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不要となったものに付加価値を付け再流通させる【UPCYCLEARTIST・AKILLER】

2022年8月5日から香川県三豊市の三豊鶴で実施される「酒蔵Art Restaurant」
150年前に作られた歴史ある酒蔵の中に、現代アーティスト24名による作品が展示・販売されるほか、シェフ8名が週ごとにコース料理を振る舞います。

今回は、10月7日(金)〜10日(月)に在廊する、UPCYCLEARTIST、AKILLER(アキラー)さんをご紹介します!

プロフィール

1964年大阪生まれ 大阪在住
UPCYCLEARTIST

・浪商高校体育科卒業
・大工歴30年、建築デザイン歴23年
・建築デザイナーとアーティストでユニットチームDIY工務店を立ち上げ
・DIY百貨展主催
・2019年アート活動開始
・大事にしてることは特に無いのですが、目の前にある素材の過去に引っ張られることなく、その時の感性でなるべく短い時間で制作を進めています。

DIY工務店・DIY百貨展の立ち上げ

ーこれまでの経歴について教えてください。大工歴がかなり長いんですね!

ちょうど20~26歳くらいの時がバブルの時代でして、職人が羽振りが良かったんですよね。お金を稼げるということで、たまたま大工になりました。小さい時からものづくりは好きでしたね。振り返ると、大工は30年続けています。

2016年には、大工上がりの建築デザイナー2名と、建築営業上がりのアーティスト1名の3人で、DIYの普及を目的としたユニットチーム「DIY工務店」を立ち上げました。当時は、やっとDIYという言葉が認知されはじめた頃です。お客さんを巻き込んだ建築の新たな展開や、DIYというフィルターを通した新たなムーブメントを起こしたかったんですよね。とにかく面白いことをしたい、という気持ちでした。大阪の府営団地をDIYの学校に仕立てて、延べ80人くらいの生徒さんを集めたリノベーションスクールを開催したこともあります。

その後、東京のギフトショー(国際見本市)の講演に呼ばれるようになりました。DIYの普及をしよう!という目的で2年ほど参加しましたね。おかげさまで引き合いはたくさん頂いたのですが、東京に拠点があるわけではなく、充分に対応できず時間が過ぎてしまったんです。そこで、東京に拠点を構え、建築だけではなく、地域活性や商品開発など、衣食住に関わる様々な依頼を受けられる母体として2019年11月に「DIY百貨展」を作りました。

ところがその後すぐにコロナ禍になり、様々なプロジェクトが保留になってしまったんです。ショールームにしていた拠点も借りられなくなってしまって、大阪に戻りました。

戻ってからはとにかく暇な時間を持て余していたので、「何をしよう?絵でも書いてみようかな?」という感じで、作品制作を始めました。昔から趣味で絵は好きだったのと、デザインにも興味があったので、コロナ禍がいいきっかけだったかもしれないですね。

他人にとっては価値のないものを蘇らせるUPCYCLE

ー作風について教えてください。UPCYCLE(アップサイクル)がコンセプトとのことですが、そもそもどういうことをやっていらっしゃるんですか?

「UPCYCLE」は、「不要となったものに付加価値を付け再流通させる」ことであり、広く捉えれば環境問題、ゴミ問題へ通ずるものです。そうした諸問題に触れ、考える機会を増やす事になればいいなと思い、建築の時から自分のテーマにしていました。

建築の仕事をしてる時も、「古い良いものを残しながら、新しいエッセンスを加える」というのがベースだったんですよね。古いものが好きなんです。また、「他人にとっては価値のないものを蘇らせる気持ちよさ」を知っていたので、作品制作のスタイルも自然とそうなりました。元々アートをやろうと思っていたわけではなく、ただ単にUPCYCLEの一環としてやっていたら最終的にアートになった感じです。

現在は、照明器具やテーブル、椅子などのインテリアにペイントしたり、服や靴、鞄にペイントしたりしています。アートは、ただ鑑賞して飾るのではなく、ペイントした服をそのまま着て出かけるなど、日常に自然にフィットさせ、もっと身近になれば良いなと思います。

ー作品を拝見すると、文字が描かれているものが多いようです。

最初に文字を描き始めたのは、「服にグラフィティしてほしい」と依頼されたことがきっかけでした。ぱっと見でかっこよく、「文字を描いているけれど読めない・よくわからない感じにしてほしい」と言われたんですよね。その時に、「バランスさえ綺麗に整えれば文字は絵になる」という感覚を掴みました。ですから、実は描いている文章に意味はなく、描いた時にどんなバランスになるかをメインに考えています。

今回展示する作品のコンセプト

ー今回展示する作品について教えてください。

せっかくテーマがUPCYCLEなので、三豊鶴にある使われなくなったものを使って作品をいくつか制作しました。そのうち、元々アイスクリームを入れる木箱にペイントした作品があるのですが、これはアイスクリームを取り出すための穴から中を覗くと写真が見れるようになっているんです。展示場所は仄暗いので、写真の近くには小さい豆電球がついています。ちょっと引いたところから見るとなんとなく絵になっていて、可愛いですよ。

今回は、個人名義の「AKILLER」で出展するものと、ユニットチーム「GUssa」で出展する作品とがあります。GUssaは、「写真の展示の仕方が画一的で面白くない」という思いから始まったチームで、展示方法や見せ方を再考しています。この木箱の作品はGUssa名義となります。

ご来場いただく方へのメッセージ

全体として、たくさんのアーティストや料理人と関われる良い機会なので、時間の許す限りゆっくり滞在してほしいと思っています。五感で感じられる展示会になると思うので、じんわり感じてもらえたら嬉しいですね。

個人的には、期間中にたくさんのお客さんが来てくださると思うので、作品について話をするのが楽しみです。これ以降の作品を作るヒントにもなると思うので、たくさんの人に会いたいです。

三豊鶴「酒蔵Art Restaurant」とは

皆様のお越しをお待ちしております!