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懐かしの2次試験

長い付き合いになったこともあり、いまだに金木犀の香りで中小企業診断士第2次試験が近いことに気づきます。
今年は、外出自粛の影響もあり中小企業診断士に限らず資格取得を目指す方が多いそうですが、逆に感染症の影響で延期や中止を余儀なくされる試験も出ているようです。
私も、例年であれば試験日が重複するので先延ばしにしていた情報処理技術者試験を受けるつもりでしたが、中止が発表されたので、ベッド脇に飾ってあった教材を段ボール箱に片付けました。
中小企業診断士第2次試験については、受験可能期間の延長措置も講じられた上で、予定日どおりに試験が行われるそうです。もし自分だったら今年受けるか来年に持ち越すか迷うと思いますが、受験生の方が選択肢を有効に使い良い結果が得られることを祈るばかりです。


今回の記事は、合格から2年が経過してしまったものの、受験時に考えていたことや感じたことを忘れないうちに記録に残したいという趣旨です。この時期に受験生にとってまぎらわしいタイトルで申し訳ありませんが、受験指導的な内容ではないので、息抜き用としていただくか、そっと閉じて試験後の暇つぶしに再来いただければ幸いです。

■2次試験を好きになる

私は、初めて2次試験過去問の演習を行ったとき、純粋に面白いと感じました。
事例を通して、他業種・他業界の企業の物語がドキュメンタリー番組のようで興味を惹かれたのかもしれません。
また、1次試験よりも取り組み易いと錯覚したからかもしれません。極端な書き方になりますが事例Ⅰ~Ⅲは「とある企業の物語が紹介されていて、その企業にアドバイスしてください。」という内容の試験です。1次試験や他の試験と異なり、日本語の読み書きさえ出来れば、高校生だって何かしらの解答を書くことができます。といっても答えを書けることと合格できることは当然に違うのですが。
ちなみに私が初めて取り組んだ過去問演習は平成20年の事例Ⅰです。10年以上前の問題なので「アントレー」といって通じる方は少なくなっているかもしれませんね。
私が、実際に受験したのは、2012年、2013年、2018年の3回なのですが、5年分遡って過去問演習を行っているので、合格するまでに2008(平成20)年から2018年(平成30)年までの10年分の試験問題に目を通したことになるようです。

■2012年(受験1回目)

2012年当時、1次試験は独学受験だったので自己採点するまで2次試験のことは考えていませんでした。1次試験に合格していそうだと分かった時点で、予備校の公開模試の申し込みと、参考書の購入に走りました。そこで初めて過去問演習を行い2次試験って面白いと思ったわけですが、2次試験までの間にやれたことは、参考書に書かれている解放のテクニックを過去問で試してみることくらいでした。
試験時間80分の間に、読んで、考えて、書いては消しを繰り返し、与件を抜き出したような文で解答欄を埋めるので手一杯でした。なので、ポジティブにいえば、初学者の強みを活かして、聞かれていることを素直に受け止め、考えつくことをそのまま書かれた答案です。しかし、今振り返ると直感の思い付きに頼り切ってしまい、説得力のない思慮の浅い解答になっていたと思います。

■2次試験にのめり込む

私見ですが、多年度受験を経験された方は、ストレート合格された方よりも2次試験への思い入れが強い印象があります。
これは、試験を受けるまでは楽しい反面、1度落ちるとやればやるほど何が正解か分からないという深い闇に引きずり込む残酷さを併せ持つ、2面性によるものではないかと思います。
2次試験では、公式解答が開示されないため、予備校が出す模範解答が解答の手がかりですが、その予備校の模範解答ですら方向性が異なることがあります。
事業が成功するかしないかを2択で選択する問題に、「成功する」とする予備校と「成功しない」とする予備校が出てくることがあります。解釈の違いや組み立て方次第でどちらも間違いとは言い切れず、なんなら予備校の模範解答より自分の解答の方が理にかなっていると信じ込むことも可能なところが厄介であり面白いところです。
そして、正解を求めてイベントを時系列にならべたり、SWOT分析したりと事例を研究しだすと80分で解答を導き出すことが途方もなく難しいことに気づくのです。

■2013年(受験2回目)

中小企業診断士試験は1次試験合格後、2年以内(2回)のチャンスがあるので、2012年は不合格になったものの、チャンスが後1回ありました。
そこで、独学、予備校、養成課程を検討し、経済的な理由で養成課程は選ばなかったものの、スキルアップにも繋がると思い予備校を選択しました。予備校選びにも悩みはしましたが結局、公開模試や解答解説でお世話になったところにしました。
毎週末の2次試験対策コースに講義後の仲間内での勉強会と色々な意見を聞けたことで、解法の切り口や、一言一句であっても多面的な解釈の仕方があることを実感しました。
ですが今度は、公式解答がない中で、多様に発散してしまった解釈を試験委員が求めていると思われる方向性に収束させ、筋の通った解答に落とし込むのに苦労しました。
結局のところ2013年も不合格だったのですが、今振り返ると事例Ⅳで登場した200%定率法を避けてしまったのが敗因だと思います。試験対策としては、分からない問題に時間をかけるより、分かる問題に時間をかけて正答率を高める。というのは定石ですし間違いではないと思うのですが、分からないなら分からないなりの対応の仕方があったはずのところを、D社様に失礼な解答(助言)になってしまったことが自分の中で心残りになっています。

■2014年~2017年(迷走)

1次試験からの再受験にモチベーションが下がってしまい。迷走していた時期があります。
自頭力を鍛える脳トレの方向性に進んでしまい、速読(フォトリーディング)に挑戦してみたり、ニュース番組の倍速視聴してみたり、議事録用のメモを手書きにして速記に慣れる。生まれが九州なので、学問の神様、大宰府天満宮で神頼み。などなど。
この期間の努力(迷走)がどれほど合格に役に立ったかは定かではありませんが、ニュース番組の倍速視聴は慣れると時短にもなるので続けています。

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■2018年(受験3回目)

一念発起して1次試験対策から予備校に通い直し2次試験に戻ってくることができ、まともに過去問演習に取り組むのは5年ぶりだったので、やっぱり楽しいなぁと思いながら8月からの2カ月半を過ごしました。
この頃は過去の経験を活かして、予備校の演習は受験テクニックや時間配分の練習に使い、事例の深堀は過去問で行うことに決めていました。
事例も深堀し過ぎず、予備校の教材とは別に買った『ふぞろいの〇〇答案シリーズ』を使い、他の受験生が導き出したキーフレーズとの整合を確認するにとどめました。
5年前に苦しんだことが幸いしてか、多面的な解釈はできており、他の受験生の解答をみても、この発想はなかった!と驚かされるようなものはなくなっていました。
そして試験当日、しっかり読み込み、考え抜き、1マスも無駄にせず、端的な言葉で表現しつつ、伝わることを意識した文章で、書き切りました。
3C分析やマン・マシンチャートといった見慣れない設問も楽しむことができたし、間違っていないか不安になることはあっても最後まで諦めないで取り組むことができました。

■やるべきことは全てやり尽くした

試験当日の対応だけでなく、直前期は2次試験中心に行動しました。
勤務先の机の上にクレベリンを設置。インフルエンザ対策で手洗いうがいは欠かさず、マスクは常用。栄養ドリンクは飲みなれたものを準備し、当日立ち寄るコンビニも、コンビニで買う昼食・飲み物・デザートも事前に決めていた。寝不足にならず体調万全で試験会場に到着する。忘れ物なんてありえない。試験開始直前に行うルーティーンもいつもの眼球ストレッチ……
そう、やるべきことは全てやり尽くしたと言い切れます。だから合格できたのだと思うようにしています。

■さいごに

試験にも資格にも興味のない人からすると、何故そこまで一生懸命になるのかわからないかもしれない。そう考えると、途中から書いていて恥ずかしくなってきてしまいました。
けれど、喉元過ぎて熱さを忘れてしまわないように。合格に執着して努力していたことを書き残しておきたいと思い今回記事にしました。コロナの影響もあって思うように活動できず、消極的になっている自分に向けて。

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