見出し画像

非対面の何がダメなのか??

「非対面」コミュニケーションに対する風当たりが厳しい。何事も「対面」で実施することが自然かつ当たり前で、「非対面」は次善の策でしかないと言わんばかりです。現コロナ禍だからしょうがないけれど、難が去れば即座に元の生活様式に戻したいという気持ちまで伝わってきます。しかし、申し訳ないですが、違和感を禁じえません。

我々はどのように情報を得て記憶し決断しているのか?

画像1

ビジネス的には営業シーンが一番わかり易いと思うのですが、誰かから提案なり紹介を受けた時、何が最終決断の決め手になるのでしょうか。

● 営業担当者の人柄?、プレゼンの上手さ?、司会進行や会議全体の雰囲気?、チームワーク?、ひととなりや仕草や接し方?
● アジェンダの巧みさ、情報の品質?、動画などの演出やわかり易さ?、数字やそのグラフの説得力?、説明ロジックやアーキテクチャ?、最終的な資料?
● 一緒に食べたり飲んだりしたもの?、場や風景?、天候?、音楽や雰囲気?、共に過ごした時間の流れ方?

私たちが何かに出会ったり、決める場を取り巻くモノは沢山あります。そして多くのモノが、現実的には実際には会わない非対面の場でも共有できるようになっていたことを実感してしまいました。パソコン画面と音声のみでそれをまかなってしまうのですが、ほぼほぼ再現できているのではないでしょうか。それでも、「対面」にこだわる方々がとても多いことに驚かされます。

非対面が不利なこと

一つのミーティングを取り巻く状況を考えてみて、上記のようなものが具体的に頭に浮かびますが、営業さん自身が占める割合は、私にはとても小さいものです。失礼ながら、会議終了後半日も経てばお顔を忘れていることもあります。度々会う機会があれば、刷り込まれて覚えますが、何かを導入するようなお話しなら、誰が紹介してくれたかより、何ができるのか、誰なら手厚いサポートを受けられるのかに頭は切り替わっています。

それでも、初対面の印象が、紹介された商品/製品への好感度アップに全く寄与しない訳ではありません。申し訳ないですが容姿の整い方に目が行く場合もありますし、プレゼンの仕方に舌を巻く場合もあります。「この人凄いな」と唸ったことも何度もあります。接待は受けたことはないですが、美味しい食事をしながら製品説明を受けたこともあります。でも、会社の予算でしばらくお付き合いするようなモノの選定にそれらが影響したか、と問われれば、答えは「NO」です。はっきり言って全然無関係です。

それよりは、社内説得に使える資料やデータやUI/UX構成がしっかりしていることが大切です。そしてそれらは別に営業さんに来て頂かなくても、Webサイトに置いておいて頂ければ、余程難しくない限りは事前に自習モードで見ます。

つまり、非対面で不利な状況って既に余りないのではないでしょうか。そもそも日常茶飯事にAmazonで諸々のモノを非対面で自分だけを相談相手にしてポチポチと買い物をしています。基本的に同じプロセスですよね。むしろ実店舗の店員さんはジャマに感じます(すみません)。

非対面で得てきたこと

更に考えてみましたが、私を構成する考え方や蓄積している情報は、どこから来ているのでしょう。もちろん親の姿や手を通して、対面型で学んできたことは多いです。しかし、書物やWebを通して得てきたモノの方が圧倒的に多い気がします。そしてそれら殆どは、その情報の発信者と出会ったこともありません。既に亡くなられている方もいますし、遠方だったり、有名人だったりして、対面を望んでも叶わない方も多くいます。全然不便じゃありません、会えないことに何の不満もありません。そして一杯感動したり記憶したり思い出したり伝えたりしています。

つまり今持っている情報や記憶は、それを語った人と直接出会ったかどうかはプロパティ/属性としては小さくないかもしれませんが、全体としては大した問題ではない気がしてなりません。

私は情報といえば図書館という世代で、移動と誰か(司書)を通すというプロセスを経なければ、何の情報も得にくい時代で育ちました。ですから、誰とも会わずに欲しい情報にアクセスできるネット環境に出会った時の喜びは、相当大きなものでした。そして今でもそれを心地良く感じています。一人でググれる幸せw。非対面こそが気持ち良い。

結局コンテンツでしょ?

対面も非対面も同じ土俵だとしたら、最終的な決断を後押しするのは何でしょう。「コンテンツ」です、分かりやすく「資料」と言ったほうが良いかもしれません。理解しやすく、比較しやすく、契約しやすい…三拍子揃った資料さえあれば、全部オンラインで買っちゃいます。

「買う気もない人を、買う気にさせる営業」という無謀なチャレンジを仕掛けてくる方も時々いますが、正直言って迷惑でしかありません。最近は家にまでかかってくるマンション経営の勧誘電話と同じです。勤務時間中に買いましょうとか言うはずがありません。

買うには予算が必要な訳ですから、それなりに必要性/ニーズが高まってからでないと動けないものです。そして、それなりの価格になれば、それなりの承認プロセスを通す必要があります。それらを手助けしてくれるコンテンツこそが、とても有り難いのです。

ただ、資料作成方法は、対面/非対面(リアル/オンライン)では、決定的に異なることがあります。オンラインでは画面に見せたものが全てです、リアルのように「チョイ見せ」や隠し玉のような手が打てません。全てのお客様が「PrtSc(プリントスクリーン)」キーに指を置きながら話を聞いていると思うべきです。

自分の手抜きを非対面のせいにしていないか?

コンテンツが勝負の分かれ目なら、もうそこをシェイプアップしていくしかありません。全ページのフォーマットが綺麗に揃っているものもあります。個人モニターで見るのですから読み込みを前提とした小さな文字びっしりのスタイルもありです。キャプチャを取られるから写真は著作権をより気にすべきになるでしょう。なにより導入メリットや過渡期のデメリットなどが、兎に角分かり易くなければなりません。

各社/各製品が、より良い製品説明に力を注いだなら、説明しやすさの側からUI/UXも見直されやすくなるでしょう。自分達の製品を胸を張って説明できることが自社ブランドへの想いも高めるでしょう。各社のWebサイトの数ピクセルごとに表示される宣伝バナーも見直されるべきでしょう。誤解や誤動作でクリックして貰って何が嬉しいのか。

人間同士の接点が、対面から非対面へと変わろうとしている今、ミーティングの場だけが変わるような局所的な変化では済みません。コンテンツ作成能力、コンテンツ説明能力が直球で求められます。

そして、コトは営業だけではありません。非対面だからマネージメントができないとか、情報の漏れが発生したとか、そんな言い訳が聞いて貰えるのはこの暫くの過渡期だけです。マネージメントの「コンテンツ」が正しく準備され機能しているのか、情シスの「コンテンツ」が正しく準備され機能しているのか、経営の「コンテンツ」が…。

コロナ禍によってむき出しにされた諸々の亀裂。総力戦で直し正していかなければ、致命傷になりそうです。ボーッと従来スタイルをベースに考えていると、叱られますw。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?