アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐深夜‐

夜も更け、そろそろ寝ようと準備をする。

建て替えられて15年ほど。
断熱もしっかりして、暖かく眠ることができる。
なんて幸せなことだろう。

以前は、窓の隙間から冷たい風や雪が入り込む、昭和って感じの木造家屋。
今じゃ信じられないけど、白い息を吐きながら、外と変わらない気温の台所で顔を洗ったりしてたっけ。

そんな古い我が家も大好きだった。
家族7人、仲良く幸せな思い出ばかり。

そんなことを思い出しつつ、暖かな部屋で、ぬくぬくと布団に入る。
新幹線での移動と家までの雪道で疲れたのか、あっという間に眠りに落ちた。

はず、だった。

「・・・ぇ・・・・・ねぇってば・・・」

なんだよぉ、こんな夜中に。

無理やり細く開けた目に映ったのは、透き通るような白い肌のかわいらしい女の子。

いや。

<女の子>というには、サイズ感がおかしい。
枕元に置いていた本の上に、ちょこんと座っている。

しかもワラ編みのゴザ帽子に、赤い柄の半纏姿。

・・・・・雪ん子、だよね。

いや、見たことないけど。
昔話の雪ん子って、こんな挿し絵だよね。

と、寝ぼけた頭でぼーっと考えていると、凍えそうに寒い。

寒さを感じるはずが、ない。
窓が開いてるわけも、ない、し。
なんでこんなに、寒いんだろう・・・・・?

おかしいな。
部屋の感じが、なんか・・・違う気が・・・・・

ぼんやり見えるのは、煙突が伸びたストーブ。
小さなブラウン管の赤いテレビ。
津軽塗のちゃぶ台。

・・・・・これ、子供の頃の我が家だなぁ。

ってことは、寒いのも、この小さな女の子も、夢かしら。

「夢じゃないから、はなし聞いてよ。」

そういいながら、ほっぺを膨らませる姿に、どこか既視感を覚えつつ、まだぼんやりした思考回路で話を聞くことにした。

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