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JO1 2ND ALBUM『KIZUNA』感想記事〜前編〜

 私が絶対的信頼を寄せる「良曲の泉」が大盤振る舞いしてきた。

 JO1の2枚目のアルバム「KIZUNA」の楽曲が全て表舞台に出たので、その中でも4月以降に出た新曲8曲の感想を記事に残していく。
 今回は楽曲が多いのでテンポ良く行きたいところだが、なんせ8曲全て言及したいところが多すぎる。嬉しくもありながら少し憎たらしいくらいだ。新曲を聴くたびに好きを再確認できる、そんなアイドルのオタクを出来ていて私は本当に幸せ者だと思う。

 では早速、With Usから書いていくぞ!!(今回の記事はとりあえず感想を書き殴っているので、構成など少し難ありな部分があるかもしれない。ご了承いただけるとありがたい)



切なくとも温かい灯火のような歌「With Us」



 こうしてアルバムの全楽曲がお披露目された上で私はまず一つ言いたい事がある。
 このKIZUNAというアルバムのタイトルに相応しいのは、「With Us」以外存在しない。これだけはまず最初に言っておきたい。

 この楽曲のベースは結構単純というかシンプルな作りだ。コード進行は基本的に変わらず、同じような流れでずっと進んでいく。だが、その上で紡がれているリズムや楽器は曲が進むにつれて変化しており、その変化が心地良い抑揚、飽きさせないアクセントになっている。
 例えば伴奏を担当する楽器に注目してみよう。冒頭のコードはピアノに近い音色を感じるが、サビではシンセサイザーの電子音が同じハーモニーを響かせていく。続けて2番の景瑚のパートからはアコースティックギターが伴奏を担当し、弦を鳴らす小気味良い音が雰囲気を変えるアクセントになっている。続いて注目してほしいのはサビ部分の伴奏だ。1番のサビと比較してみると2番のサビの頭は1拍目で少し溜めて2拍目でエネルギーが発散するように打ち込みのリズムを変えているし、最後のサビでは最後に一気に盛り上げるために裏に今までに無かったメロディーやメンバーのフェイクが追加されている。

 このように「シンプルな土台をループさせながら楽器の数やメロディーで抑揚を付ける」という曲で有名なものだと、iKONのヒット曲であるLOVE SCENARIOが上げられる。With UsもLOVE SCENARIOも総じて童謡っぽさが感じられるのだが、この楽曲構成だからこその特徴なのだろうか。



 ここまでは楽曲の構成について書いたが、次は漂う空気感やメッセージ性について。

 この楽曲は題名の通り「僕達と共に」とJO1がこれまでの歩みや今ある絆を伝えてくれる歌だが、楽曲のテンションが比較的落ち着いているため、無理矢理聴き手のテンションを巻き込もうという意図をあんまり感じない。こちらに巻き込もうという強引さが目立つわけでもなく、かといって距離を取って遠いところで歌っているわけでもない。
 こちらが安心する距離にそっと寄り添ってくれる、まるでポケットにちょうどよく入ってくれそうなコンパクトさが聴きやすさに繋がっているのではないだろうか。
 この記事の題名に「灯火のような」と記載しているが、このコンパクトが要因となっている。With Usを歌っているJO1は、スポットライトを浴びて輝くスターのようなアイドルというよりも、同じ目線で寄り添ってくれる優しい存在…というイメージがある。灯火のように優しくじんわりと温めてくれる柔らかさを、この楽曲からは感じるのだ。

 歌詞についても言及したい事が一つある。それはサビの歌っている「信じたい」という言葉だ。この言葉が結構ずるいというか、面白いというか。
  信じるという言葉を辞書で調べてみると「本当だと思う事」「そうだと疑わない事」などが出てくる。では、これがもし信じたいというニュアンスだったらどうなるか。
 〜したいという言葉には願望の意味が含まれる。それを踏まえて「信じたい」という言葉を掘り下げてみると、この言葉の意味合いとしては「相手が抱いている思いが本物であってほしいという願い」が込められているのではないだろうか。

 この音盤の題名でありテーマにも据えられている絆は、目に見えない不確かな存在でありながら、時に人を救い上げるものである。その絆という存在が本物であってほしいという願いは人と関わる中で誰しもが抱くのではないだろうか。そんな絆という言葉に絶対に付いてくる当たり前な願いが、短い言葉で上手く表現されているように思う。
 そしてこの歌詞のもう一つ面白いところが、音源や歌番組などで純喜は最後のサビを「信じたい」ではなく「信じている」と変えて歌っている点だ。(歌詞カードなどは最後のサビも「信じたい」になってる)。
 これが意図するところなのか無意識なのかは分からないが、願いを含む「信じたい」が確信の意味を想起させる「信じている」に変わったのは、楽曲の中の世界観の時間経過や未来への展望が明るいようなイメージを持たせてくれるのでとても良い。今後も「信じている」と高らかに歌ってほしい。



広い空間を想起させる開放感がクセになる「ZERO」



 With Usにてコンパクトさがあると書いたが、それとは対照的に視界が開けてだだっ広い世界が脳裏に見えてくる曲、それがZEROだ。

 配信されたアルバムのトラック順だとWith Usの次にZEROへと続くが、このトラックの順番は結構絶妙だと思う。
 With Usは同じようなコード進行をシンプルに繰り返してその上で遊んでいるが、ZEROはそもそも音の数を絞っており、メンバーの歌声をしっかり通してその上で世界を広げようとしているところがある。

 まずイントロについてだが、音がどんどん遠くに響いていってやがてその響きがうっすらと聞こえなっていく演出が、とても広い空間をイメージさせている。個人的には海の中を想像した部分だ。そこから一度音の数を減らし、少ない伴奏の中でメンバーの歌声を主体にして曲を進めていく。このZEROという曲はラップメンバーも歌っているのを見ると、メンバーの歌声に軸を置いているように感じる。
 メンバーの中でも特に碧海の声が曲に合っているように思う。元々彼が持っている特徴的な声が楽曲の中で多くの情報量を持って聴こえてくるのが良い。特に最後のサビの「隙間を埋めて〜」から碧海の歌声と共に伴奏が一気に壮大になって、まるで自分が水平線の奥まで遮るものが無い広い場所に立たされたような気分になる。「声は神からのギフトだ」と聞く事が時々あるが、言い得て妙である。

 最後のサビの話をしてしまったが、1番と2番のサビの話もしておきたい。例えば1番のサビはメンバーが歌うメロディーの裏に分厚いコーラスを入れてアカペラのようなアレンジをしているが、2番サビはアカペラではなく楽器で伴奏を奏でたりリズムを打ち込んで前進感を出している。そして最後のサビは壮大さが目立つ。
 ZEROはメンバーの声をしっかりと聴くことができると共に、このように曲が進むごとに大きくアプローチの手法が変わっているのがポイントだ。この分かりやすい展開が心地良いメロディーと組み合わさる事で、聴き手に程良い多幸感を与えているのではないだろうか。

 記事を書きながら気付いた事だが、もしかするとWith UsとZEROは結構作り方や想起させる世界観が対照的な2曲かもしれない。想起させる世界の広さや盛り上げ方など、比較が面白い2曲がトラック順で隣り合っているので、これを読んだ皆さんは是非一度アルバムをトラック順で聴いてみてほしい。



突き抜けて見上げるしかない遊び心「Walk It Like A Take It」



 公式はワキラキと言いながらメンバー間ではうぉきらきと言ってるらしいこの曲を次は書いていく。また、題名が長すぎるので以下ワキラキと呼称させていただく。

 JO1の中でも珍しい全員で掛け声のようにサビを歌う曲で、これまで出た楽曲を踏まえた上でも結構挑戦的なナンバーではないだろうか。「JO1が全員でサビを歌うとこうなるのか」と面白さを感じながら聴けたのが良かった。
 というかこの曲は全体的に面白いというか変というか、JO1が歌う曲で徹底的に遊んで面白い音を入れてやろう!という気概が感じられる。そんな気概が無いと冒頭でミニオン大集合みたいな声は聞こえてこないはずである。

 まずこの楽曲のテーマから考えていく。Walk It like A Take Itとは「言葉通りにやる」という意味で、四字熟語で表すと「有言実行」になる。3年目に出すアルバムにこの題名で曲を作っているのは、なかなかに熱いものがある。
 歌詞も結構強気であると共にインパクトが強い言葉が並ぶ。まず、第一声が「孤高なれ」の時点で前のトラックのZEROとは大分テンションの持ち様が違うようだ。それ以外にも「冷たい視線と言葉で殺そうとしても無駄だよ」という物騒な漢字が出てきたり、「突き抜けた杭を人は打てずにただ見上げるだろう」という面白い言い回しの歌詞があったり、パワー溢れる楽曲の勢いで押しているのかと思いきや、歌詞にも聞き逃したく無いワードが並んでいるのが良さに繋がっている。

 聞き逃したく無いワードがあると同時に、聞き逃したく無い音もたくさんあるのがこの曲だ。その中でもCメロ部分を特筆したいと思う。
 Cメロとは最後のサビの前に来る新たなメロディーを指し、楽曲内の起承転結でいう「転」の部分にあたる。ワキラキはこの転の部分、Cメロが曲の良さを出しているのではないだろうか。
 Cメロは主に2つの部分に分けられ、まずは全員のユニゾンの後の高音で歌い上げる部分。ここで強気にたたみかけていくのを一旦ストップし、強さが滲み出ている心意気の裏側にある繊細さや余裕感を演出している。そして蓮さんの高音のメロディーが響き渡ると、間髪入れずにるるたんのラップの声が乱入してくるのだ。
 ここで注目したいのは今までに出てこなかったピアノの音である。このいきなり出てくるピアノはおそらく前にある高音のメロディーと同じような役割を持っていて、繊細さや余裕感が形を変えて引き継がれているのだろう。ここからまた最後のサビへと突入していくが、今までの形一辺倒で押すのではなくここでピアノを追加する事で強気で挑発的な姿勢に強かさが加わってゴージャスさも香るようになってくるのだ。

 ワキラキは最終的に純喜が題名を囁くところでブツっと切れて終わるが、この演出がどこか怪しさを感じさせる。イメージとしては電波ジャックしてテレビに突如流れてきた犯行声明がブツっと切れる感じ。
 JO1が3年目に見せてくれる有言実行に期待しよう。



Full8loomと河野純喜の爽やかな化学反応「Touch!」



 「これを夏に聴きたかった!!!」と手を叩いたのがこのTouch!という曲だ。Full8loomが作る爽やかなサウンドに加えて純喜作詞というサプライズまで付いている。スペシャルセットも大概にしてくれと言いたくなるくらいのありがたさ。

 この曲について触れる上でまずはFull8loomについて紹介しておこう。Full8loomは韓国の楽曲制作チームの名前で、制作するほとんどの楽曲の冒頭にホヨホヨ〜というシグネイチャーサウンドが聞こえるのが特徴的だ(このホヨホヨ〜という部分はFull8loomと言ってるらしいのだが、何度聴いてもわたしにはFull8loomと聴こえない…何故…)。
 JO1には過去にSTAY、Oasisと楽曲提供しているが、今回のTouch!は過去2曲よりもポップなサウンドでTHEアイドルソングといった楽曲になっている。
 Full8loomは良曲が多いので、馴染みが無い人は是非聴いてほしい。


 Full8loomの紹介をしたところで、本格的にTouch!の話をしていこう。
 Touch!という楽曲はまさに爽やか、みずみずしい、甘酸っぱいというような、まるで果実を形容するかのような言葉が似合う。その雰囲気にレトロっぽさもプラスされており、ちょっと昔のドラマ主題歌やCMソングを想起させているような気がする。

 この楽曲の言葉にやはり注目していきたいが、恋に落ちる瞬間や好きな人に触れる瞬間を、色んな言葉で表現しているのが面白いポイントだ。
 まずはフックになるパートの「It's like an electric shock」では、一瞬で体に流れる電流を。Bメロではシャボン玉が浮遊して弾ける様子を。恋にまつわる一瞬を別ベクトルの言葉で表現し、聴き手に届くように的を広くしている。JO1の作品のクレジットという意味では純喜の作詞は初めてになるが、真っ直ぐで少し初々しさを感じさせる言葉達が楽曲のコンセプトによくマッチしているように思う。

 続いて楽曲のリズムやメロディーを見ていく。この楽曲ではやはり冒頭から流れるItchy ah〜の英語のパートがまず聴きどころだ。このパートは間奏にも現れるが、サビ後の間奏では裏打ちのリズムになっており、聴いていると自然と歩みが速くなるような小気味良さがあってとても気持ち良い。
 楽曲の構成自体はシンプルだがその分聴きやすく、歌詞にも集中して聴けるような作りだ。これは個人的な感想だが、ここまでシンプルに「恋に落ちる」事をテーマに据えた楽曲はJO1の中でも初めてではないだろうか?メンバーにとっても挑戦の楽曲だったと思うが、ファンにとっても新しい発見が沢山ある楽曲になっているだろう。



まとめ


 振り返ってみるとやはりWith Usの分量がおかしな事になっている気がするが、そこは好きすぎて愛が勝ったと思って欲しい。今後もWith Usの良さをどんどんアピールしていきたいところだ。
 今回書いた4曲の中だとワキラキはやはり面白さがある曲だと感じる。サビにメロディーらしい音程が見えてこないと同時に全員で掛け声のように歌っており、これまでに無いようなアプローチを感じた。個人の感想だが、私はJO1メンバーの声色の違いが見えた方が好きなので、サビを全員で掛け声のよりは明確なメロディーラインをユニゾンで歌うか、それぞれの声を見せるためにソロで繋いでいくか…の方が良いのではないか、と思ったりした。でもワキラキも良い曲なので、たまにはこういった曲もあって良いだろう。

 後編ではLove&Hate、Algorithm、流星雨、Move The Soulの4曲の感想を書く予定だ。正直苦戦する予感しかしない。
 L&Hはセクシーさに加えて、この楽曲に描かれる愛憎とは…について掘り下げたいし、Algorithmは結構好きなので否が応でも掘り下げなきゃ気がすまないし、ムブソは良曲であると同時にアニメタイアップの難しさを感じた曲だからそこも掘り下げたいし…多分流星雨が一番すぐ書けそう。

 次回のスポもしたところで、記事を締めようと思う。
 JO1と周りのスタッフの皆さん、今回も良い曲をありがとうございました。そして読んでくださった皆さん、足を運んでくださりありがとうございました。



ミトラ

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