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ロベルト・コッホへの告発:ノーベル賞撤回請願①

 現代の感染症理論を支配する理論、通称「病原体理論」。簡単に説明すると、「病原体」と呼ばれる疾患を媒介するものが、生物の体内に外部から侵入することで疾患を引き起こすとする理論だ。この理論に基づき、

・チフス菌ーチフス
・結核菌ー結核
・コレラ菌ーコレラ
・天然痘ウイルスー天然痘
・インフルエンザウイルスーインフルエンザ
・SARS-CoV2-COVID-19

のような、「病原体」と「疾患」の一対一対応を定義しようと試みるのが現代医学の支配的な考えである。"近代細菌学の開祖"と称される19世紀のルイ・パスツールにより提唱され、現代に至るまで様々な細菌学者・ウイルス学者によってその証明が試みられた。

 パスツール本人の経歴を調べれば、それが本人によって証明されたものではないことは、陰謀でも何でもなく明確な事実である[1]。1914年、プリンストン大学教授のジェラルド・ゲイソン博士が、パスツールの死後に一般公開された実験記録を解析し、パスツールは"病原体を使って病を伝染させることは一度もできなかった"と正直に認めていることを明らかにした[2]。これは要するに、パスツールが関与した炭疽菌と狂犬病とコレラの疾患概念が破綻の危機に陥ることを意味する。

 ただ、理論を提唱した人物が必ずしもそれを証明する必要はないことは確かだ。それは他の学問、例えば物理学を参照してもいえることだ。これだけを以てこの理論を否定するのは早計である。以降、この理論を後続の細菌学者・ウイルス学者達が発展させてきた。その誰かが証明に至ればパスツールの悲願のはずである。パスツールが真に科学に身を捧げた賢人であればの話だが。

 パスツール本人が科学者として欠陥を抱えた人物であることも当時から指摘されてきた。例としてこの病原体理論の着想の背景に触れたいが、実はこの"空気中の病原体が疾患を運び届ける"という理論は、パスツールの独自理論ではなく、1762年のオーストリアのウィーンの生理学者マルクス・アントニウス・プレンシズによって初めて提唱されたものであり[3]、パスツールの理論はこのプレンシズの仮説を完全に踏襲したものだ。パスツールはプレンシズの仮説におけるその媒体の正体が細菌だと定義したに過ぎない[4]。

 パスツール本人の人格の話だけで章が割けるほどではあるが、ここでは割愛する。問題はパスツールの発表が盗作であれ何であれ、現代医学全体を俯瞰すれば、この理論は明確に破綻していることである。その内の一つの観点が、現代医学が生理学のホメオスタシス理論とこの理論を同居させている点にある。

これは明らかに整合性が取れておらず、免疫系が自律神経系の支配下にあることからも、病原体理論の方が誤りであることは明白である。

 ただ、これで可能となるのは、生理学からの「矛盾の指摘」であり、明確な「誤りの証明」ではない。その証明の為には「病原体」と呼ばれているものの正体を突き詰める必要があり、その為には同時代に活躍したアントワーヌ・ベシャンの著書を解読する必要があり、それだけで本が一冊仕上がるほどだ。従ってこれも割愛する。

 本稿は、その病原体理論の黎明期において、その中心的な位置に立つとある人物の告発を目的としている。炭疽菌・結核菌・コレラ菌を分離し、それら病原体が、関連の疾患を引き起こす証明実験に成功した人物としてその名を残すロベルト・コッホである。
簡単にコッホの経歴をWikipediaを参考に振り返りたい。

ロベルト・コッホ、またはハインリヒ・ヘルマン・ロベルト・コッホ(Heinrich Hermann Robert Koch、1843年12月11日 - 1910年5月27日)は、ドイツの医師、細菌学者。当時は細菌学の第一人者とされ、ルイ・パスツールとともに、「近代細菌学の開祖」とされる。

炭疽菌、結核菌、コレラ菌の発見者である。
純粋培養や染色の方法を改善し、細菌培養法の基礎を確立した。
寒天培地やペトリ皿(シャーレ)は彼の研究室で発明され、その後今日に至るまで使い続けられている。
また、感染症の病原体を証明するための基本指針となる、「コッホの原則」を提唱し、感染症研究の開祖として医学の発展に貢献した。

Wikipedia-ロベルト・コッホ

 パスツールと並び、コッホの原則で以て医学は病原体理論の支配下に突入したといえる。医学史において外すことのできない重要人物である。そして、この「コッホの原則」が鍵である。一般史では、炭疽菌の証明にこの原則を開発し、同じ原則を使って「結核菌が結核を引き起こす」その対応関係を証明したとされ、氏はこの件でノーベル賞を受賞している。

★コッホの原則★

  1. ある一定の病気には一定の微生物が見出されること
    →その患者にしかその微生物がいないことを確認

  2. その微生物を分離できること
    →患者から微生物「だけ」を取り出す

  3. 分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること
    →別の健康な個体に感染させたら1の患者と同じ病気になることの確認

  4. そしてその病巣部から同じ微生物が分離されること
    →新たに病気になった個体から再度同じ微生物を取り出す


しかし、Wikipediaにすら記載のある通りだが、この原則には現状「限界」があるとされている。

コッホの原則の限界と有効性

微生物学の進歩に伴って、コッホの原則では証明できない感染症の存在も明らかになった。

1.ヒトに病気を起こす病原微生物が必ずしも実験動物でも病気を起こすとは限らない
2.子宮頸癌におけるヒトパピローマウイルスのように、必ずしもすべての臨床例で病原体が検出されない場合がある
3.日和見感染のように、その微生物が存在しても必ずしも発病しない場合がある

このため現在はコッホの原則をすべて満たす病原体が見つかることの方が却って稀である

 これを指摘しようものなら「現代医学の常識」だとしたり顔で反論されるのだが、こちらからすれば、こんな単純な原則も満たせないものを「疾患の原因」だと謳う理屈を教えて欲しい。ではどうやって「証明」するのか?代替案が必要なはずである。連中は「人間でそんな実験が許されるはずがない」と倫理に逃げるだけである。この後触れるが、「では動物なら無意味な虐待が許されるのか」と反論したい。


本稿では結核に絞って話を展開していくこととする。この件に関して、中心的に批判の言論を展開しているトマス・コーワン氏の指摘を紹介したい。氏が2020年に出版したThe Contagion Myth(伝染病神話)の第三章に以下の記述がある[5]。

 1905年、コッホ博士は、結核が感染症であることを証明したことでノーベル賞を受賞しました。
彼がその証明をしていないことを除けば。

 事実、彼は感染組織にいる微生物を、組織を加熱し、アルコールで脱水加工した後、特殊な染色法を用いることによって初めて発見できたのです。染色には有害色素であるメチレンブルー、そして別の毒物が混入した溶液を使いました。苛性カリ(水酸化カリウム)です。

 彼がこれらの毒物で染色された微生物を動物に注射した所、実験動物たちは病気を発症しました。しかし、病気を引き起こしたのは、細菌でしょうか?毒物でしょうか?

 そして結核はコッホ第一原則すら満たしていません。結核検査陽性者の内、実際に発病させるのは10人に1人です。そして発病しない人々はこう言われます。「潜在性結核」と。

"In 1905, Dr.Koch received the Nobel Prize for proving that TB was an infectious disease. Except he didn't In fact, he could find an organism in infected tissue only by using special staining methods after the tissue was heated and dehydrated with alcohol. The stain was a toxic dye, methylene blue, and the solution he used contained another toxin-potassium hydroxide(lye)." When he injected the organism stained with these poisons into animals, they got sick. But what caused the illness, the bacillus or the poisons? And TB does not even satisfy Koch's first postulate. Only one person in ten who tests positive for TB actually develops the disease; those who don't are said to have "latent TB".

The contagion myth(2020), T.Cowan, p33

 実験手順の問題を指摘している人物は、私が調べられた範囲では世界でコーワン氏ただ一人である。そして、この「潜在性結核」に、20世紀初頭の時点で疑問の声があったことを紹介したい。アニー・ライリー・ヘイルの1935年の著書「The Medical Voodoo」より以下を引用する[6]。

アメリカの結核の権威の一人であるニューヨークのベルビュー病院スタッフのモーリス・フィッシュバーグ博士は、1928年2月のアメリカン・マーキュリー紙に次のように書いている。

「結核菌への感染の恐怖は、成人に関しては根拠がない。

もし彼らが結核になるのであれば、その原因は、誰もが身体に持っている結核菌だけではなく、我々の与り知らぬ他の要因である。」

フィッシュバーグ博士は続ける。

「他の9人も結核菌に感染していたという事実があるにも関わらず、結核で死ぬのは10人に1人だけだ.…実際には、この発病は感染後のルールではなく、例外だと思われる。

 事実上、都市に住んでいる全ての人間は思春期を過ぎる前に感染する

 全ての人は生後直後は菌を持たないが、18歳になると、90%以上の人が結核菌を体内に保有しているという紛れもない証拠を示している。

これは結核菌がどこにでも存在することを考えれば当然のことであり、正確な根拠に基づいた意見が言える人々によると、結核菌は、全ての動物とツベルクリン検査に反応する全ての人間を殺すことによってのみ根絶できるのである

The Medical Voodoo(1935),Annie Riley Hale


では現時点での潜在性結核の定義を振り返る
まず厚生労働省の結核のページから、(3)届出基準の部分を引用する

無 症 状 病 原 体 保 有 者
 医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の画像検査方法以外の左欄に掲げる検査方法により、結核の無症状病原体保有者と診断し、かつ、結核医療を必要とすると認められる場合(潜在性結核感染症)に限り、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

5歳未満の者においては、この検査方法で病原体保有の確認ができない場合であっても、患者の飛沫のかかる範囲での反復、継続した接触等の疫学的状況から感染に高度の蓋然性が認められる者に限り、届出を行うこと。  

厚生労働省> 感染症・予防接種情報 > 感染症法に基づく医師の届出のお願い >結核


次にWHOの定義を引用する

潜在性結核感染症(LTBI)とは、結核菌抗原による刺激に対する免疫反応が持続している状態で、臨床的に顕在化した活動性結核の証拠がない状態と定義されます。
LTBIのゴールドスタンダード検査は存在しません。LTBIに関するWHOのガイドラインは、特定のリスクグループにおける活動性結核疾患への進行の確率、結核の疫学と負担、資源の利用可能性、広範な公衆衛生上の影響の可能性などを考慮しています。

Latent tuberculosis infection (LTBI) is defined as a state of persistent immune response to stimulation by Mycobacterium tuberculosis antigens with no evidence of clinically manifest active TB. There is no gold standard test for LTBI. The WHO guidelines on LTBI consider the probability of progression to active TB disease in a specific risk group, the epidemiology and burden of TB, the availability of resources and the likelihood of a broad public health impact. Two fragmented recommendations have been made for the management of LTBI, which resulted in a number of guideline documents, posing a challenge to implementation. Therefore, several WHO Member States requested consolidated guidelines on LTBI management.


Latent tuberculosis infection
~Updated and consolidated guidelines for programmatic management


では次にCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米国疾病制御予防センター)から引用する

潜在性結核感染症

結核菌は、病気にならずに体の中で生きていることがあります。これを潜伏結核感染といいます。結核菌を吸い込んで感染した人のほとんどは、体が結核菌と闘って増殖を食い止めることができます。

潜伏性結核感染症の人とは:
●症状がない
●体調が悪いと感じない
●結核菌を他の人にうつさない
●通常、結核皮膚反応または結核血液検査で陽性となる。
●潜在性結核の治療を受けなければ、結核を発症する可能性がある。

Latent TB Infection

TB bacteria can live in the body without making you sick. This is called latent TB infection. In most people who breathe in TB bacteria and become infected, the body is able to fight the bacteria to stop them from growing. People with latent TB infection:

Have no symptoms
Don’t feel sick
Can’t spread TB bacteria to others
Usually have a positive TB skin test reaction or positive TB blood test
May develop TB disease if they do not receive treatment for latent TB infection

CDC-Latent TB Infection and TB Disease

最後にMedlinePlus(患者、家族、医療提供者向けに一般向けの健康情報を提供している無料のウェブサイトである。アメリカ国立衛生研究所、アメリカ国立医学図書館、その他アメリカ政府機関、健康関連団体から情報が提供されており、アメリカ国立医学図書館がサイトを作成し保全しているby Wiki) から資料を引用する。
※日本語がそのまま対訳で公開されているのでそのまま抜粋

感染の種類
結核には潜伏性結核と活動性結核の2 種類あります。

結核の兆候がないときに潜伏性感染にかかっていることがあります。細菌が体の中に存在しても、活動していない状態です。気分が悪くなったり結核を他者にうつしたりすることはありません。

結核は皮膚検査または血液検査で陽性反応を示します。
後になって活動性結核に罹患しないように治療が依然として必要です。
活動性感染とは、病気の兆候がある場合を指します。あなたが呼吸したり、咳をしたり、歌ったり、笑ったりすることで他人が結核菌を吸い込むと、結核を他人にうつしてしまいます。結核治療を行わないと、肺に深刻な損傷を与え死に至る可能性があります

MedlinePlus-結核(TB)

ここまでお読み頂いた方は察して頂いたことかと思うが、つまりこれは、現在のコロナ騒動における「無症状感染」の定義そのものである。これを脅威と思うか否かは、読者の知性に委ねたい。


以上のことより、ロベルト・コッホの「結核菌の病原性証明」には何等かの実験手続き上の誤りあることが予想される。これはコーワン氏の指摘(ほぼ回答を明らかにしたようなものではあるが)を検証することで達成される。そして潜在性結核とその診断が極めて今の騒動に類似する点から、この点を掘り下げることも意義あることと思われる。

従って本稿の目的は、
●コッホ本人が著した「"結核の病因論"を読み解いて」検証すること
並びに
●「潜在性結核」という用語が生まれた背景を明らかにし
●ツベルクリン検査の真の意味を考察すること
である。

(続く)

参考文献
1.Wikipedia-ルイ・パスツール
2.Bea;champ-The Contagion Myth-Chapter1.Contagion要約
3.Catholic Encyclopedia-History of Medicine(1913)>Bacteriology, Theory of Immunity, Serotherapy, Disinfection-Leopold Senfelder
4.Bechamp or Pasteur?(2017), R B. Pearson, E D. Hume
5.The Contagion Myth(2020),T Cowan, S F. Morell 
6.The Medical Voodoo(1935), A R. Hale



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