見出し画像

高校英語の観点別評価 #02 運用

さて、具体的な運用について。たとえば定期試験にトータル100ポイントのうちの60ポイントを割り当てるとして、「書くこと」の「知識・技能」に30ポイント、「思考・判断・表現」に30ポイントなんて割り振るわけだけれど、試験問題の中で「この設問は『知識・技能』を問う問題、この設問は『思考・判断・表現』を問う問題……」なんてことはしない。試験問題を作るにあたって、「知識・技能」「思考・判断・表現」は多少意識はするけれど、基本的には生徒たちが英語を使っていくのに必要と思われるものを出題している。定期試験は100点満点で行われるのだけれど、上記のようにポイントが割り振られているとすると、素点が50点であれば、「知識・技能」に15ポイント、「思考・判断・表現」に15ポイントが機械的に割り振られる。定期試験に限らず、ひとつの活動が複数の観点で評価される場合、どの部分がどの観点で評価されるかということは明示しない。その活動がトータルでポイント化され、そのポイントが機械的にそれぞれの観点に割り振られる。

こういうインチキをするには理由がある。英語の場合、「知識・技能」と「思考・判断・表現」とはかなり重なる部分があってグレーゾーンがかなり広いように思われる。他の教科であれば「表現」はもちろん日本語による表現を評価することが多いのだろうけれど、英語の場合は表現するための言語を学んでいるわけで、その言語に関する「知識」があって、その知識を運用する「技能」がなければ「表現」できないわけで、場合によってはほとんど不可分であるように思われる。もちろん、学習指導要領的には区別しなければならないのだろうけれど、それを区別しても実質的に意味があるとも思われない。大きな声では言えないけれど、私たちに与えられたミッションは学習指導要領に忠実であることではなくて、生徒が英語を使えるようにすることだ。というわけで、そのあたりはかなりざっくりとやっている。そもそもすべての教科で同じ観点で評価するということ自体に無理があるのではないか思う。

で、これらをすべてExcelのワークシートに落とし込んで、評価項目を入力していけば、観点別のABC評価および評定が自動的に算出されるようにしている。また、それぞれの評価項目のポイント、観点別の合計ポイント、トータルのポイントが記載された個票も出力できるようにしている。この個票を見れば、どの部分で大きくポイントを落としているのか、どの部分でもっと頑張ればいいのかということがわかるようになっている。

これだけインチキをしてもかなり面倒で時間がかかる。こういう評価を生徒の学びに活かそうと思うならフィードバックの機会を増やすのがいいのだろうと思ってはいるのだけれど、これだけ複雑で時間がかかるとなかなかそうも行かない。私の場合は前期末に1度だけしかフィードバックできていない。ともかく、もっと現実的で効果的な評価の利用をするためにはもっとインチキをして評価の方法を簡素化しなければならないと密かに思っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?