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JO1の音楽を知ってほしい

JO1の音楽について話をしたい。

 昨年は紅白歌合戦にも出演し、海外の音楽番組の出演やアジアツアー、そして11月にはグループ初のドーム公演も決まった。JO1の名前を聞くようになった、グループの名前だけは知っている、という方もデビュー当初に比べればだいぶ増えてきているように感じる。

 だが、知名度も上がってきた反面まだその魅力の真髄にまで触れていない方も数多くいるのではないだろうか。
 この記事ではJO1の持つ魅力の中でも音楽を中心として、「多彩な楽曲」「数多くのアレンジ」「ライブならではのこだわり」の3つに分けて紹介していく。
 長めの記事になってしまったので、時間が無い方は最初の章だけでも読んでみてほしい。興味を持ってもっと知りたい!となった方は全て読んでいただけるとありがたい。




高頻度で発表される多彩な楽曲たち


 楽曲の魅力の紹介の前に、JO1というグループの音楽面の特徴について簡単に触れておこう。

 JO1は韓国の大手エンタメ企業であるCJ ENM(通称CJ)と日本の吉本興業が合同で作った事務所「LAPONEエンターテインメント」に所属している。
 その特殊な出自故に、楽曲制作やコンペにはCJの影響が色濃く出ているのが特徴だ。制作者には人気KPOPアイドルに楽曲を提供した作曲者が名を連ねている。そして何十何百とある楽曲の中からコンペで選ばれたという事もあり、リリースされる楽曲は質の高いものばかりだ。

 ここまで聞くとただのKPOPの日本版か…と思う方もいるかもしれないが、それだけじゃない。
 KPOPの制作者だけでなく、時にはJPOP楽曲を世に送り出す制作者から楽曲を提供され、一味違う世界観を演出する時もある。
 そして先日は世界的に有名なDJであるR3HAB(嵐、Superfly、SEKAI NO OWARIなどにリミックスを提供)からの楽曲提供を受け、英語詞楽曲「Eyes On Me」をリリースした。
 デビュー当初はKPOP色が強いJO1だったが、今ではこのように多種多様なジャンルや歌い方を身につけ、自分たちだけの音楽「JO1-POP」を確立しようとしている。その道筋を我々は今辿っているのだ。

 ではここで、JO1の多彩な楽曲たちを何曲か抜き出して紹介していく。是非曲を聞きながら読んでみて欲しい。


SuperCali

 「JO1の楽曲の中で一番初見のインパクトがあるのは?」という質問が出た場合、私はこの"SuperCali"(通称スパカリ)を第一に上げるだろう。

 映画「メリーポピンズ」に出てくる呪文のSupercalifragilisticexpialidocious(スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス)をキーフレーズとするこの楽曲は、中毒性の一因となっている呪文の歌詞と多様な楽曲ジャンルが融合したとても面白い楽曲だ。
 3分の短めの楽曲でありながら、この中にはヒップホップから民族調の伴奏、フューチャーベース、バウンス、クラシックまで。数多の音色がSupercalifragilisticexpialidociousの一言で絶妙に繋がり、聴き手を休ませる暇なく展開していく。制作者の遊び心が120%感じられる傑作である。


Radio Vision

 SuperCaliとは打って変わり、軽快に歩きたくなるような洋楽らしさを醸し出すのがこの"Radio Vision"。最新アルバム「EQUINOX」の二つのタイトル曲の片割れである。

 この楽曲は欧米圏中心の楽曲チームによって制作されており、参考にされた楽曲はDNCEの"Cake by the Ocean"で、2015年の大ヒット曲だ。

 先ほど紹介した"SuperCali"と比較してみると、音の数自体は少ないが小気味よくノリやすい音楽となっている。サビの「Oh-ah」では思わず一緒に声を出したくなるような、そしてサビ最後のハミングのようなメロディーは一緒に鼻歌で歌いたくなるような、そんな親しみやすさで溢れた楽曲だ。


Phobia

 続いて紹介するのは"SuperCali"と同じシングルに収録されている"Phobia"。"SuperCali"とは対照的に温かみのある世界観が特徴だ。

 "Phobia"の面白いポイントは主に二つある。
 まず一つ目はサウンド。ジャンルとしては電子音が目立つフューチャーベースに分類されるが、イントロはカントリーに近い雰囲気を醸し出している。自然を思い起こさせるイントロで始まり、サビでは絶妙に調整された心地良い電子音が盛り上げていく、唯一無二の楽曲だ。
 もう一つは題名と音楽の交わりだ。"Phobia"には恐怖症という意味があるが、その言葉には似つかわしくないような浮遊感が楽曲全体を覆っている。聴く前と後でギャップを感じられるのもこの曲ならではの良さだろう。


飛べるから

 曲紹介のパートの最後を飾るのは、バラードの"飛べるから"という楽曲。ここまで紹介した3曲は海外の制作者のものだが、これは嵐やSexy Zone、miwa、Sonar Pocketに楽曲提供をしている大知正紘氏のものだ。
 JO1の成り立ちからデビュー、初単独ライブまでをまとめたドキュメンタリー映画「未完成」の主題歌に使われている。

 これは個人的な主観も入るが、JO1というグループの武器の一つに「まるで物語のようなグループの歩み」がある。
 2020年3月にデビューしたJO1だが、そこからはコロナの流行によってイベントやテレビ出演などが滞り、観客の前でパフォーマンスができない閉鎖的な日々が続いた。そんな逆境の中でX(旧Twitter)を中心にJO1とJAMは励まし合い、念願の単独ライブまで漕ぎ着ける。逆境に見合いながらも繋がりつづけ、励ましあったからこそ、そんなJO1の辿る時間は他人から見てもエモーショナルに映り、儚くも強かで、応援したくなるのだ。
 この楽曲は、「ファンと真に出会って舞台に立つまで」の物語の集大成とも言えるだろう。


楽曲リリースの頻度の高さ


 楽曲パートのまとめとして、最後にリリース頻度に触れておこう。

 前述の通り、JO1の楽曲制作及びコンペはしっかりと行われており、総じて質が高く一聴の価値があるものが世に並んでいる。
 この話を聞くと「じゃあたまにしか新曲出さないんだろうな」と思うかもしれない。だが、そうではない。JO1はリリース頻度と曲数も多いのだ。

 ここで、2023年10月20日までの今年の楽曲のリリースタイミングと今後予想されるリリースを見ていこう。

1月 "We Good"配信
2月 "Romance"配信
3月 シングル「TROPICAL NIGHT」リリース
7月 "NEWSmile"配信
8月 "Radio Vision""Gradation"配信
9月 アルバム「EQUINOX」リリース
10月 "Eyes on Me"配信
時期不明 "HIDE OUT"配信(メンバー出演映画のタイアップ曲)

2023年10月20日現在

 この一覧を見ると、春〜初夏の期間以外毎月新曲が出ているのが分かるだろう。メンバーが出演するドラマなどもブーストとなり、コンスタントに新曲が出ているのが分かる。
 ちなみにこれは今年だけの話ではない。2022年上半期をリストにしてみよう。

2月 "Dreamer"配信
3月 ”飛べるから”配信
4月 "Move The Soul""YOLO-konde"配信
5月 アルバム「KIZUNA」リリース(新曲)
6月 "ALL HOURS"配信

2022年2月〜6月の楽曲リリース。7月以降は準備期間に入り、その後10月にシングルをリリース

 このように、限りある準備期間で楽曲を輩出してファンの耳を潤してくれているのだ。
 そして高い頻度で楽曲を出しているからこそ、メンバーの歌唱スキルもレコーディングしながら上達していくし、楽曲から成長を感じる事もできる。楽曲単体を楽しんでも美味しいし、そこにグループ愛が乗る事で数多の隠し味が顔を覗かせる、それはJO1ならではの良さかもしれない。

 JO1が気になるという方は、まずは曲だけでも聴いてみてほしい。最近のアルバムでも公式プレイリストでも何でも良い。そこにはJO1だけの音が存在するだろう。
 そして、もしJO1を追いかけようと考えてくれたのなら、良い音楽体験を是非一緒にしょう!と後押しをさせていただきたい。



無限の可能性を魅せる楽曲アレンジ


 楽曲の良さはここまでしっかりと話したが、「楽曲が良い」で留まらないのがチームJO1のこだわりだ。
 彼らの真骨頂は多くの楽曲アレンジによって魅せる、楽曲が持つ無限の可能性だ。このアレンジがあるからこそ、ライブに行きたい!と思わせてくるのである。
 ではそのアレンジについても紹介していこう。


JO1のアレンジの原点


 JO1が持つ楽曲アレンジのレパートリーで一番多いのはロックバンドを使ったバンドバージョンだ。
 バンドバージョンが最初に披露されたのは2021年2月に行われたオンラインライブ「STARLIGHT DELUXE」である。そのライブ中に突如ロックバンドが登場し、"GrandMaster""OH-EH-OH"の二曲がバンドバージョンとして生演奏で披露された。そして約半年後に突然その二曲のライブ時の音源が配信され、ファンからは大反響となった。
 "OH-EH-OH"のリンクを貼り付けておくので、メンバーの盛り上げる声も楽しみながら比較してみてほしい。

 そしてこのバンドバージョンは、約1年後に最高の形でファンの前にカムバックする事になる。

 2022年の秋から始まった最初のアリーナツアー"KIZUNA"は、披露される楽曲全てがロックバンドによる生演奏で行われた。つまり、JO1がそれまでリリースしていた楽曲も全てバンドアレンジとしてライブで初披露されたのである。私はこのツアーの初日に入っていたが、ギターやベースのチューニングの音が聴こえてきた瞬間に驚きで声を上げて足が震えたのを覚えている。ちなみに帯同しているバンドメンバーは、StrayKidsやBoAを始めとしたKPOPアーティストに帯同経験のある頼もしい方々で構成されている。
 このバンドアレンジによるパフォーマンスはYouTubeでも数曲公開されているため、是非チェックしてみてほしい。

 このバンドを使ったライブについては最後の章でも詳しく語るが、楽曲の新たな姿を魅せるというJO1のこだわりは、このバンドバージョンが一つの骨子となっているのは是非覚えていただきたい。
 そして最近ではこのバンドアレンジにメンバーの遊び心も加わっている。今年のアリーナツアーでは楽曲に入る前のMCでメンバーがオートチューンをかけながら観客を煽り、その煽りが音楽に繋がって"Born To Be Wild"という楽曲が演奏される…という流れが一つの楽しみとなった。メンバーもしっかり音で遊んでいるのが分かる、目でも耳でも楽しめる演出だ。


挑戦の切り札となるのは"SuperCali"


 この楽曲アレンジはバンドバージョンだけではない。他にもJO1の楽曲アレンジは存在するが、特に"SuperCali"は多さが際立つ。

 まずは2022年冬にあったMAMA(Meet Asian Music Awards)というアジア最大の音楽授賞式だ。そこで披露された"SuperCali"は、メンバーによる華麗かつ激しいダンスを前奏としながら、数多くの弦楽器舞台を率いたオーケストラアレンジだった。

 演出面もしっかりこだわりが散りばめられている。前奏となるメンバーのダンスの後に差し込まれるブラームスのハンガリー舞曲第5番は、クラシックな雰囲気を印象付けるにはピッタリなアクセントとなっている。
 高い実力の出演者が次々とステージを披露し、全世界にステージが生配信されている大一番で、原曲が持つゴシックな世界観をとことん高めて圧倒させてくる素晴らしいアレンジだ。

 そしてもう一つは2023年初頭のGMO SONICで披露された"Super Cali"。このGMO SONICはJO1が初めて出演したEDM主体のフェスであり、一言で言うならアウェーのフェスだ。
 そのフェスで満を辞して披露されたのが、強めのEDMでアレンジされた"SuperCali"である。

 原曲が持つノリの良さや中毒性は維持しつつ、強めの低音や打ち込みの音が攻撃性をプラスしているのが大きな特徴だ。アウェーの場所でも物怖じしない、JO1の度胸が音に表れているのが分かる。
 一つ前に紹介したMAMAのアレンジは全体的にクラシック色が強くなったのが特徴だが、このGMOのアレンジは原曲通りの部分もしっかり残しつつ、尖らせる部分は尖らせて落ち着きと山場の配分がしっかりと作られている。

 ここまで紹介して察している方もいるかもしれないが、"SuperCali"という楽曲は大一番にこそ力を発揮する圧力のある曲だ。楽曲の面白さと唯一無二の世界観にJO1の負けん気がガソリンを投じる。ゴシックでありながら熱い、それがまさにJO1にしか出せないのである。
 また、"飛べるから"の紹介で楽曲の事を「ファンと真に出会って舞台に立つまで」の物語の集大成…と例えたが、"SuperCali"はライブ活動が頻繁になってきたJO1にとっての一番の攻めの武器に例えられるかもしれない。

 JO1が持つ音楽へのこだわりを知れば知るほど、これから聴けるであろう曲への期待感も高まっていく、JO1の音楽を追っていく事はつまり、その音楽の可能性まで期待して楽しむ事がセットとなっているのである。

※Mステからこの記事に辿り着いた方へ
披露されたVenusは原曲のロックテイストを少し抑えたEDMアレンジにて披露されている。


ライブで躍動するJO1の音


 最後に話していくのはJO1のライブについてだ。先日ライブツアー「BEYOND THE DARK」(通称:BTDツアー)のアリーナ公演が終わり、11月からはアジアツアー、そしてBTDツアーの締めくくりとなる京セラドーム公演が控えている。
 JO1のライブの特徴については、「ライブならではの音の魅せ方」「メンバーの歌・盛り上げへの情熱」の二つに分けて紹介しよう。


ライブならではの音の魅せ方


 昨年のライブツアーから生バンドを採用した全曲バンドアレンジで楽曲を披露しているJO1だが、今年のBTDツアーからはさらに進化が窺える。

 進化の最大のポイントは、「楽曲の繋ぎ」だ。ライブで曲を披露する際、通常は曲が終わったらフォーメーション変化のため暗転させて数秒間を置く事が多い。メドレーをするにしても2、3曲の構成がほとんどだろう。
 だが、JO1のBTDツアーでは楽曲同士の共通の音や専用のサウンドを作り出して絶妙に繋げ、観客を休ませずに楽曲とパフォーマンスを畳み掛ける構成を採用している。楽曲単体の取り組みで満足する事はなく、「どうすればライブの世界観を切らさずに音を楽しめるか」をしっかりと考えて実際に音にしているのだ。

 楽曲を滑らかに繋ぐという事は、パフォーマー目線だと休む時間が相当限られる事を意味する。暗転しても良いタイミングも音が入って演出になっているため給水などもできないし、基本MCの時間でしか息を整える事ができない。このこだわりはJO1のメンバーのタフさ前提で成り立っていると言えるだろう。休める時間を音に投資するこの姿勢に、JO1の音楽への熱い想いが感じられるのではないだろうか。


メンバーの歌・盛り上げへの情熱


 ここまでJO1の音楽の話を沢山してきたが、ではJO1自身の歌やラップはどうなのだろうか。最後にそこにしっかり触れていきたい。

 前述の通り、JO1はデビュー直後にコロナ禍に見舞われたためなかなか有観客ライブの機会が訪れなかった。その中で無観客の配信ライブやイベント、ショーケースに沢山出演してきた経歴を持つ。無観客の間も彼らは腐る事は決して無く、画面の奥にいる顔も見えないファンを喜ばせるため、自分たちを知らない観客に覚えてもらうため、無観客である事に臆せずパフォーマンス披露を繰り返していった。
 その経験が実りとなり、彼らは観客への盛り上げや歌の中に差し込むアドリブがとても上手くなったのである。今となっては大きな武器の一つだ。そもそもオンラインでのライブは画面越しとなるため熱気がどうしても伝わりにくい。その分演者は対面よりもオーバーに行動する必要がある。その「オーバーにやる」という無観客ならではの注意ポイントが、今の熱狂的な空気を作るJO1の骨子となっているのではないだろうか。

 観客への煽りだけではなく、歌詞を変えた合いの手やライブならではのハモリや声色の変化、シャウト、これらの熱気に隙はない。単独ライブでは勿論、他グループとの合同ライブや他界隈でのアウェーなライブでは、負けず嫌いがブーストをかけてギラギラとした覇気が音に乗っていくのだ。
 彼らが持つこの盛り上げの上手さは、私が語るよりも映像を観てもらった方が早いだろう。3曲ほど貼っておくので是非視聴してほしい。

 例えに挙げた楽曲だけでもジャンルの幅広さが合わせて感じられるのではないだろうか。他にもYouTubeには公式のダイジェストや有名曲をカバーしたステージ、ファンが撮影したものまで様々アップされているので是非検索してみてほしい。

 これは個人的な感想だが、私はJO1のライブに行く度に「こんなに命張ってくれるなら、お金出して来た甲斐があるなぁ」と毎度感じている。
 ライブに行くという事は、チケット代だけでなく交通費なども発生してくる。それが国内の遠いところや国外となれば尚更だ。チケット代だけ払えばライブに行けるように見えて、実はさらにお金を積んでいるのである。そしてお金をかけた先で会うJO1は、時には音源に甘えて口パクをしてもいいのに、全部の歌で声を張り上げて日毎に違うアドリブや盛り上げ方を見せてくれるのだ。
 お金をかけて行ったライブで大好きなアイドルが私と他の観客のためにヘトヘトになるくらい歌って踊って最高のステージをしてくれる。この優越感が私は好きなのかもしれない。勿論、体調が悪い時はセーブして休んでほしいが。この優越感に心当たりがある人は少なからずいるのでは…と密かに思っている。

※Mステからこの記事に辿り着いた方へ
BTDツアーのダイジェストが公開されたのでライブの様子を覗いてみてほしい。



最後に


 私がこの記事の執筆を決めたのは、JO1がミュージックステーション(Mステ)への出演を決めたからだ。知名度も上がって色んな音楽番組に出演してきたが、Mステへの出演は初めてとなる。初めての出演となればこれまでとは違った視聴者層になるだろうし、番組の知名度も高いためこの機会に音楽面にフォーカスしたかったのだ。

 私はJO1のファンであり、もしかしたらファン故の過大評価も含まれているかもしれない。だがそれでも、JO1の届けてくれる音楽は素晴らしいものであり、その素晴らしさが心に刺さる人、必要としている人、知らないだけでそう遠くない未来で愛してくれる人が世の中には沢山いる事を信じている。この素晴らしさを届る手伝いができるなら、これほど光栄な事はないだろう。

 この記事を読んでくれた方が、少しでもJO1に触れてくれる事を願っている。これからのJO1に是非期待してほしい。


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