師は、
私の知る限り7人だけである。
(2019年2月から2023年6月までの期間のニュースレターを見れていないので、この間に条件を満たしている日本人鍼灸師がいたかもしれないので、あくまで私が認知している人数であることをご了承いただきたい。漏れ伝っていた情報を見る限りだと、おそらく居ないかと思われる。)

今まで豪華客船鍼灸師にチャレンジし、船に乗った日本人鍼灸師の数は150人を超えている。
その人数から考えると中々に厳しい条件だと言えるかもしれないが、
他国の鍼灸師たちでこの条件に合致する鍼灸師の数は、現在船に乗っている鍼灸師たちの中でも30~40人はいるだろう。
過去の鍼灸師たちも含めればその数はもっと多い。

それを考えると決して無理難題な条件ではない。
事実として言えることは、日本人鍼灸師の多くが豪華客船で苦戦しているということ。
(中には売上を上げることを求めていない、旅をしに来た鍼灸師もいるかもしれないが、そういう人たちは豪華客船での成功を求めていないと言える。
そういう働き方も個人的には認めている。世の中お金だけがすべてではないのだから。)

成功を収めることが出来た鍼灸師とそうでない鍼灸師たちの間にはどんな差があるのだろうか。
上記の条件すべてを達成した者として、結果を出せた要因をあげて行こう。

全ての鍼灸師を知っているわけではない。
あくまで私が見知っている鍼灸師たちで、成功条件を満たした過去の日本人鍼灸師たちに共通している点を書き残しておこうと思う。

今後も豪華客船で成功を収める日本人鍼灸師が多く出て来ることを願って。


豪華客船鍼灸師として成功した人の共通点

・他国の鍼灸師に比べて高い治療技術を持っている

これに関しては、おそらく成功を収めることが出来なかった鍼灸師たちでも満たしている人は多いと思われる。
やはり、日本人鍼灸師の治療技術は平均して高いと感じる。
しかしながら、ちょっと高いくらいでは豪華客船での成功は望めない。
クルーズに来るゲストたちが感動して何度も受けたくなるような治療結果を出せなければならない。

効果のない治療はもちろんのこと、治療中に痛みが強く不快な治療はそれだけでリピートしてもらえなくなる可能性が高い。

受けていて心地よく、かつ、治療効果の高い鍼治療が豪華客船では求められている。

今まで成功を収めてきた鍼灸師は皆高い治療技術を持っていたと言える。
それは、日本で働いて来た中で身に付けた技術であり、経験から来るものであった場合が多い。
成功を収めた日本人鍼灸師のほとんどは、
日本国内で5年以上働いてから豪華客船に乗った人たちであった。

・ハングリー精神があり、逆境でも努力し続けられる精神力がある

結果を出した多くの日本人鍼灸師は、2012年から2013年の間に豪華客船に乗った鍼灸師である。私とほぼ同時期に乗った鍼灸師が多い。
詳しくは書けないが、この頃に船に乗るのは、いろいろな意味で大変だった。
精神的にタフでチャレンジ精神が無いと、豪華客船乗船までたどり着くことが難しかった。

英語能力とは別の問題でタフが求められていた。
今よりも乗船までにお金がたくさんかかっていたし、
お金をかけた分、船に乗ってから取り返さないとという気持ちが強かった。

クルーズ客船スパには、お金を稼ぐことを求めて働きに来る人が多い。
そんな同僚たちに揉まれるビジネスの職場において、
ハングリー精神やどんな環境でも努力をし続けられるタフさはとても重要だ。

ほぼすべての日本人鍼灸師は、1回目の契約の際は、売上を上げるのが難しい環境の船に乗せられることとなる。
経験者で売上が良かった者が優遇されるクルーズ客船スパという職場において、日本人でなかったとしても初回から良い条件の船に乗せてもらえることはほぼ無いと言って良い。

そんな逆境とも言える環境でも努力をし続け、母国語でない英語を使って結果を出していかなければならない。

精神的に強くなれなければ最初の逆境を乗り越えることは難しい。

・自身のアイデンティティをしっかりと持っている

クルーズ客船スパには個性の強い人が多い。
それはクルーである同僚もそうだし、治療を受けに来るゲストたちの中にも個性が強い人が多い。

そんな人たちと対等にわたりあっていくには、
それ相応の個性の強さが必要である。

時にはいじめのようなことも起きるし、
スパの同僚同士でいがみ合うこともある。
(特に同性の間では)

我の強さが無ければ心が折られてしまうこともある。
自身のアイデンティティを強く持っており、外国人たちとも対等に接することが出来るような人としての自信を自分自身に持っているかどうかが豪華客船で仕事を続けていく上では、とても重要になってくる。

時に、飄々として、暖簾に腕押しで強いアイデンティティをかわせるような人もいて、そういう人であれば、強い我がなくても上手く立ち回って行くことは可能だ。
成功を収めた日本人鍼灸師の友人の中に1人そんな人物がいるが、彼は例外だなと個人的には思っている。

・英語が母国語である人に通用する英語力を持っている

豪華客船内の共用語は英語である。
顧客となるゲストの大半は外国人のため、基本的に英語で仕事をしていくこととなる。

船内で行う集客のためのセミナーも
鍼治療に興味を持ってスパに来た人向けのコンサルテーションも
治療の説明やセルフケア製品の説明も
治療予約もすべて英語で行う。

自分が伝えたいことを伝えられるだけの英語力が必要となる。
日本人の多くは、最初から十分通用するだけの英語力を持っていない。
かく言う私自身も最初は全く英語力が足りていなかった。

英語の不安がなくなったのは、3回目の契約の途中から4回目の契約にかけてだった。

どれだけ知識があっても、それを言葉にすることが出来なければ相手には伝わらない。
日本人鍼灸師の多くが苦戦する一番の理由は、英語力にあるのだろうと私は思っている。
日本で学んだことすべてを英語で難なく伝えることが出来ればもっとうまく出来るはずなのに、と日本人鍼灸師ならば誰しも一度は思うこととなるだろう。

豪華客船で鍼灸師として成功を収めるためには、英語力の向上が必要不可欠と言える。
英語が母国語の人たちとも難なく会話できるレベルになれるかどうかが、
ブレイクスルーを迎える一つの鍵であると言える。

・漢方薬やセルフケア製品について自信を持って説明できる

これは他の日本人鍼灸師たちに確認したわけではないので売上結果から透けて見えるセルフケア製品の売上額からの予想ではあるが、
ある一定額以上の売上を上げるには、鍼治療だけを売っているだけでは難しい。

漢方サプリメントやボディオイル、ボディジェル、フェイシャルプロダクトなどのセルフケア製品を一定額以上売り上げることが出来るようにならなければ、目標売上を超えることは難しいし、会社の責任者からの信頼を得ることは出来ない。

つまり、
売上を上げれるだけのスパ製品に対する知識が必要であり、
それらを自信を持ってゲストに説明できるようになる必要がある。

これは絶対条件と言っても良い。

昔は、トップから最下位までの売上ランキングがニュースレターに載せられており、それぞれのリテール売上(製品の売上)の割合も載っていた。
日本人鍼灸師のほとんどが、リテールの割合が低く、10%台が大半であった。

トップレベルの鍼灸師になると、少なくとも20%から30%は出してくるし、
トップオブトップに至っては、40%や50%すら超えている。
売上を上げるためには、鍼治療サービスを売るだけでなく、スパ製品の売上が欠かせないということである。

リテールの売上を上げるためには、自社で扱う製品に対する十分な理解と自信を持ってゲストに説明できるトーク力が必要となる。
これをいかにして身に付けられるかが、豪華客船における成功の重要な鍵の1つである。


・豪華客船で7か月間忙しく働き続けられる体力がある

クルーズ客船スパで働くためには、そもそも7か月間毎日働けるだけの健康があるというのが必須条件となっている。
その上で、忙しくなっても毎日働き続けられる体力が求められる。

忙しい日は昼食を食べる暇もなく朝8時から夜7時ごろまで働くこともある。
1日で十数人治療する日もある。(1人あたり1回約45分の治療)
水を飲む間もなく何時間も働くこともある。

丸一日休みは、あっても月1回、休みなく数カ月働く場合もある。
忙しい船であればあるほど、一日休みはない。あって半日休みのみ。
そんな環境でも7か月間働き続けることが出来た先に豪華客船における成功といえる売上結果を残すことが出来る。

体力がなければ途中で身体を壊すことになりかねないし、
体力が尽きれば精神的にも弱くなり、気力を保つことが難しくなり、
結果として数字を落とすことになるだろう。

豪華客船鍼灸師は体力がなければ務まらない仕事だと言える。
そして、成功を収める鍼灸師にはより体力が求められると言える。

高い売上が見込まれる船に乗れば、7か月間ずっと忙しく働くこととなる。
それが出来なければ売上が上がらず、本社から見限られ、条件の悪い船へと飛ばされる。

売上を上げ続けれるだけの働きをするためには、体力はとても重要な要素だと言える。



これら6つのことが、豪華客船鍼灸師として成功を収めて来た日本人鍼灸師たちに共通していたものだと言える。

最初からすべてを満たしていた人はいない。
逆境を乗り越え、自身の英語力を磨き、経験に基づく自信をつけた鍼灸師たちだけが成功を収めることが出来た。

運の要素もあったとは思う。
それでも、良い流れが来た時にそれを掴み、良い流れに乗った後に結果を出すことが出来たからこそ、彼ら彼女らは成功を収めることが出来た。

そして、これは成功条件ではないかもしれないが、
豪華客船鍼灸師として成功を収めることが出来た人は皆、1人の人としてとても魅力的で、周りに愛される人たちであった。
全員に共通している共通点だったと言える。


豪華客船は、周りから閉ざされた環境。
閉鎖空間の中で、周りと上手くやっていける協調性があるかどうか、
周りに愛される良い人間性を持っているかどうかがとても重要な成功要因なのではないかと私は思っている。

10年という、クルーズ客船スパ業界においてはとても長い間船で働いてきて思うことは、鍼灸師に限らず、クルーズ客船スパで成功を収め上の役職へと昇進していく人は皆、人としても素晴らしい人が多い。

ビジネスファーストの職場とは言え、
人の道に外れた行いをしている人はいつか足元をすくわれ、成功を収めることは出来ない。

多国籍な人が集まる環境において、周りと上手くやっていける協調性があり、良い人間性を持っていることは、とても重要な成功要因だろうと思う。

初回の契約では、なかなかそういったところまで視野を広げて周りを見ることができないと思うが、
クルーズ客船スパで働くことを考えている人、
これからクルーズ客船スパで働く人はぜひこのことを頭の片隅にいれておいて欲しい。

人の道を外れた先に成功の道は無し。
遠回りに見えたとしても周りを愛し愛され進む道の先にこそ、成功が待っている。


自身の実績を振り返りながら考える成功要因

さて、ここからは私個人の実績を例に挙げながら、
豪華客船で成功を収めるために私が行ってきたことを書いていこうと思う。
豪華客船鍼灸師として成功を収めたいと思っている人は参考にして頂ければと思う。

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