アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐
‐出発-
「とうさんをさがしに行くの。」
そこにいる小さな女の子はそう言った。
「かえってこないの。だから、いっしょにさがして。」
んーっと・・・・・
なんで私が一緒に探しに?
やっぱり夢って変な展開になるよねぇ。
「どこか、さがすあてがあるの?」
「ない、けど。」
少しだけ泣きそうな顔をしながら、まっすぐ見つめてくる。
私にこの子のお父さんがどこに行くかなんて、わかるはずもない。
だからって、放っておくわけにもいかないかなぁ。
ま、夢だろうし、ここは乗っかっておく、か。
「うん、わかった。で、まずはどこにいくの?」
そう答えながら、寒くないようにいろいろ着こまなくちゃ、と立ち上がった。
ん???
あれ???
立ち上がったのに、目線が低い。
枕元に置いてある服が、なんで、これ、私のじゃない。
っていうか、これ、子供服じゃん。
恐るおそる近くの鏡台を覗き込むと。
そこに立っていたのは、見覚えのある小学生の姿。
「なんでわたし、小学生になってるのっ!?」
夢って、どうにもおかしなことばかり。
これも受け入れなくちゃ、なのかしら・・・。
「もう、早くいこうよ。」
雪ん子姿の小さな女の子は、足をジタバタさせて、私を見つめてる。
「う、うん、わかったから、ちょっとまってよ。」
急かされながら、手に取った服も見覚えがある。
子供の頃に、自分が着てた服だ。
ひんやりとした服に手を通し、冷たっと首をすくめながら着替えを始める。
ストーブついてないと、服が冷え切ってて、着替えるの嫌なんだよなぁ。
あまりにも、手触りや質感までリアル過ぎる夢に戸惑いつつ、私たちは外に向かった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?