アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐さんぽ‐

テレビショッピング。
ここもテレビショッピング。
あとは、昔のサスペンス、か。

チャンネルを回してみるも、心躍るような番組はやってない。
そもそもチャンネルが5つしかないんだ。
見たい番組がやってる方が珍しい。

さんぽ、行ってみようかなぁ。

たまに実家へ帰ってきても、家族と過ごし、友達と会い、あっという間に3泊4日なんて終わってしまう。

が、今回は3か月だ。
天気もいいし、久しぶりに近所を歩くのもいいかもしれない。

雪子はしばらく起きなさそうだし。

「ちょっと散歩してくるね。」

家族にそう言って、玄関を出る。
冬にしては珍しく陽射しがあって、道路の雪も解けてきている。

とは言っても、歩きやすい歩道はあまりない。
気を付けて歩かないと、ずるっと転びそうになるのだ。
歩道が歩けずに、車道を歩くしかないところも多い。

ザクザクの雪道。

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一瞬でも気を抜いたらステーンッといきそうなアイスバーン。

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駅前の道ですら、歩くのに一苦労する。

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車通りの多い道で、しっかり歩道が整備されてる道も、歩道から車道が見えないほどの雪の壁。

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アスファルトを歩く散歩と違って、いろんな気を使うから、足元も気持ちも気を付けないと。

何度か転びそうにもなりながら、公園にさしかかった。
遊具はすっかり雪に埋まり、近所の雪捨て場になっいる。
隣にあった駄菓子屋さんは、なくなっちゃったかぁ。

ここで友達と走り回ったり、駄菓子を食べたり。
日に焼けて真っ黒になって遊んでたっけなぁ。

なんて郷愁に浸っていると。
真っ白な公園の中に、真っ白な白鳥がいた。

いやいやいや。
川辺ならまだしも、こんな住宅街のど真ん中で白鳥はさすがにいないでしょ。
雪の凹凸でそう見えたんだろうと思い、先に進もうとした時。

白鳥が私を見て、あっ!って顔をして、翼を広げて手を振った。

ように見えた。

そして、そのまま空に飛んで行った姿を見て。
昨日一緒に飛んでいた、ハチかな。
こんなとこにいるか?

ま、雪子もいたしなぁ。
また夜にハチもくるのかしら。

などと考え事をしていたら、途端に足を滑らせそうになる。
危ない危ない。

久しぶりの雪道歩きの緊張感に、思ったより早く疲れてきた。
帰っておやつでも食べようかしら。


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