だらーっとしててキリンな息子
長男が幼稚園に通い始めて二ヶ月ほど経つ。
最初は行きしぶり、幼稚園バスに乗せるまで苦労したが、今は楽しく通っている。
この日から5日連続で、バス停まで送って行く苦労話。今見返すと忘れてて面白い。
ところでおしゃべりな息子は、あまり幼稚園の話をしてくれない。
「今日も楽しかった?」とか「なにして遊んだの?」と聞いても、ニヤニヤしながら
「それはひみつです」と言ってくる。
お前はスナドリネコさんかい!と『ぼのぼの』を読んだ人にしか通じないツッコミをしたくなる。
もちろん息子はまだ読んでないので、何故この返しをするのか謎。
かっこつけてるけど「秘密」が「ひみちゅ」って発音になってるから、あんまかっこよくないよ、息子よ。
唯一自分から話してくれるのは、給食で出てきたフルーツのこと。
「ばななが、かわもそのままで、きられてでてきた!」
とか、
「みかんもはんぶんで、かわもあった」
とか。
その日のフルーツは献立表で知ってるし(何故か息子はメインは教えてくれない)、更に切り方もどうでもいいっす。
なにして遊んだか、楽しかったのか、それを母はもっと知りたいんす。
なので、初めての個人面談は楽しみだった。
早上がりのだんなに息子二人まかせて、出かけようとしていた時、息子が突然言った。
「きっとせんせい、ちのくんは、いつもだらーっとしてて、つまらなそうですっていうよ」
なにそれ、初耳。
冗談?本気?
何故いま言う?
照れくさそうにはにかむ息子に何か聞きたかったが、時間だったので追求できなかった。
面談はなごやかに始まり、幼稚園に無事慣れてきているから大丈夫だと言ってもらえた。
ルールをよく守るとか、体幹がいいとか、集中力があるとか、親が見逃していた息子のいいところをたくさん話してもらえた。親バカなので嬉しかった。
が、「だらーっとしててつまらそう」という息子の話を告げると
「あーそれを自己申告しちゃうんかい」と先生がくだけた。
「たしかにねー、床とかによく寝そべってるんで、「どうしたー?あそばないの?つまんないの?ふんじゃうよー」って言ってますねー。」
とのこと。
家ではあまりぐうたらせず、走り回ってるか、何かやってタイプなので、少し意外。
「まあ、幼稚園に毎日行くのも疲れちゃうでしょうし、全然大丈夫なんでー」
と、先生は最後までおおらかでありがたかった。
帰宅して、
「先生、ちののこといっぱいほめてくれてたよー!でもだらーっとしてるのも、そうだねってさ。」
と息子に話すと、
「ね、ちののいったとおりでしょ」
と、何故か誇らしげであった。
やれやれとママ友にラインで顛末を送ったら、「3歳でその自己客観性はすごい」と予想していなかった褒め言葉をいただいた。
最近、我が子にしか接していないから気づかなかったが、たしかに早熟な方かもしれない。言葉も論理も記憶力もいっちょまえだ。
それなのに、朝起きて母がいないと癇癪を起こし、毎朝寝室からリビングまで手をつないで歩かないといけない。(その距離1メートル)
次男には手がでるし、ちょっとしたことで長々とギャン泣きするし、情緒がなかなか安定しない。
もう少しなんとかならないのか、発達的な心配もしたけど、三歳検診でも今日の面談でも心配ないと言われた。
そうなると、ただ彼の個性なのか…。穏やかで切り替えがうまくなったほうが、本人もまわりも楽だと思うけど、まあ仕方ないのか…。
ぐずぐずと何度も考えていることをまた反芻してしまう。
しかし、日々はずっと続いてくし、とにかくお互い機嫌のいい時間を過ごしたい。
「そうだ!先生が、「ちのくんはキリン歩きがすっごくうまいから、みんなのお手本でやってもらったよー」って言ってたよ。
どんなの?かーちゃんにも見せてよ!」
すると息子はすっごく得意げにやってくれた。
両手を1にして、頭の上でツノをつくり、つまさき立ちでスッスッと歩く。
なるほど、よろめきもせず、軸がしゃんとしていて美しい。
「すごい!かっこいいじゃん!」
ほめたら、鼻の穴の膨らんだキリンになった。
そして次男もマネしてふらふらと後を追う。ほほえましい。
二人産んでよかったぁ、かわいい、と出来るだけ深く味わう。
意識しないと大変な気分でいっぱいになっちゃうから。
ビデオを撮ろうと構えたら、ん?キリンがもう一匹増えていた。
息子らの何倍もあるキリンはターンをしたり、バックをしたり、ほめて欲しそうにアピールをしていた。
ああ、だんな…
私には息子が三人いるのかもしれない。
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