アオイクニノモノガタリ ‐蒼国物語‐

‐海守さま‐

「海守さまに聞いたらどうだい?」

ハチの提案に、雪子は海の方向に手を伸ばした。

海には、人々が運んだ雪がプカプカ浮いている。
あぁ、そういえばこんな景色を見るのも久しぶりだな。

雪が積もり続けると、雪を寄せる場所もなくなってくる。
そうなると、軽トラで雪を運び、海に捨てる人たちがいたものだ。
今もそれは続いているのだろうか?

その光景を見ながら、流氷ってこんな感じなのかなぁ・・・
と、子供心に思ったりしたものだ。

そんなことを思い出している間に、海に浮かぶ大きな雪の塊に降りていた。
プカプカ浮いているだけなので、気を抜くと落ちてしまいそうだ。

「このあたりにいると思うんだけど。」

「海守さまぁ~、いらっしゃいますかぁ~。」

海守様って、真っ白いひげのおじいさん的な感じかしら。
怖かったらどうしよう。

と、海面がブクブクと泡立って、目の前に現れたのは。

「よ~びましたかぁ~?」

ぽよぽよプニプニの海色した、可愛らしい瞳。
サイズ的にも両手に乗るくらいなんだけど、海守さま、なのですか?

・・・・・えーっと、ス〇イム、にしか、見えん。汗

ぽよ〜んぽよんと揺れながら、雪子とハチとニコニコ話している。
さ、触ってみたい。
プニプニなのかしら。

「う~ん、ぼくに手伝えることはなさそ〜だねぇ・・・」

ちょっと困った顔をして、海守さまは雪子の手に蒼く光るコンペイトウのようなものを乗せた。

「これ、もってってみてぇ~。役に立つかもしれないから~。」

ほわほわそう言うと、海の中へと消えていった。

「それ、なに?」

「わかんないけど、海守さまがくれるなら、きっと役に立つもの。」

雪子は大事そうに懐にしまい込んだ。

「それじゃ、山守さまにも聞きに行ってみるかい?」

ハチの提案で、今度は真っ白な山へと向かったのだった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?