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テレワークと七つの会議

「テレワークで会議できてますか?」…そんな大雑把な質問をされても困ります。話すだけなら電話でも可能ですし、mailで要点だけ書くのもアリです。そもそも「会議」って何なのかというところから考えてみましょう。

会議は七種類、但し一つは高ウィルス性

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諸説ありますが、会議体は分類すると七種類に分けられると思っています。

● 慣例/儀礼型
 → 開催/参加/顔見せ自体が目的
● 報告/連絡型
 → 情報共有
 → 周知徹底:情報+ロール(指示系統)
● アイデア創出型(ブレスト)
 → 短時間に多様な情報の収集
 → 整理は望ましいが非必須
 → 共感や相互触媒も副次的目的
 → 課題の根幹/影響度などの調査/調査
● 意思決定型
 → 情報の正確性の確認
 → 正しい決定
● 進捗確認/タスク再調整型
 → タスクの分解/担当と進捗度確認
● 面談型
 → パーソナル情報(相互)共有
 → 営業/提案/説得
● コーチング型/研修型
 → マニュアル読書を超えた集合研修

1)慣例/儀礼型

上層部のご挨拶など、基本的にはなくても会社が死なないものです。余裕があれば構いませんが、雑巾を絞るような「カイゼン」を求められた際の第一候補に当たる会議体です。儀式やけじめとして開催される暗黙の理由があるものは、頻度から考えても致し方ないかもしれません。しかし、得てして話す側も聞く側も無気力に陥りがちになりますし、無意味なことを継続している経営に不信感を持たれます。有り難いお言葉だけなら、Webを見てて下さい、で済む話も多いはずです。実施するなら、せめてテキパキと短時間で終わらせる必要があります。ただでさえ、業務を止めて行っているものです。

2)報告/連絡型

情報共有や連絡が主目的ですから、本来は顔を合わせる必要はありません。読んでおいて下さいで事足りる会議体です。ただ、会社に求心力がなく、必読のmailを流しても読んでもらえない場合もあります。周知徹底のエビデンス(聞いていないとは言わせない)として用いられる場合もあります。また、定期的に「朝会」で昨日起こった障害などを共有する場合もあります。その場合は「何もなかったです」という一言を聞くための会議で、実はその安堵感が社内のチームワーク醸成に一役買ったりもします。でも一般的には、わざわざ複数メンバを同一時間に拘束する意味は薄いと言えます。

3)アイデア創出型(ブレスト)

短時間に多様な情報の収集をすることが目的です。ですので、専門的な知識や多様性が参加メンバーの基本です。ギャラリーとして参加する人に対しては、実はお手本を見せるという教育的な意味合いが強まります。見落としている意見/情報がないか、より素晴らしい発想が出ないか、が肝です。

ですので、モデレータの力量が問われる会議です。ホワイトボードやポストイットなどのツールも多用されます。如何に短時間で密度の濃く漏れの少ない意見出しができるのかが会議品質の決め手です。情報整理はできれば望ましいですが必須ではありません。アイデアは先ず「数」が大事です。ただ、次の議論(結論フェーズ)に早く移りたいので、バトンとしてはさっさと渡すスピード感は必要です。

4)意思決定型

諸々の情報の正確性を確認した上で、意思決定をする場です。開発であったらアーキテクチャや不具合対応などもありますし、営業系ならどこまで仕掛けるかなどの決断もあります、経営なら戦略的に踏み出す領域を決める場です。アイデア創出型+報告/連絡型で済ますことも可能ですが、情報の確からしさが分かれば即決していくスタイルの方が多くなって来ていると思います。

5)進捗確認/タスク再調整型

決められた手順/プロセスが、決められた順できちんと進んでいるかを確認するもので、情報の品質だけでなく時間軸がメインとなります。とかくスケジュールは遅れるもの。その傷が広がる前に担当やタスク分解など打てる手を打っておく必要があります。

できていないことを正直にチームメンバに伝えることが不得意な方もいるので、調整の部分も含めて、モデレータは力量を問われます。また、スケジュール管理はExcelなどで管理している場合は、更新が煩雑になりついいい加減になったりします。最近はタスク管理ツールに任せて、更に日々の進捗も各自がそのツールに直接入力するスタイルも定着してきています。

6)面談型

個人面談や営業の場のことです。分野的には異なりますが、非常にセンスティブな話題について突っ込んで会話をする必要があります。個人情報やNDAに触れることもあるので、少し特別な会議体と意識すべきでしょう。

基本的には、話の流れが分かるようにきちんとアジェンダを共有し、多少の演出を考えることはあっても、相手の言葉に傾聴する姿勢が求められます。人事評価の場合も一方的に話すのではなく、上司判断がフェアなものかを説明し、評価基準に曖昧さがないことを伝え、更に合意を得る、というものになります。テレワーク時の評価はより公平性が求められそうですし、反応にタイムラグがあったり、細かな表情の変化を読み落としたり、難関になりそうです。

7)コーチング型/研修型

マニュアルを読めば分かる部分を超えた集合研修のスタイルです。基本的に何かを読めば分かる、何かしらの動画を見れば理解できるものは、会議をする必要がありません。わざわざ人間対人間の場で集合研修を行うのですから、「体験」と呼ばれるものに徐々にシフトしています。

コロナ禍で突然テレワークに移行した会社で実施している、朝礼や3分ブレーキングセッションは、ここに属すると思っています。テレワークという就労環境になれるための集合研修で、不安がっている社員へのケアです。慣れてくれば短時間化、個別対応化へと変わっていくものでしょう。

テレワーク時代の変化は、動画教材が入手しやすくなったことです。営業のリアル素材も、録画さえしていれば、即教材です。ディスク容量は食うかもしれませんが、それに余りある臨場感の教育素材です。

悪貨は良貨を駆逐する

会議体の問題は、低品質の会議は伝染しやすいという特徴を持つものです。無意味な会議を上位層が繰り返していくと、真面目に頑張っている人たちが徐々に染まっていきます。形骸化するのに時間はかかりません。その時間じっと我慢さえすれば働いたことになり給料を頂けるのですから。

ですので、アジェンダを事前に出す、議事録をナルハヤで出す、内職はさせない代わりに短時間で済ませる…など常に工夫をと品質管理をすることが求められます。誰がモデレートするのか、どんなツールを使うのか、どの様に情報を共有するのか、精神論だけでなく制度や仕組みも熟考する必要があります。

では、テレワークの会議とは?

人と人が会うことの価値が変わりました。ですので、無意味な呼び出しや会議は忌むべきものになったと考えるべきです。上記の七種の会議のうち、どれがテレワーク時でもなくてはならないものでしょうか。

会議体が持つゴールが異なるように、各会議体に必要なメンバ、適切な時間、円滑に進めるための準備やツールも異なります。ただ、対面式で忖度しやすい状況ではありません。言葉や数字で示さないと伝わらないだけでなく、変に誤解されるような状況です。今までの延長とは考えない方が賢明でしょう。

また、会社の色も出てくる領域です。「不要不急な」会議はなるべく避け、情報共有的なコトは他のツールを活用して、どんどんと接触機会を減らすことを考えましょう。上記の分類で現状の会議体を篩(ふるい)にかけ、少しでも減らせれば幸いです。

次回は会議な中身にふれる予定です。

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