浅野郁哉さん(卒業生)への質問!

🤔どうして水戸黄門に参加しようと思ったのですか?

初めのきっかけは舞研の方に声をかけてもらったからです!暇でした。当時。
それ以降は
不甲斐ない自分へのリベンジマッチと
また来るねと約束した人達がいたからです。

 


🤔水戸黄門を通して忘れられないことはなんですか?

思い返すとキリがないので
一番初めに浮かんだ事です。
終演後、施設の方から聞いたお話です。
お客様の中に、医学的にはもう身体が動かせないと言われた寝たきりの方が居ました。
その方にはつきっきりで面倒を見るスタッフがいて、その人と観劇をしてくださっていました。
スタッフの方曰く、「指が動いた」らしいのです。初めて見たともおっしゃっていました。本当に信じられないことらしく、
演劇の素晴らしさ?可能性?に出会えた気がしました。
自分がアウトリーチを続けたのはこれが1番のきっかけかもしれません。



🤔浅野さんは5年間水戸黄門にご参加くださった中で、殺陣・振り付け・演出・出演と数多くの役職をご担当してくださいました。大学に入る前からアウトリーチ作品の創作経験はあったのですか?

大学1年生の頃に初めてアウトリーチに関わりました。それ以前は演劇すらしていません。
役者以外の役職はこの企画で初めて挑戦しました。たくさん迷惑をかけたかもしれませんがとにかく周りの人がたくさん助けてくれました。



🤔水戸黄門を上演してみたい施設や場所はありますか?

水戸黄門として活動するなら日本全国の
老人ホームにまわりたいですね。
あとは、地方、地域の祭り行事に参加して作品を披露するというのも素敵です。
数年前、茨城県の夏祭りで水戸黄門の
野外公演をさせていただきました。
炎天下の中着物を着て歌って踊る。
これほど厳しい環境はないけれど、
諸国漫遊の旅をする黄門一行の様でした。
老人ホームや公民館、神社など、日常的に使われる場所を劇場化させることが一つの醍醐味な気がします。 



🤔浅野さんにとってアウトリーチの魅力はなんですか?

1番の魅力は関わる前のイメージと
関わって得られるモノが全然違うという事だと思います。
私がなんどもこの企画に携わったのは
人と出会う事、人に作品を届ける事、
人とものづくりをする事、人と生活する事
自分がなぜ演劇に関わるのか、
役者としてのポテンシャルなど、
図らずも全て問われ続けるからです。
自分の全てを試されている気持ちになりました。
特に、県外に赴く時がとても顕著です。

お客様の日常生活の中に
「演劇を学ぶ東京の学生」がいきなりやってきて、
初めての人と目を合わせ、「水戸黄門」
という作品を通してコミュニケーションをしていきます。中には泣いて喜ばれる方も居れば、着物の着方が汚いとご教授くださるお婆様もいます。時代劇に厳しいおじいちゃんも
水戸黄門さながらの貫禄ある声で
印籠をかざしてくれるノリノリのじっちゃんもいます。
あ、僕の同期にプロポーズをしたナイスガイもいました。

もちろん、体の不自由な方もいれば
上演中大きな声を出すひとも、
殺陣シーンで興奮のあまり、飛び跳ね、
舞台上にやってくる子供たちや、
ちょっと斜に構えつつ腕を組みながらみてくる地域の高校生も居ました。

たった1時間の上演の中に、
お互い見ず知らずの役者と観客が出会い、
何が起こるかわからない時間を過ごして、
お別れをします。
インリーチもそうですが、アウトリーチはもっと密度が濃い気がしました。

全て完璧に、今日一番の出来だと良いのですが、舞台の大きさが昨日の二分の一だってあるし、音が全然響かない部屋や、
天井が低すぎて刀がぶつかる時だってあります。
相手役が全然集中してない日もあります。
1年後に赴いた時、覚えられてたら
役者としてこれほど嬉しいことはありません。
多分来年も参加していることだと思います。

ひとえに、
人間力が試されて、たくさんドラマがあるよ
という事です。

ぜひ多くの人に経験してもらえたらと思います。