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テレワーク課題の三つの解決指針

テレワークに限ったことではありませんが、課題にぶつかった時の解決指針は突き詰めれば三種類だと思います。一つは何かを買うなりという金で解決する方法、次は自力で自社で頑張る方法、そして最後は課題自体を見直して再定義して解決に向かわせる方法。

三つの解決指針:金/自力/発想の転換

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具体的な解決方法は沢山あるでしょうが、何に頼るかという方向性としては、それほど多くはありません。課題に対して、自力で対処するか、他力本願となるか、はたまた課題自身を別解釈してしまう、です。良い悪いではなく、どう頑張るかを決めておくことは大切なことです。それによって予算も変わるでしょうし、スピードも変わります。

お金で解決する

外注に頼む、製品やサービスを購入する、アイデアコンサルを受ける方法です。自社内にアイデアがなかったり、既にピッタリの製品やサービスが分かっている場合などで、非常に有益な時間短縮が可能です。

ただ気になる点があります。テレワークは、実はもう20年以上の歴史のある分野です。当時はテレビ会議システムとか遠隔地コミュニケーションという文脈で語られることが多かったですが、単一のオフィスに全員がいなくても良いという意味ではほぼ同じ流れです。

ところが、このコロナ禍直後の数ヶ月のそうしたベンダーの沈黙は衝撃的なものでしたし、結局名を挙げたのは「ZOOM」社という老舗とは言えない企業でした。ZOOMで会議やセミナー(ウェビナー)を経て感じたのは、老舗のテレワークシステム導入を真剣に考えなくて良かったというのが正直な想いでした。

テレワークに最適なパソコン、テレワークに最適な〇〇…様々な「モノ」が出てきていますが、実際のところ何かを買うことで解決する問題は、かなり表層の部分だけです。既存テレワーク製品が、運用やマネージメントの観点がごっそり抜け落ちていたことからも、それが分かります。

金で解決すること自体を否定する気はありませんが、コロナ禍直後ならともかく、少し時間が経った今は、少し先までの計画を立てた上でお財布と相談するのが常道でしょう。

自力で解決する

経営者の努力や判断、自社内リソースを最大活用して行くのも大きな方針です。リーダーシップを示すチャンスでもありますし、コミュニケーションインフラを短期間に構築したりした例も出ています。自分たちの自信にもなりますし、同じ職場で働く者としての誇りにも繋がります。

何よりもこの難局を自分たちで考えるという姿勢が財産となりますし、問題の解釈が今後の会社運営に対する見方を深めます。どんな人材がいるのか、どんな資質を持った者たちが仲間なのか、どんな働き方を望んでいるのか…。多様性という言葉だけが先行した感のある現実が、まさにリアルに実感できるようになります。

育児の問題、介護の問題、実家との関係性、地域との密着性。自分の仲間が様々な接点を持って働いているという現実を知り、その全体最適を考えることは、見えないところで、しなやかな弾力にも強靭な底力にもなりえます。

自社の問題を、自社メンバーが共有し、補い合う方法を探し、決して特定の者だけに負荷をかけ過ぎない仕組みを模索する。上意下達型のマネージメントから新しい何かに変わる機会となるはずです。

発想転換で解決する

例えば、緊急事態宣言発令直下でプリンタを買って帰った方々も多かったと報道されていました。「家で印刷できない」が課題でしたが、何人かは「家で印刷しなくて良いようにする」ことを課題とし、チャレンジしています。いわゆる「ハンコのため出社」につながる問題で、今後も大きな変革がありそうな分野です。

お店で食べてもらえないなら、テイクアウトを魅力的にする。高品質なビデオ会議ができないなら、一部電話を経由して連絡を取り合う。逆に家で孤軍奮闘が辛ければ、一日中ZOOMをつけっぱなしで、画面のどこかに仲間の顔が見えるようにする。

店内に誘えないなら店先に来てもらう方法を考える、意見交換がしにくいなら従来系でその代替方法を考える、顔が見えれば淋しさを解消できるかもしれない…。直球の解答ではないかもしれないけれど、他の大きな問題を含んだ「答え」になっている場合が多くあり、そうした工夫が報道される度に励まされるように感心しました。決して従来型のモノを売ろうとするコンサルからは出てこないアイデアだったものも多くありました。

少し前にベンチャー系リーダーが言っていた「よりよい世界を作る」という標語が身近に迫ってきてくれた感があります。その志が間違っていないなら、今までの慣習にとらわれて思考停止で放置されてきた課題も一緒に解決できるかもしれません。大企業から、転勤廃止や今後もフルテレワークをという言葉が聞けるなんて、今でも夢ではないかと思います。でもあと数歩数十歩は進めたいですね、働き方の本質的変化の駒を。

ただ、注意が必要なこともあります。「窮すれば濫(らん)す[せっぱ詰まれば、人は善悪の見境がつかなくなり悪事を働くこと]」と言われる様に乱れることもあります。そもそも経済的な危機でもある訳ですから、お金で解決できるキャパ自体が広くないはずです。そうした場合、他社のアイデアを盗んだり、若手に無理を強いたりしがちです。正邪の判断だけは見誤らぬように。

アイデアも出ないと嘆くなら、若い血に頼る

鍵は「若手」だと思います。当然ながら、権限移譲と報酬を伴います。手柄はアイデアも出せずネット上での存在感も示せないマネージャのまま、では今後の士気に関わります。

若手に任せて、思いっきりぶっ飛んだ前衛対策法を立案してもらい、現実路線に落とし込んでいく方法もあります。尻が重い若手が多ければ、煙たがられる上司よりも、外部のPM的な実務もやるコンサルを投入しても良いかもしれません。無から有を生み出す手順の教育の一環だと思えば、二兎を得る可能性だってあります。

既存のSaaSなどを検討する場合でも、技術に疎いと引きこもりがちなら、相手のIT営業と自社の間に、先程のコンサル的な人間を入れて、三角関係でヒアリングを進めるのも一手です。二者対立の構造よりも、三角関係のほうが諸々があらわになるので、長所短所が分かりやすくなることも多いものです。

兎に角、ウジウジ&ノロノロが最悪の選択肢だと思います。迷っているなら試してみる。窮しているなら任せてみる。モノゴトの決め方ごと良い方向に刷新できたなら、ピンチをチャンスに変えられたという自信にも繋がります。

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