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経済の歴史・知識の豊庫を読む!!『経済成長とは何か』田村秀男 ワニブックス・プラス新書



<お知らせ>

緊急で、レビューは7月初めになりますが、『安倍晋三元総理追悼論』(高木書房)を是非、読んで下さい。


安倍晋三元総理追悼論
深田匠
高木書房

現在までの最高の書であり、これ以上の内容の書は、たぶん出ません。
著者の情熱と誠実さと公正さも卓越しています。
一家に一冊、友人・知人にも配って下さい!! 


<今回の書評>

(12月24日記)

テーマは、経済成長に限らず、日本の経済成長と停滞の歴史、経済成長と世界との関係、中国の成長プロセスなどでした。

目次の一部を、ざっと拾ってみると、

経済とは?
実体経済と金融経済がある
国債と金利の関係
資本主義は借金で回る
デフレとは?
インフレとは?
経済で政府のやるべきこと
実際に生産性を上げるには?
戦争の行方を決めるのは経済?
経済成長とは?
得る恩恵とは?
経済成長と国力の関係
経済成長でチャンスが生まれる
再分配も企業努力もマクロ経済次第
マルクスの理想とソ連
経済成長と世界
国家の信用が失われるとは?
アメリカの構造から得られるヒント
アリババと中国共産党
お金に倫理はない
中国という怪物
円借款が中国を育てた
なぜ習近平はデジタル人民元に固執するのか
中国の外貨と負債
日本の問題
萎縮する日本の実体経済
日本のすべきこととは?
国債発行の効き目
国債召喚はそんなに重要か?
チャンスは経済成長が増やす
義は日本を再興させられるのか?

などとなっていました。


著者は、産経新聞、『正論』などで、経済についての論稿を書いていますが、その主張は正しいものです。
既存の、日本は財政危機、国債暴落の危機、プライマリーバランス(PB)は重要、増税は致し方ない、などのウソを具体的事例と共に説明しています。

日本の名目国内総生産・総GDPの平均成長率は1995(平成7)年度から2020(令和2)年度までの25年間で、0.08%とほぼゼロ、対して先進7カ国平均は2.5%です。
仮に年平均1%成長なら2020度の名目GDPは648兆円、現実は536兆円、2%成長なら866兆円!になっていたのです。
これで賃金も同率で伸びていたなら、年平均450万円として、727万円になります。
年収200万円前後の人でも323万円です。

何が成長をはばんだのか?
第一にデフレです。
物価の下落が売上を下げ、結局は人件費を下げて、消費を縮小させるスパイラルにおちいってしまったのです。
そうなったのは、政治の失策だけではなく、目先の安さばかりを追った国民、企業、メディアにも責任があります。
安さ追求とは、本来、計上できたであろう適正な利益を企業が手にできないことを意味し、賃金が上がるはずもありません。
するとGDPの6割を占める個人消費が停滞し、一層の売上減賃金減のデフレスパイラルになるわけです。

日本はバブル時代に、モノの値段が大きく上がったような錯覚が強く、その後の崩壊での価格下落につき、なんとも感じなくなったどころか、正当と感じたこと、目先の安さを善と疑わなかったことが、今日の惨状につながりました。
バブル時、地価、株価、美術品は大きく値上がりしたものの、日常の生活にかかわる品はそれほどでもなく、給与は割と大きく上がったので、いい時代だったのです。
証券会社などは、年末ボーナスが1000万円の人もザラで、200万300万の女子社員もゴロゴロいました。株を持っていたので、20代で資産数千万円から1億円のOLも珍しくなかったのです。
私の担当の営業マンなんぞ、30代前半でボーナス1000万円を軽く越え、「社長のおかげです!」と挨拶に来たくらいでした。
バブルの話をすると、私はキリがありませんが、私の社員でも年棒3億、5億がいて、数千万円もたくさんいました。
気前の良い社長のおかげです。

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