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「特養って選べないんですか」

ありがとうございます。母さん特養離脱の顛末を読んでくださった方から、ご質問いただきました。選べます。ただし選択肢が少ないこともあります。

高齢者の方向けの、自宅以外の住まいはいくつも種類があります。
まるめて老人ホームと言ったりするかもしれませんが、特養(トクヨウ)、老健(ロウケン)、認知症グループホーム(グループホーム)、住宅型老人ホーム、介護付有料老人ホーム(介護付有料)、ケアハウス(軽費老人ホーム)、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住 さこうじゅう)、高齢者向けの賃貸住宅など。

老健は基本3~6カ月しか入所できない「家に帰ったりするためのつなぎ→次に向けての施設」です。なので家と認識しては基本ダメ。

ケアハウスは数が少なく、今後増えません。養護老人ホームは所得が低く生活困難といったご事情がある方が対象。認知症グループホームはグループホームがある市町村にお住いの認知症の方が対象。高齢者向けの賃貸住宅は、見守りなどがついていますが、お住いがであるわけで、在宅介護と基本変わらず。そういう点では住宅型老人ホームもお住いであるということに変わらず。

ということで、介護が必要になったので、家から施設!となった場合には、特養、介護付有料、介護サービスも施設内で提供しているサ高住の3択ということになります。

それで特養。新聞テレビなどでも、入所1000人待ち、〇年待ってますなんて報道がされたりして、どうやら特養というところは大変なところらしいとイメージされている方もいらっしゃると思います。

法改正によって今は、特養は要介護3~5の方が基本対象なので、重くないとそもそも対象外です。その影響で、以前ほどは回転が速く、(施設や場所を選ばなければ)何年も何年も待ってますということはなくなっているはずです。

特養は認可保育所の審査みたいに、ポイント制で申込者のランキングをします。介護度、介護をする家族の状況など。それでポイントが高い人から入所の対象になります。空床(一部屋)あいたら、候補者をセレクトして、本人や家族と面談等して状況確認して、審査会にかけて、入所という流れです。

うちの母さんは、必殺要介護5でしたので、けっこうお声はかかりました。

けっこうお声がかかるように、いっぱい申し込みました。
母さんが住んでた町、私が住んでる町、それから西多摩郡。それから犬と入所できるという横須賀の特養にも申し込みました。

※東京の西多摩郡では西多摩特養ガイドというサイトがあり、サイトのお申込みフォームからでもお申し込みや問い合わせができます。

まず声がかかったのは①西多摩郡の特養。入院中に施設相談員に来てもらって面談もしました。見学にも行きました。いいなあと思った新館の個室は埋まっていて、昔ながらの多床式(大部屋)が空いているといわれて、うーんと悩みました。
次に声がかかったのは②母さんが住んでた町の特養。同様に入院中に施設相談員に来てもらって面談もしました。契約の一歩手前まで行きました。

しかし①と②は結果的にキャンセルしました。母さんの状態が、退院して特養に入るにはまだ早いということになったからでした。とにかく特養は、今、空床になったら、即入れたいというところなので、時間的猶予がまったくないのです。即断即決です。

②の施設は相談員の方もとても良い感じで、母さんの状態が仕上がっていたら、入所したと思います。いいところだなと思ってました。ただ、私の住まいからはとても遠かったけど。
そんな時に、横須賀の特養からも面談の連絡がきました。肝心の犬が定員いっぱいで受け付けてもらえないということと、②に入るか入らないかという時だったので残念ながらお断りしました。

それから声がかかったのが③わたしが住んでいる町の特養でした。

前記の母さんの状態として、もう退院しても大丈夫という段階だったことが大きかったです。

ちなみに申し込みは、母さんが住んでる町の特養には20件くらい申込書を郵送しています。
母さんが住んでる町で特養を申し込む方法は、各特養に申込書を送付する形でした。もう仕事。ひったすらプリントアウトして押印して送付。

なお、私が住んでる町では、特養の申込は年に2回しか受け付けません。
申込書は施設に直接送るのではなく、地域の地域包括支援センターに書類を持っていき、職員と面談して、職員が書き込む書類があるという形式です。申し込める施設は第3希望まで。3つだけです。で、申し込むと、あなたは申込者の何人中何位ですとポイントに基づく順位が返送されてきます。
母さんが入った特養は、申込直後は160人中80番台くらいでした。それでも申し込み後3か月もしないで連絡が来ました。

それでも、施設間で連絡取り合ってるわけでも、わたしからキャンセルの連絡を入れたわけでもなく、特養から連絡が来たのはそれくらいでした。

というのも、母さんは病気の百貨店。インシュリン注射が必要な身。

それで、相当、選択肢は限られてしまうのでした。

高齢者のための介護施設は、「生活施設」で、医療を提供する病院とは異なります。(※ここ、すごく、大事なところです。それでも、お年寄りになれば、病気と介護がセットになるから)医療行為が必要な人は、介護施設では受け入れてくれない可能性があります。医療行為は介護職員では対応できません。
※医療を提供する介護保険に基づく施設もあります(介護医療院等)

特養、と、同じ名前でも、各施設により、対応できる範囲が異なります。
インシュリンOKのところもあれば、OKでないところもある(たいていOKではない)(OKでないというのは、特養に限りません)。

なので、選べるけども、選べる範囲は狭いかもとなります。お住いの地域の実態などに応じて、この点の環境は、だいぶ異なるところであったりするのです。

そういうわけで母さんの選択肢は、そもそも多くなかったのです。
結論から言えば、母さん、糖尿とわかってから40年。薬はまじめに飲んでいたけどもさ、母さん、別に痛くもかゆくもないし、子ども時代は戦後で食べたいものも食べられなかったしとか言って、養生しなかったよねと。
こういう積み重ねがどうやら介護に非常に大きな影響を及ぼすのです。

将来を見据えて過ごしたいものです。

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