アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐エピローグ‐

雪子が蒼国に戻って数日。
大人の冬休みも、終わりが近づいている。

なんとも不思議な時間だった。
そして、楽しい時間でもあったなぁ、と振り返る。

夢だったのか、現実だったのか。
それを確かめるすべもないまま、時間は過ぎていく。

だいぶ暖かくなり、桜の開花予想も発表された。
いつもならGWにかけて見頃を迎えるが、今年は4月中旬には咲き始めるようだ。

家族との3ヶ月という時間。
離れていては知ることができないことにも、気付かされた。
夢だったとしても、雪子やおじいちゃんおばあちゃんの笑顔を見れて、変わらぬ絆を感じられた。

やっぱり・・・帰ってきて良かったな。


そして、出発の日。
仏壇にお線香を立て、おりんを鳴らし、手を合わせる。
その心持ちは、3ヶ月前とは少し変わったかもしれない。

「これから戻ります。また、帰ってくるからね。」

新幹線の時間が近づく。
気持ちも新たに、日常生活を整えなくっちゃ。

「それじゃ、行ってきます。」

(いってらっしゃーい。またねぇ。)

遠くから、笑顔で見送る雪子の声が、聞こえたような気がした。


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