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テレワークマネージメントを阻むもの

新しいマネージメント方式の導入を阻むものは何か。どんなに時代やメンバが欲していても、つまらない結論にしかならないのは、技術系ではなく、最終的には「人」です。挑戦しないで、できない理由を声高に主張する人がいなければ、どんな会議になるかを考えれば分かります。ボトルネックは人なのです。

マネージメント能力の自己評価についての私感

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上図は私の経験則から考えたマネージメント能力(自己評価)と対面方式(と人口分布と声の大きさの推定値)に関する相関図です。対面方式については新たに考えましたが、基本的に新しいことへの挑戦という観点では、大抵はこれから大きくずれません。

自己評価によるマネージメント能力を見るのは、基本的には三択:

1)できる=プロジェクトやメンバを統率して進めることができる
2)苦手=できなくはないが、得意ではない(含へりくだり/謙遜)
3)無理=自他ともに回せていない(多くの場合自分が動いちゃう)

但し、そのまま鵜呑みにはできないので一つだけフィルターを掛けます。メンバからの評価。評価が乖離していたなら、「マネージメントできているつもりの勘違い」です。これが一番厄介な存在で、完全に副官の忖度によって回っているプロジェクトは哀しいかな山のようにあります。

そして厄介さが増す理由はもう一つあって、実は数は少ないにも関わらず、影響力も含めた声の大きさが半端ないことです。上層部と癒着していたり、相手にすると面倒な場合も多いです。

環境変化の際の新方式推進派

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上図のA/B/C辺りのメンバです。この人たちは、対面だろうが非対面だろうが、プロジェクトを回します。非対面の経験は、距離の離れた外注さんや海外勢などで経験していることが多いでしょう。

ドラッガーはマネージメントを「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」と言っています。「自分の成果」ではなく、「組織(チーム)の成果」への軸足がブレなければ、自分自身を道具と考えたりして、ある程度のテクニック学習で大抵の人はある程度実施することができます。但し、ブレないための共通項は下記辺りだと思います。自分も含めて、「変化」を楽しむ傾向があります。

● 自分で創意工夫をする
● できることを考える
● 可能性や今後の展開を語る
● 時に壮大過ぎる夢も語る

追従派(誰か決めてくれ派)

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図のD/Eの方々です。Dの方は基本的には、リーダー系に向かない方が多いように思います。孤立して仕事を進め、他者との連携に割くエネルギーを自分のタスクに振り分けようとします。Eの方は厄介系です。対面方式では自分がマネージメントできている気になりつつ、オンライン/非対面の状況下で無理だと言い出す方々です。鍵になるのは、そういう人たちは、対面式でも実は回せていなかった場合が多いです。但し、非対面でのコミュニケーションにはそれなりにテクニックが必要ですので、それを純粋に知らないという方もいます。

こうのような方々は、基本的には後ろ向きですから、自分から声を上げることはしません。誰かが決めてくれるのを待っています。そしてここが層としては一番大きいのが常です。特徴は下記辺りです。自信がないので保険を求めます、多くの場合「教育」や「補佐」に落ち着きます。失敗したらそれが原因と言い張るためでもあります。

● 教育を望む
● 現実的な着地点を探す
● 引っ張ってもらえることを期待する
● 自分の意見を明確にしない

新方式への反対派(実は大抵のことに反対する派)

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図のF/Eの方々です。Eは先程の方々。Fは対面も非対面も実は上手く回せていないのに、マネージできていると勘違いしている方。それでも回っているのは自分の努力のおかげだと言う文脈で話しますが、基本は対面方式が大好きです。ですから、テレワーク定着化には基本は反対します。特徴は下記かと思っています:

● できないことを語る
● できない理由を考える
● 自分から動かない/試行錯誤をしない
● 批判ばかりする

さてテレワークマネージメントは難しいのか?

さてコロナ禍のおかげで、是が非でもテレワークを進めようとする機運が高まっています。まるでテレワークでのマネージメントが世界初のような困難さで語られたりしますが、そんなことはありません。成功事例+孤独な生活様式の参考という観点で、ここ数ヶ月で変に注目されていたのが下記職種です。共通点は、共有したビジョンと、自律的なタスク完了能力ですね。

● 宇宙飛行士=NASAと宇宙という生粋の遠隔チーム
● 漫画家=出版社と漫画家さんの関係部分

ちょっとビジネスに応用できない感もあります。しかし、学術系やエンジニア系に目を移すと、結構昔からテレワークマネージメントができています。

世界トップクラスの学者が同一の場所に長期間に渡って一つのプロジェクトをやっている例は、なくはないですが一般的ではないと思います。それぞれが自分の得意分野を全力でこなし、時々Skypeや国際電話で連絡し、時々全体俯瞰図を改定しながら方向性を確かめる…そんな流れです。今の対コロナ研究も世界中で並行して行われていますし、本当に多様な視点のもとで、成果を出しつつあります。離散した環境での仕事推進はむしろ当然です。

私が最初に務めた会社も、エンジニアの世界ですが離れて作業することに何の抵抗もない会社でした。DECという会社ですが、米国で作られたプログラムを時差を利用して日本でも手を加えるという睡眠時間で止まることのない開発体制です。もちろんスケジュールも、割り振られる作業量もちゃんと決めるので、超残業などにはなりませんし、米国人は平気で長期休暇を取ります。それでも回りましたし、ちゃんと文字化してたので、伝言ゲームでミスすることは稀でした。誰がどのパートを開発したかも明確でしたから、極めてフェアな人事評価だとも思っていました。

日本企業で働いていた時も、予算の関係で都会のエンジニアを雇えず、地方の方と組んだことがあります。当時はZoomもありませんし、テレビ会議をしたいとも思いませんでした。mailで事前に送っておいた資料や試作を互いに見て、方向性のズレのなさを確認し、新たなアイデアがあれば可能性を検討する流れでした。一年に一度程度会いに行きましたが、基本的には「打ち上げ会」をこじんまりとやりに行ったようなものでした。

推進派と反対派の決定的な差

目の前にいない人たちとチームを組んで、全くストレスを感じない人とそうでない人との差は何でしょうか。私に関して言えば、仕事が離れたところでグイグイと仕事が進んでいくのを快感として捉えられた点だと思います。メンバの顔よりも、成果物が着実により良く仕上がっていく様を見るのが楽しくてしょうがない状態でした。同じプログラムを異なる場所で操作しながら、電話で「ここ凄いね」「いいね」「これはどーして?」「そーなの?」「そーかな」。感想も疑問も提案も、ごっちゃ混ぜにしてレビューを楽しみました。ただ、私が元来そうだった訳ではありません、私はそう教育されたのだと思います。最初に入ったDECには感謝の言葉しかありません。

注意)私が優れたテレワークマネージャだと主張する気は毛頭ありません。冒頭に書いたように、その時のメンバからの反応と突合させて検証しないと分からない話です

そして、反対側にいる人たちはどうなのかを考えると、人がそもそも好きでないのだと思えます。人は好きではないが、人を縛るのが好き。他者から良いアイデアが出ることも楽しめないし、むしろ自分の地位を脅かすと思ってしまうのか攻撃すらします。威張ってるように見えるけれど、いつも他人からの評価に怯えているので目の届くところに置いておきたい…そんな支配欲を感じます。いつも発想の根底が「自分」なので、「組織の成果」に辿り着けないのです。学ぶのに年齢は関係ないので、今からでも学べば良いのにと思いますが、手放せない何かがとても重そうです。

コロナ禍という現実を前にして、働き方の多様性を広げ、働く場の安心感や安全性まで確立したいと思うなら、テレワークマネージメントは避けられない関門です。完全テレワーク体制は、そもそも無理な業務もありますし、多少時期尚早感はありますが、いつでも、例えば台風などの災害時などでも活用できる手立ての一つとして備えておくべき「機能」で、それらの強化や多様化が「組織の成果」につながるのだと思います。

で、改革を推進するには?

申し訳ないですが、必要と分かっているモノを阻止し、自分の既得権益に固執し、対案も出さない層は、この先並走できない方々です。適切な断捨離の方法確立を、次世代構想のもとで進めるのが王道でしょう。「組織の成果」を見据える資質は、仲間となるには必須です。

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