運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 安藤 寿康・橘 玲 共著 いかに「地獄」を生き延びるか? その① Vol.42

衝撃的なタイトル。
運すら遺伝するの?
不運の人は逆転すら許されないの?

知性、能力、性格、そして運まで…。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。理不尽を乗り越え、成功を手にするための方法は存在するのか?

橘玲さんと行動遺伝学の第一人者である、安藤寿康先生が対談した本。橘さんの持論が安藤先生によって裏付けられたり、そこは懐疑的だとの指摘があったりする。

本書のタイトルは
「自分自身の行動や選択だけでなく、周りの環境や人物を選ぶ時にも遺伝的要因が関わっている。」
との主張から付けられている。

例えば
強盗やケンカ。いわゆる、事件・事故、トラブルに遭うのは運の影響がある。
なぜ?
危険な場所や目立つ行動が原因だとすると、そこには遺伝の要素がある。

好奇心旺盛だといろんなことに興味を持ち、行動をして、ときに幸運に恵まれる。反面、トラブルに見舞われる確率も高くなる。
このような好奇心も遺伝の影響がある。

…と本書では述べている。

背が高い、足が速い、目が大きい、歌が上手い。親もそうであれば子もそうなる傾向が強い。
体の特徴や運動能力、芸術的な能力は遺伝しやすい。多くの人が納得できる意見だ。

しかし、

『知能も遺伝する』

と言われるとどうだろか?
すんなりと受け入れるのはむずかしい。

橘さんは、宮口幸治さん(児童精神科医)著作の「ケーキの切れない非行少年たち」を取り上げる。
(宮口さんは著書で、医療少年院にはケーキを3等分する方法がわからない少年が多くいることを指摘した。)

「誰もが同じ知能を持っているという前提では、こうした子供たちに適切な支援ができないからです。」
また、
「法律やルールを理解して犯した犯罪なら責任は本人にある。しかし何が悪いかわからなかったり、犯罪だと分かってはいても、それ以外の選択肢が思いつかない子供がたくさんいる。」

「ハンデがあっても本人が頑張っているのなら、 みんなが応援したいと思うでしょう。ところが、誰も応援したくない、頑張れない子供ほど支援を必要としている。」

遺伝ですべてが決まるわけではないが、遺伝の影響は強力』と安藤先生。

では、わたしたちはどうすればいいのか?

現時点では夢物語はあると前置きして、
安藤先生は

「本人の遺伝や特性を考慮して、AI により社会的な役割を選んでもらってはどうだろうか?
そのうえで思っていたものとは違う。自分には合わない。と思えば、その時にはまた違うものを探してみてはどうだろう。
社会には色々な問題が次々に起こるのだから、それを解決できる人を必要としている。」

要するに、
『自分に合う職業をAI に提案してもらって、トライ・アンド・エラー(trial and error)をしていきましょう。』

橘さんは、
「嫌われる勇気をみんなが持てるわけはないし、勇気だけで状況が変わるわけでもない。下手をすればさらに悪化することもあるでしょう。パーソナリティを変えるという成功法則に従っているといずれ、 破綻する可能性が高いと思います。」

「もし今自分がいる環境で好きという感覚を全く感じないというのであれば、 そういう感覚の生まれる環境へと移動する必要があるのかもしれません。
環境をガラリと変えることで、 興味を持てるものに出会うということは多々ありますから。
置かれた場所で咲きなさいではなく、咲ける場所に動きなさいですね。
でも現実には動くことが、一番難しいという人も多いんでしょうね。」

自分の特性と仕事(職業)をAI にマッチングしてもらう。なんだか受け入れがたいが、異性との出会いにしても、「マッチングアプリ」などもあるから悪くないのかも。

次回その②では、
橘玲さんの「人的資本の最強法則」をご紹介します。







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